萬華鏡-まんげきょう-

2006年06月17日
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カテゴリ: 能狂言

於:鎌倉能舞台

平成18年6月11日(日)午前10時00分開演



番組表(敬称略)

公演 源氏物語と能 尾島政雄

■大蔵流狂言「 右近左近 おこさこ

右近 善竹十郎、妻 善竹富太郎 


■観世流能「 源氏供養 げんじくよう

里女/紫式部(シテ)中森貫太、安居院法印 野口能弘
大鼓 高野 彰、小鼓 森澤勇司、笛 寺井宏明

■質疑応答 中森貫太




扇1


右近左近 おこさこ


内沙汰 うちさた

【登場人物】
シテ 右近 アド 妻

【あらすじ】
農民の 右近 おこ 、腹を立てながら妻に訴える。
「今年は豊作だったものの、隣の 左近 さこ が飼っている牛が自分の田を荒らしたから講義に行ったんだ。そうしたら、悪びれもせず畜生のしたことだから堪忍しろと言って平然としてるんだよ!もー、頭きた!地頭に言いつけてやるぞ!」
※地頭=室町時代、大名に知行地を与えられた家臣のこと

村一番の口利きで地頭とも親しい左近と、口下手で地頭とも馴染みのない右近では到底勝ち目はない。
それでも地頭に訴訟を持ちかけてやるんだーヽ(`Д´)ノと息巻く夫に、それならば家で稽古(リハーサル)をしてから出かけよう、ということになり、妻は地頭に見えるよう大名烏帽子を被り床机に腰掛け待つこととした。

妻「これは稽古。左近側に立って練習せねばなるまい」←ノリノリ?

威丈高に詰問する妻。もともとが臆病な右近は緊張して言葉が出てこない。
まだリハーサルなんだけれどねぇ・・・(笑)
事の顛末を説明しようとすれば・・・

右近「えーっと・・・えーーーっと・・・右近が左近で、左近が右近で・・・えええーーっと」

右近「ああああああああ・・・右近が左近を食い荒らしまして・・・いやいや・・・左近が、牛が右近を喰いましてございます・・・・・・あああああああ・・・・え~、え~・・・」←ウル覚えで違うと思いますがイメージで(苦笑)

地頭に扮した妻「(〃*`Д´)/何言うてんのかわからんわっ」←しつこいようですが台詞はイメージで・・・

右近「ひぃぃぃ~」ついに右近は目を回して気絶してしまう。
驚いた妻は烏帽子を取り介抱するとやっと息を吹き返す右近。
妻は身を案じ、訴訟を思いとどまるように言うが、右近は妻に「左近びいきじゃないか!」となじり、なおかつ左近との密通を疑う。
棒を持って妻を攻め立てようとするが、結局は妻のほうが強く、棒を奪われ逆転してしまう。
妻「勝手にするがいいわっ(-.-")」と出て行った妻に残った右近。

右近「笑うなら笑うがいいわーはーっはっはっは・・・」
静かに背を向けその場を立ち去っていく。

【感想】
和泉流では「内沙汰」、大蔵流では「右近左近」。実際の舞台に左近は出てきませんが、このお話の登場人物がそのまま題名になっています。

よくある夫婦の喧嘩かもしれませんね(笑)
ちょっとこの狂言の右近は情けなさすぎますが( ̄▽ ̄:)
この狂言を観る前に他の方が書いたレポートなどを参考までに読んでいきましたが、「そりゃないよー右近が可哀想」なんてことが書かれていて、私はどんな感想を持つだろうと楽しみにしていました。

でもね、右近は妻に愛されているし、右近は妻を愛している。喧嘩をしてしまうけれども、妻は右近を思って厳しい稽古をします(笑)左近びいきになることにより、練習の成果を上げようとした、にもかかわらず、左近との密通(浮気)を疑われてしまうんですよね。
「仲良さそうに茶を飲んでいたではないか」といわれて、「はっ」とした様子の妻ですから、真意のほどはわかりませんが・・・
弁も立ち、地位も高い、夫(右近)と比べても優れているのは一目瞭然という左近ですから、妻だって少しは憧れの目で見ていたかもしれませんねぇ(笑)

今回のシテ(右近)は善竹十郎さん。妻は善竹富太郎さんでとても恰幅の良い方です。大きな妻に対し十郎さんはお体も小さくて、より気弱さ、貧弱さが誇張されているからより気の毒さ、面白さが際立っちゃうんですね。

妻の装束(縫箔)は出てきたときからびっくりしましたねぇ。
何と言っても大きなお体に真っ赤な下地、金の文様がドドーンと入ったどこぞのお姫様が着ても不思議ではない派手さ!Σ(・∇・)
本当に農民の妻か?(笑)という感じ。
ひょっとして左近に買ってもらったのか・・・←考えすぎ

右近は庶民の出で立ちである太郎冠者スタイル(肩衣、縞熨斗目、腰帯、狂言袴)ですから女性が恐妻家に見えるための工夫でしょうか。

最後に、一人残された右近が「笑うなら笑うがいいわ~、はっはっはっー・・・」と言って終わるのですがその余韻と小さな背中がなんともまた男のプライドの殻に無理矢理押し込まれた哀愁が見えてくるようで見所の笑いを誘いました。


ちょうど7月の地元公演で万作家の「内沙汰」を観る予定となっているので、事前に大蔵流「右近左近」が観られてラッキーでした。
あまり私の知らない曲だったのに、偶然この右近左近→内沙汰の観劇が近い、というのも妙な運命を感じます。
え?私はそんなに恐妻ではありませぬ(笑)

次は・・・
能「源氏供養」-県民のための能を知る会 鎌倉公演より のパート【2】です。


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最終更新日  2006年06月17日 09時50分04秒
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