萬華鏡-まんげきょう-

秀句傘(しゅうくからかさ)

秀句傘 しゅうくからかさ




【登場人物】
シテ 大名
アド 太郎冠者
アド 新参の者


【あらすじ】
大名は会合の席で自分のわからないことでみんながどっと笑うので自分が笑われているのではないかと心配するが、近ごろ「秀句=ジョーク」が流行っていることを知った。

そこで、密かに秀句を習おうと太郎冠者に秀句の得意なものを召し抱えるよう命じる。

太郎冠者が連れてきた新参の者は昔、傘張りをしていたので「傘」を使った秀句なら得意だと言う。

早速「披露せよ」と言うと

(遠くから来たので)「骨を折って参った」
「つれづれに申そう」
「得申さぬ」


などと言うが、そもそも秀句がわからぬものだから、新参の者の言っている内容が分からない。
真に受け、大名は怒って一旦新参の者を追い出す。
太郎冠者から先程の秀句の意味を聞いた大名は、再度現われた新参の者が言う
《秀句ではない言葉を》秀句と勘違いして笑いどころでも何でもないところで大笑い。←太郎冠者よ・・なぜ分ってて止めないの(苦笑)

気をよくした大名は褒美にと扇や小刀、着ているものまで差し出す始末。
いつの間にか褒美をたくさんもらった新参の者は立ち去り、残る大名と太郎冠者。
己の失態と無知を実感した大名は、「秀句とは寒いものじゃ」と言い残して終わる。

【見どころ】
あまりかからない稀曲だそうです。
「傘」に引っ掛けた秀句(=ジョーク)を解説なしで理解するにはヒアリング能
力と駄洒落を理解する心がなければなりません(笑)
「骨を折って…」はギリギリ理解できそうなものの、連投される秀句の数々に翻
弄されまくってしまいます( ̄∀ ̄;)汗

こちらの会の主宰をされている鎌倉能舞台の観世流シテ方 中森貫太さんがこちらの秀句についてお答えくださっていたので、ご紹介させていただきます。
さて、どこが秀句かわかりますか?
Ans.の後はドラッグしてご覧下さい。

大名「秀句はどれから参った?」

新参の者「しまから参った」
Ans. しま=傘の柄と骨を繋ぐ斜めの骨のこと

新参の者「遥々と参った」
Ans.  " はる "="傘を る"

新参の者「骨を折って参った」
Ans. これが一番簡単?傘の骨にかけている

新参の者「得申さぬ」
Ans.  " "="傘の "にかけている


全部ではありませんが、新参の者が言った秀句(=ジョーク)は上記のようなことです。

「なんのことやらさっぱり」判らず逆に真に受けて怒りだす大名 は、現代にも洒落や冗談の通じない人と同じでしょうか。

秀句を言えと言われて連れてこられたのに、怒られて刀で脅された日には新参の者もブチ切れそうですが(笑)あくまでそこの感情はフラットに表現されていますね。

太郎冠者に秀句の意味を詳しく聞き、再度呼び出し秀句の聞き分けをチャレンジ。

それでも急にはユーモアや笑いのセンスは開花しませんよね。
理解したふりをして 何でもかんでも笑い飛ばしてしまう「知ったかぶり」 は、何だか他人事ではありません(笑)

少なからずちょっとわかったふりをして、愛想笑いの一つくらいを飛ばす、なんてことは誰しも経験のあることではないでしょうか?
私はある(きっぱり)(* ̄ro ̄)ヒソヒソ

的を得ない反応をして場がシラケた時、その後の「寒さ」
着物を失った大名は情けなさいっぱい。

「秀句とは寒いものじゃ」

と言う一言が自戒の念と己の腑甲斐なさを秀句のせいにしてしまおうという、見え見えのプライドがちょっとした人間の小ささを描いているようで笑ってしまいます(* ̄m ̄)


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