萬華鏡-まんげきょう-

鏡男(かがみおとこ)

鏡男 かがみおとこ



※落語「松山鏡」もとねた
■登場人物 夫(シテ)、妻(アド)、鏡売り(アド)

【あらすじ】
都での訴訟がやっと片付き、長く在京していた男がやっと故郷の越後国(現在の新潟県)の松之山家に帰国できることになりました。
待ちわびている家族に都と土産をと思うところに鏡売りの男に勧められ、男は妻を喜ばせようと、高額な鏡を買い求め急いで国元を目指します。
途中、鏡を取り出して見てみると中には誰かがいます。(もちろん鏡に映った自分なのですが)
当時鏡は全国的にまだ普及しておらず、田舎住まいの男は当然鏡を知りません。
男は道中、鏡を見て驚きながらも色々試してみるうち、ようやく自分の顔が映っているのだと理解します。
やがて帰宅すると妻は大喜びで男を迎えます。
自信満々に土産の鏡を手渡す男。
ところが土産の鏡を渡されると中には見知らぬ女がいると言って烈火のごとく怒り出します。
夫「それはお前が映っているんだよ。鏡というものじゃ」
何度説明しても、「鏡」自体の存在を知らぬ妻は信じようとしません。
妻「この向こうで、ものすごい形相で私を睨んでおります!」
夫「だからそれは、お前じゃ。ほれ、身共がこうして後ろから覗けば一緒に映っておろう?」

妻「・・・ヽ(`Д´)ノキーーーーー」
 「あなたがこの女の顔に吸い付くように寄り添っているじゃないのー!ヽ(`Д´)ノキーーー」

夫「( ̄□ ̄;)・・・わかった、もうよい。わかってもらぬならこの鏡は遠くにやってしまおう」
妻「なんとっ!ここまでわざわざ(その女を)連れてきておきながら余所へやるとは、酷い人っ!」
 「ヽ(`Д´)ノキィーーー」

と、(台詞部分は違いますので悪しからず)
こんな夫婦喧嘩がなされ、たまりかねた夫は「許してくれぃ」と妻に追い込まれて終わります。

誤解は最終的に解けたのでしょうか?!

【みどころ&マメ知識】
物の姿をありありと映してみせる鏡は、銅鏡など古代から聖なる神具とされるなど人々の畏敬の対象でした。
古作の能に「松山鏡」という曲があり、松之山の娘はやはり鏡を知らず、鏡の中に亡き母の面影を見て、その存在を信じて度々自分の姿を映し見るシーンがあります。
この能の影響で「鏡男」という狂言が作られたものと言われているようです。
また「天正狂言本」に「松山鏡」という曲が書かれていて、これは使用人を買いに行った男が騙されて鏡を買って帰ったところ、妻はその鏡を見て「女を買ってきた」と思い、祖父は老人を買ってきたと怒るという話で、この「鏡男」よりも一層ドタバタした曲だということです。


※参考 新宿狂言VOL.13(2006.12.15and16)プログラム


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