萬華鏡-まんげきょう-

能「源氏供養」

◇能 「源氏供養」 げんじくよう



石山寺で源氏物語を書いた紫式部は、その主人公である光源氏の供養をしなかったために気掛かりとなり、成仏できずにいた。
安居院法印の供養により観世音となり法印に人の世の無常を教え悟りを開かせる。
法印が書いた「源氏物語表白」を題材とし、紫式部の舞に重点を置いた曲。
※参考 能を知る会 鎌倉公演パンフレットより


【マメ知識覚書】
◇往生要集◇に、 架空の物語を作ったりすることは人の心を惑わす(妄語戒を犯す)として死後は「大焦熱地獄」に落ちる などとあるようです。
うひぃ~、怖いですね( ̄□ ̄;)!!
鎌倉時代中期、藤原信実が書いたといわれる「今物語」の中の説話に源氏供養の段があり、「ある人の夢に紫式部が現れてこう言う。空言をのみ多くし集めて人の心を惑わしたので、地獄に落ちて苦しんでいる。源氏物語の名を具して南無阿弥陀仏という歌を巻ごと詠んで自分の苦しみを弔ってください」というもの。
ある人とは藤原信実の祖母、 美福門院加賀 びふくもんいんのかが という人らしいとのこと。この 美福門院加賀 びふくもんいんのかが という人が紫式部と源氏物語を読む読者までも供養して救済をしたのが始まりなのだそうです。
あ、ということは、えーっとえっと、能「 定家 ていか 」で有名な藤原定家は藤原信実の叔父さん?(お父さんの異父弟←ややこしい・汗)
能「源氏供養」では 安居院 あぐい 法院の源氏物語表白を元に舞の部分が作られています。

さて、鎌倉能舞台で頂いた『源氏供養おぼえ』紙のままだと絶対に失くしてしまうので(苦笑)ここに書き上げましょう。


■源氏物語 五十四帖
桐壺・帚木。空蝉・夕顔・若紫・末摘花・紅葉賀・花宴・葵・花散里・須磨・明石・澪標・蓬生・関屋・絵合・松風・薄雲・槿・乙女・玉鬘・初音・胡蝶・蛍・常夏・篝火・野分・行幸・藤袴・真木柱・梅枝・藤裏葉・若菜・柏木・横笛・鈴虫・夕霧・御法・幻・雲隠・匂宮・紅梅・竹河・橋姫・椎本・総角・早蕨・宿木・東屋・浮舟・蜻蛉・手習・夢浮橋



■源氏供養
「松風」   松風も。散れば形見                  
「胡蝶」   あわれ胡蝶の                        
「槿」    槿花一日ただ同じ
「桐壺」   そもそも桐壺の。夕べの煙速やかに。
「帚木」   帚木の夜の言の葉は
「空蝉」   空蝉の。空しきこの世を厭いては。
「夕顔」   夕顔の。露の命を観じ
「若紫」   若紫の雲の迎え
「末摘花」  末摘花の台に坐せば
「紅葉賀」  紅葉の賀の秋の。落ち葉もよしやただ。
「賢木」   榊(賢木)葉のさして往生を願うべし
「花散里」  花散る里に住むとても
「須磨」   生死流浪の須磨の浦を出でて
「明石」   四智圓明の。明石の浦に。
「澪標」   澪標。何時までもありなん。
「蓬生」   ただ蓬生の宿ながら。菩提の道を願おべし。
「松風」   松風の吹くとても。
「薄雲」   業障の薄雲は。晴るる事更になし。
「藤袴」   秋の風消えずして。紫磨忍辱の藤袴。
「真木柱」  七宝荘厳の。真木柱のもとに行かん。
「梅枝」   梅が枝の。
「匂宮」   匂いに移る我が心。
「藤裏葉」  藤の裏葉に置く露の。
「玉鬘」   その玉鬘かけ暫し
「槿(朝顔)」朝顔の光頼まれず
「宿木」   蔭に宿木名も高き
「東屋」   官位を。東屋の内に籠めて。
「浮舟」   楽しみ栄を浮舟に喩おべしとかや
「蜻蛉」   これも蜻蛉の身なるべし
「夢浮橋」  夢の浮橋をうち渡り。身の来迎を願おべし。
「御法」   弔お法の力にて。我も生まれん
「花宴」   蓮の花の縁(花宴)な頼もしや
「槿(朝顔)」朝顔の露稲妻の影。
「夢浮舟」  思えば夢の浮橋も。夢の間の言葉なり
※引用 三十四 内、重複 四

※能を知る会 鎌倉公演 能舞台にて提供されたチラシより

↑コチラをシテ・ワキ・地謡が流れるように謡い上げる。

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