よんきゅ部屋

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Oct 30, 2006
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最近、自宅で仕事をするときに何気なくかけるCDの中に、忘れていた掘り出し物の曲を発見し、よく聴いている。

それは、「ボヘミアの森より」というピアノ連弾用の曲ををチェロの小品としてオケ編曲してヨーヨー・マが録音している「森の静けさ」(カップリングはドヴォルザークのチェロ協奏曲)と、初期の弦楽四重奏曲を小品として同じくオケ編曲してチョン・キョンファが録音している「ロマンス」(カップリングはドヴォルザークのヴァイオリン協奏曲)である。編曲ものであるために、ライブではさすがに聴いたことがない。

ドヴォルザークの音楽の温かさが昔からとても大好きな私は、いろいろな作品のCDを集めてきたが、時間のなさについついすべてを聴く余裕もなく、CDラックに埋もれがちになってしまっている。何となく聴き直してみたら、心にしみる音楽。

「森の静けさ」は夜のそれを思わせる。曲は変ニ長調で始まる。ドヴォルザークはこの調をけっこういろいろな曲で使っている(「新世界」の第2楽章が最も有名な例)、温かみがあってどこまでも優しい。低弦がゆっくりとピチカートで足取りを刻む上をチェロが穏やかに歌っていく。楽譜にするときっとかなり単純なはずだが、ヨーヨーマのチェロはさすが!単純さを感じさせず、音がふくよかだし、のばしている音の中にもちゃんと音色の変化がある。

途中の短調部分では、少し揺れ動くような部分もあるが、その後また平穏な世界へと戻っていく。しかし、終わりには「最後の輝き」を一瞬見せるようにチェロもオケも熱い音になる。やはりドヴォルザークの温かみを感じる終わり方だ。また、全曲を通してフルートがうまくかぶせられているのは、協奏曲と同じような感じで、さわやかさを感じさせる。

「ロマンス」はドヴォルザークにとってはかなり初期の作品に属する。オリジナルの曲は譜面が失われてしまったそうで、この編曲版が忘れ形見なのだとCDの解説には載っていた。ドヴォルザークは下積みの時代が長かったこともあって、有名な曲はほとんど後半に集中している。有名な曲ではそれまでに獲得した語法を自由に駆使している感じがするが、この曲にも少しその雰囲気を感じたりする(とはいえ、その振幅はまだ小さい感じ)。

基本となるのはヘ短調だが、変ニ長調、変イ長調、ホ長調にいろいろ行ったりする。最初の部分が閉じられる変ニ長調がやはりうまく平和な終止感をつくっている(これはドヴォルザークのマイ・フェイバリット・調??)。中間部はさらにいろいろな調を行ったり来たり、音符も短いものになり(ちょっと協奏曲的な速さになる)、さらに激しい音楽へと展開されていく。

それが一段落すると今度は再現部に相当する部分へ。ここではオケが旋律を担当し、ソロは後から入ってくる。それからあれこれしていくうちにソロが最初の旋律を弾く。最後はヘ長調で結ばれる。メインの旋律のリズムはシチリアーナという感じだが、音の運びはボヘミアのそれだと感じる。リズムはまだそういう感じではない。初期の作品であることを感じさせる。

実はこの楽譜は大学生の頃に、まともに曲を知らないうちに買って遊びで弾いていたのだが、旋律だけ弾いてもあまりスッキリしないなという感覚を持っていた。今聴いてみるとその理由がよくわかる。転調が多いのと、伴奏が構成上重要な音を担当している部分が結構あるからなのだ。これにはピアノ伴奏譜もあるので、誰かに弾いてもらって合わせてみないと面白くないかな。もちろん、聴くには問題ないことなのだが。他に室内楽など、ドヴォルザークの曲をいろいろ掘り出してみると、面白いものがいっぱいある。またラックから取り出してぼちぼち聴いていくことにしよう。





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Last updated  Oct 30, 2006 09:11:38 AM
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