よんきゅ部屋

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Jan 14, 2007
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カテゴリ: オーケストラ
一日遅れの更新。昨日は本番指揮者を迎えてのOBオケの練習。だんだんと曲にも慣れてきて、この演奏における約束事もかなり覚えられるようになってきたというのは、ここ1,2回の練習の収穫だった。

しかし、演奏をつくるためにはここから先の努力がさらにたくさん必要になる。確かに、楽譜に書いてある音符として記述された音の高さや長さを守ることは大事なことなのだが、これは演奏をつくるための第一歩なのであって、本当にいい演奏なのかどうかを決めるのはその先の作業がどれだけ緻密に行われてきていて、どれだけ体で表現できる状態に持って行くことができているのかということにかかっていると思う。

チャイコフスキーの「悲愴」第1楽章の合奏では、それが課題であることを痛切に感じた。単純な音型一つ取り出しても指揮者はいい演奏をさせようとして、そこからたくさんの言葉を引き出してくる。なるほどなと思うことがたくさんあった。

例えば、第1楽章の第2主題では「方向性さえ合っていれば、全体が一糸乱れぬアンサンブルでなくてもいいし、メトロノーム的に正確でなくてもいい」と言われたが、それはまさにその通りで、メトロノームに従ったような正確感は逆にない方がいい。むしろ、テンポが狂ったと聴き手に思わせない程度の微妙な時間的ズレがあった方が、揺れ動く心情が表現されているようで逆にいい演奏になったりする。そして、これが前提となって「最初の音を少し長めに」といった指示があるのだ。この指示を逆にすると物理的に音を長くすることに注意が行ってしまって、逆に音楽的な意味が抜け落ちた状態で体に入れてしまうことになる。演奏を作っていく過程ではこれだけいろいろなことを考えなければいけないのだ。指揮者はそれを他人にやってもらうのだから本当に大変だ。

次に練習したモーツァルトのヴァイオリン協奏曲第5番は、ソリストを迎えての合奏となったが、オケの伴奏は奥が深いなとさらに感じることになった。一般的に協奏曲の伴奏パートは、交響曲のパートよりも簡単である。つまり、どうしても技術的に弾けないという場所が出てくる確率はかなり低い。しかし、伴奏はソリストの音楽にちゃんとついていかなければならないし、逆に伴奏パートだけで音楽が展開されていく場所もあるので、その切替をちゃんとしていかなければならない。これがかなり難しい作業になってくる。

練習が終わった後でソリストと話したが、そのときに言われたのは「音程やリズムはもちろんだが、今弾いている音が頂点に向かっているのか、おさまっているのかをもっと意識して演奏した方がいい」ということだった。確かに、伴奏パートはかなりでこぼこした感じになっていたなと思う。

昨日、特に考えさせられたのは、やはり「楽譜を読む」ということは、ちゃんと音楽の文法を意識して、その背後に隠されたメッセージを読むということでなければならないということだ。どうしても、演奏するとなると音程だのリズムだのというところに意識が行きがちになって、それ以上のことはなかなかできないものだが、実は「それ以上」のことができたら、もっと演奏の楽しみが広がっていくのだ。

演奏する側は楽譜を見ながらやっているわけだが、聴く側が楽譜を持っていることはまずない(ところが、たまにスコアを見ながら聴いているというコワーイお客さんもいたりする...)。楽譜を持たない人に聴いてもらって「ええなあ」と思ってもらうためには、音の「かたち」をしっかりと見せていかなければならない。もちろん、さらに音の質にも気を配っていく必要がある。

もちろん、アマチュアオケなので、聴衆のほとんどはプレイヤーの知り合いとか常連さんが多いので、それだけでも十分プラスに見てもらえるし、気合いや根性も認めてもらいやすい。でもそこからさらに一歩でも先に進むことができたら素晴らしいことだ。






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Last updated  Jan 14, 2007 10:04:59 AM
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