萬華鏡-まんげきょう-

シークレット・ウィンドウ

シークレット・ウィンドウ


監督:デビッド・コープ
出演:ジョニー・デップ、ジョン・タトゥーロ、マリア・ベロ、ティモシー・ハットン

【STORY】
作家のモート(ジョニー・デップ)は、妻エイミーとの離婚協定に疲れ果て、執筆に専念できず怠惰な日々を送っている。ある日、モートの元へ、シューター(ジョン・タトゥーロ)と名乗る男が出現し、「俺の小説を盗作しただろう」と詰め寄ってきた。確かに、モートの小説「秘密の窓」にかなり似通っていた。モートはすぐに発行した年を調べるが、シューター執筆の作品よりも、3年も前に発表されたことが判明する。しかしシューターは、納得せず、「出版されている小説の結末を直し、自分の名前でで再出版しろ」と詰め寄る。そして、さらにシューターは執拗にモートへの警告を重ねる・・・。
モートを演じるのはジョニー・デップで、モートの生活スタイルや行動パターンがすべて謎を解く鍵となっている。

【感想】
ジョニー・デップの演技が光る作品。
しかも、なんであんなに小汚いズタボロ状態の出で立ちでもカッコよく見えるのか・・・。
CMやパンフだけだと、イマイチその・・・「きゃ~かっこいいわ」ってな感じではなかったのだけれど(激爆)スクリーンに登場した途端、その容姿、雰囲気、ボサボサの髪も、格好も、尋常じゃない血走る瞳にも釘付けとなりました・・・。
もしかして、写真写り・・時たま悪いのかしら?(爆)
余談ですが、私の好きな野村萬斎氏も・・・「どうしたの?その写真写り( ̄▽ ̄:) 」と思うこともしばしば・・・。どうやら、私がハマってしまう俳優さんの一種の特徴でしょうか(笑)

シークレットウィンドウでは、想像していた冴えない小説家「モート」とはかけ離れ、まさに私の中で「やっぱり愛すべきジョニー・デップ(〃 ̄▽ ̄〃) 」に修正された(笑)
ごめんね、ジョニー。
(私になんて謝られなくてもいいと思うが)

さらに余談ですが、ジョニー・デップ演じるモートは、いわゆる愛する妻を他の男に奪われます。でも・・・ジョニー(モート)のほうが全然イイ男じゃん( ̄▽ ̄:) なんて心の中でブツクサ言ってましたが・・・あ、つい関係ないことを・・失礼


さて、真面目な感想はここから。

ネタバレもここから!要注意です

世間から見られている普通の自分、狂気な部分を持つ自分。その二面性を見事に演じ切って、すっかりジョニー・デップの俳優としての魅力に取り憑かれてしまう。

追い詰められた時、信じる者に裏切られた時、絶望の中で誰しも持ちえる「狂気」かもしれない。
これが、この映画では普段は冴えない小説家モートの隠れた人格(多重人格 シューター)が表面に出現し引き起こした事件だったという結末。
「多重人格」は解離性同一性障害と言われ、自分の中にもう一つ(またはいくつか)の人格が存在することを気づかないケースが多いらしい。
つまりモートは一日16時間も眠っている・・・と思われたが、実は眠っているのではなくシューターとなって殺人を繰り返していた。

彼は職業柄、自分の中に存在しうる「狂気」を吐き出す術が「小説」だった。原稿に書き出しているだけであれば納まっていたものが、半年前の「妻の浮気現場を目撃した」ことで、人格を保っていたものが、その許容範囲を超えて事態は発生したのだろう、と私は解釈した。

人間として、モートの心情にも深く共感しながら映画館を後にした。
人を愛するがゆえに、その人格さえも奪うこともあるという事実。
人間の弱さ。愚かさ・・・頭の中を渦巻いた。
モートと妻が破局した裏には、それぞれの言い分があったのだろうが、そもそもは「自分勝手さ」から生み出した悲劇なのかもしれない。
モートが妻の愛用していたガウンをいつも側に置いて暮らしている様子も、離婚を承諾する書類にサインが出来ずにいる様子も、なんだかとても切なく感じた。

もう一人の「狂気的なモート(多重人格者)」を生み出してしまった要因は、彼があまりにも実直で真面目、完璧主義だったからなのか・・・
そして、「秘密の窓」の一文にある「愛にすがっている男」とは、自分のことなのでしょうか。

【あめみこの総合評価:★★★★☆】
普通に心理サスペンスとして観ても、かなりのドキドキ感が味わえます。そして、
人間の表と裏 そういったものに、最近とても興味を覚えた私にとっては、結構考えさせられ、より面白い作品でした。

トップページへ戻る




© Rakuten Group, Inc.
X
Mobilize your Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: