よんきゅ部屋

よんきゅ部屋

Oct 19, 2007
XML
ブラームスはいろいろな編成で数多くの室内楽を作曲している。管楽器と弦楽器と組み合わせた編成などもあり、このあたりもベートーヴェンの後を継ぐような感じなのだろうか。作曲されたのは1860年、ブラームス27歳の時、まさに青年時代で、有名なひげ面のブラームスとは違った雰囲気だっただろう。

弦楽六重奏という編成は、ブラームス以外だとドヴォルザーク、チャイコフスキーといったところだろうか。音がとても分厚くなる一方、それだけ重い感じになりやすいと思われるのだが、この曲ではそうあまり感じない。しかも、ブラームスはこの編成で2曲書いているのだ。第2番も爽やかでいい曲だと思うが、第1番の方がやはり有名である。

-------------------------
第1楽章:
この楽章は3拍子で書かれているが、実はいきなり旋律が3拍子っぽくない(最終的にちゃんと帳尻は合うのだが、リズムでも調性でも途中に紆余曲折がたくさん)。変ロ長調でヴィオラのさざ波をバックに。高音のチェロからスタートする爽やかな世界。ヴァイオリンに登場する3連符による音型は弾いていてもなかなか厄介である。そこを抜けるとイ長調の透き通った世界が変ロ長調の間にちらっと見えたりして、心をくすぐる。

展開部にはいると、拍子がますます取りにくくなるので、これはアマチュア演奏家泣かせである(まあ、そんな人が弾くようになるとは本人も思っちゃいなかったんだと思うが)。全体で3連符を弾き、激しさを増した後に突然ホ短調に変わって寂しさを感じさせる部分がなかなか泣かせる。また、途中で#や♭がたくさんある調が頻出するが、これもブラームスの持ち味。

その後、再現部に当たる部分の盛り上がりは素晴らしい。ちなみに、ブラームスは1stVnにとにかく高い音を要求する人で、オーケストラでも同じ。これまたアマチュア演奏家泣かせである。最後は、なだらかにテンションを下げてゆっくりになって終わるのだが、ピチカートによる旋律が印象的。とにかく瑞々しさを感じる音楽で、若さを感じる。爽やかでいい。

この楽章を演奏すると思うのが、音量のバランスを取ることの難しさである。というのも、音が多い上に主役が次々と交替するので、そこをわかって演奏しないと、ただうるさくてメリハリのない演奏になってしまうのだ。

-------------------------

この曲の中で最も有名な楽章。初演の時から人気があったそうだ。フランス映画「恋人たち」に使われていて有名だということだが、私は残念ながらまだ見ていない。ブラームスが愛していたというクララ・シューマンにピアノ編曲をしてプレゼントしたというエピソードもある。

曲はニ短調を中心とする変奏曲。最初から情熱的にスタートし、それがどんどん盛り上がっていく形は、激しい思いの丈をぶつけているかのよう。重音連発の場所はきっちりと弾ければとても効果的なのだが、これもアマチュア演奏家泣かせである(4弦同時になかなか弾けない)。どんどん盛り上がっていくごとに弾いている音が増えていくという手法をここまで徹底しているというのはスゴイことだ。また渦巻くようにチェロが弾きまくるところもカッコイイ。

そこを抜けると突然視界が開けるようにニ長調の旋律が出てくる。この変わる瞬間がいつも鳥肌ものである。それからさらに和音が変わりつつ音が上がっていくところ、その後薄い音でヴィオラが高い音を弾く旋律などはまさにたまらん!という感じ。なぜこんな旋律が書けるのかと、ここでもやっぱり思ってしまう。

その後曲はニ短調に戻り、今度は最後に向かってどんどん落ち着いていく。同じ旋律なのだが、今度は寂しさなども感じさせる。まさに自由自在に書いているという印象だ。最後に短調と長調とを行ったり来たりしながら終わっていく世界は見事だと思う。

-------------------------
第3楽章:
ヘ長調のスケルツォで、主部は少しのんびりした雰囲気の旋律(テンポ設定によって印象は若干変わるかもしれないが)。短調の要素が入っているのも雰囲気が変わって面白い。中間部はテンポを速めて走り抜けるような爽やかさを持っている。この部分では途中でヘミオラ(3拍子の中に2拍子が入る)を経ていきなり遠い調(変ニ長調)に行ってしまうところが面白い。いろいろといたずらをしながら、「何かあったの?」という感じでさりげなく中間部は終わってしまう。コーダ(結尾)はまた走り抜けるように終わる。コンパクトで何とも洒落た楽章だと思う。

-------------------------
第4楽章:
最初に提示された旋律が節目で何度も登場するロンド形式。この旋律は爽やかでもあり、優しさを持っているように感じる。誰かに思いを寄せていることの幸せを表現しているとでも言えようか。この楽章では、リズムの複雑さよりも、いろいろな調を行ったり来たりする具合が特徴的だと思う。中間あたりで少しリズミカルな部分があるのだが、そこでもそういったことを感じる。旋律は単純だが、実は伴奏は大変である。これまたブラームスらしいなという気がする。最後は、静かにおさまっていくというので第1楽章と似ているなと思っていたらフェイントで、テンポがどんどん上がっていく指定。盛り上がって終了。本当にうまくできているなあと楽譜を見るたびに感心してしまう。

-------------------------


そういえば、前回の練習で特技を発見。2ndVaが不在だったのでどうしようかとなったときに、この楽譜をもらって、ハ音記号の楽譜を読みながらヴァイオリンを弾き、ない音はオクターブ上で弾くことにした。ヴィオラがあれば弾くことはできるのだが、何しろ楽器がないのでヴァイオリン、これは大変だった。初見だったのでもちろん全部は弾けないのだが、邪魔しない程度には音は当てられたかなと。なんだか、ヴァイオリンで旋律を弾きながら足で違うリズムの打楽器を鳴らすとか、一見するとわけのわからないマニアックな特技ばっかりで、内輪ウケしかしないのが何とも残念。やはりヴァイオリンで「ほぉー」と言われる方が気持ちよさそうだなと思うが、こちらの道のりはまだまだ遠そうだ。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  Oct 19, 2007 11:25:51 PM
コメント(1) | コメントを書く


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

Favorite Blog

悲惨な連休。 魔神8888さん

ドボルザーク:弦楽… ピカルディの三度THさん

法村友井バレエ すららさん

黄 金 時 代 ショスタコーヴィチさん
クラシック音楽は素… 会長0804さん

Comments

новое русское порно бесплатно@ Hot and Beauty naked Girls Respect to post author, some fantast…

© Rakuten Group, Inc.
X
Mobilize your Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: