◇粟田口(あわたぐち)◇
【あらすじ】
大名が、太郎冠者に都まで粟田口を買いに行くように命じます。
粟田口とは、つまり刀の事です。しかし、都に着いたはいいが、肝心の「粟田口」が一体何なのかわからない(ドジにもホドがある?笑)そこで太郎冠者は、「粟田口売ってください~」と言って歩きます。田舎者が来たわ、とすっぱ(詐欺師)は太郎冠者を騙そうとします。
「あなたは大変運がいい!この私こそが粟田口だよ。最近、大名どもが粟田口を求めにやってきて、そりゃもう引っ張りだこ。残っている私と会えたあなたは幸せだよ~」なんて言うんですね( ̄▽ ̄:)
すっかり、すっぱを「粟田口」と思い、家に連れ帰ると、大名は、「良い粟田口とは・・」の説明が書かれている巻き物の内容と、すっぱを比較します。
「刃は強いか」と聞くと「岩石をかみ砕くほど歯は強い」
「実は古いか」と聞くと「産まれてこの方、一度も風呂に入った事がないので古い」
「銘はあるか」と聞くと「姉に子供が二人。だから「姪」が二人いる」と、あっけらかんと答える。
大名(シテ)も太郎冠者もすっかりと騙されてしまいます。
そして粟田口とはその地に住んでいる者を全てそのように呼び、実際の名前は「藤間之丞」であることを伝えます。
「よい粟田口を求めてきた( ̄∀ ̄*)」と、気をよくした大名は早速、粟田口比べに出発します。。
そしてこの大名は、道中、粟田口の名前を呼んでみると、見事に返答が帰ってくる。更にゴキゲンとなった大名は調子に乗って・・・
「粟田口!!」というと、すっぱが「お前に!!」
「藤間之丞!!」というと、すっぱが「これに候」と、即座の応答に愉快になり、自分の太刀を粟田口(すっぱ)に持たせ、更にウキウキと「粟田口!!」と呼びます。
しかし、粟田口(すっぱ)はとうの昔に、大名から預かった太刀を持って、さっさと逃亡。
騙されたと気づかない大名は、しばらく粟田口を探し周りますが、すっかりとすっぱにに騙され全てを持ち逃げされたことに気づき、悲しく帰っていくのです。