萬華鏡-まんげきょう-

止動方角(しどうほうがく)

◇止動方角(しどうほうがく)◇



※2005/10/8 萬斎inセルリアンタワー 公演時の解説を交えてご紹介します。


題名を観ても意味不明ですが 「止動方角(しどうほうがく)」とは呪文 のこと。

最初に主人が出てきます。狂言ではお馴染みの、名乗り「この辺りの者でござる」というところから始まります。
そこで、《お茶比べ》があるといいます。中世ではティーパーティとでも言いますか、利き茶とか、持ち寄ったお茶の優劣を競うという遊びがあったようです。
そこで主人は太郎冠者を呼び出して伯父にお茶を《かってこい》=つまり《借りてこい》と言い付けます。
この 止動方角の主人は「武悪」「鬮罪人」に並ぶ恐~い主人 です。
しかもこの止動方角の主人、かなりの我儘、癇癪持ち( ̄▽ ̄:)
遊びであるお茶比べ、借りてまでとは思うのですが、見栄っぱりでプライド高いこの主人。どうしても極上のお茶を借りて勝ちたいんですね。
しかし借りても…どうやって返すんでしょう(苦笑)

さらに威厳を出すため、《太刀》や《馬》までも借りてこいと言うんですね。
そんな主人の厚かましい迷惑な命令を押しつけられた太郎冠者、ブツクサ言いながら仕方なく伯父さんのご機嫌を害なわぬように《おべっか、お世辞》を使って色々と借りてきます。
そうして苦労してやっと借りて帰ってきたにもかかわらず、主人は太郎冠者に労う言葉もなく
「遅せーじゃねぇか!!(≧血≦)」と怒るんですね。

…萬斎さんが解説中、「遅せーじゃねぇか」と仰っていたので引用しました(笑)…江戸っ子っぽくていいですねぇ←邪心現る

さて…
太郎冠者は当然 (〃*`Д´)むっ!


萬斎さん:
「コマーシャルでありましたね。いやな上司がいたときに電話を掛けるみたいな、ああゆう状況になるわけですね(笑)」

コマーシャルネタ好きですね(* ̄m ̄)ぷっ

ここから、主人と太郎冠者の攻防《バトル》が始まるわけです。

さてこの馬。
伯父さんから特殊な癖をもった馬だから注意せよと太郎冠者は言われています。
《すわぶき》をすると…暴れる。
さて聞き慣れない言葉ですが

萬斎さん:
「《すわぶき》…この豪華無料パンフレット(笑)に語句解説が…ない
じゃないの…あ、ありましたね、《すわぶき》とは咳のことです。」


余談でしたが、パンフレットの語句解説を御覧になって解説をしていた萬斎さん。

萬斎さん:
「字が小さいですねぇ~(⌒-⌒;)実は私は眼がいいんですよ。2.0はあるかな?まぁ、あまり視力が良くても老眼になるのも早いけど(苦笑)」


萬斎さんが老眼鏡、想像つかないですが(笑)視力が2.0とは驚きです。私がコンタクトをしたときの倍!
羨ましいけど、見えたくないものも見えちゃうのかな( ̄∀ ̄;)汗


話題を解説に戻します。
そこで、万が一 暴れてしまった馬を鎮めるためには呪文「止動方角」と唱えよ。 あんまりにもムカついた太郎冠者。
先程伯父さんに「馬の後ろで咳をすると暴れる」という話を思い出すと、わざと咳をして主人を落馬させてしまいます。

太郎冠者:してやったり( ̄∀ ̄)b♪♪♪

まんまと呪文を唱え、馬を鎮めて代わりに馬に乗った太郎冠者。
主人は暴れ馬には乗りたくないということで仕方なく荷物を持ち徒歩、太郎冠者は馬上の人です。
ここで見た目の立場が逆転です(笑)
ひょんな会話から太郎冠者が将来、立身出世をしたときのシュミレーションが始まるのです。

主人:
「俺を召使だと思って呼んでみろ、練習だ」

太郎冠者:
「恐れ多くてそんな…とんでもない~」
「…でもい~んですかぁ?そぉですかぁ?( ̄∀ ̄;)←嬉


最初は主人の様子を伺いつつ、気兼ね・・・[物蔭]・)チラッ
・・・していたものの、段々と調子に乗ってきた太郎冠者。

つい先程、主人から言われた憎まれ口をそのまま言い放ちます。
いよいよ堪忍袋の尾がキレた主人、馬上の太郎冠者を押し退け自分が馬にまたがります。
腹のたった太郎冠者は、また咳をして馬を暴れさせると主人を再度落馬させることに成功。
太郎冠者は急いで「止動方角」と呪文を唱えるも、馬はすでに遠くへ逃げており、馬と勘違いしてまたがっていたのは恐い恐い主人でした。

ここで主人に「やるまいぞ、やるまいぞ」と追い込まれて退場します。


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