いつの話だ~(汗)もう11月ですね( ̄▽ ̄:)
さて。番組の順番だと狂言「栗焼」からですが、先に能「船弁慶」の覚書を書いておきます。
番組表(敬称略)
■能・観世流「船弁慶」
-小書- 重前後之替
、 早装束
前シテ/静御前
後シテ/平知盛の霊 武田宗和
子方/源義経 小早川康充
ワキ/武蔵坊弁慶 殿田謙吉
ワキツレ/従者 梅村昌功 御厨誠吾
アイ/船頭 野村萬斎
笛 一噌隆之
小鼓 大倉源次郎
大鼓 白坂保行
太鼓 助川治
※後見および地謡は省略させていただきました。
船弁慶あらすじ
のリンクはこちらから
【船弁慶 小書に関するメモ】と【感想】
「前後之替」の小書がつくと狩衣に真の太刀を持った姿になり、煌びやかでゴージャスな公達の装束となるようです。
動きも優雅になるというのですが、両方を近い感覚で観たわけではないので..ちょっとこの辺は記憶が曖昧(苦笑)
定例公演パンフレットより・・・
「この小書は静が烏帽子をつけ白拍子の装いとなったあと(物着)、舞台を一巡する「イロエ」という所作が省かれ、展開がよりスピーディになります。また、「中ノ舞」を舞うところは「盤捗序ノ舞(ばんしきじょのまい)」となります。」
なんだそうです( ̄▽ ̄:)
盤捗調というのは笛の調子の一つだそうで通常より音程が高く、序ノ舞では優雅で気品のある舞なのだそうで・・・
ええーーっと初心者な私はその盤捗調の笛の調子とやらの聞き分けは出来ないので~詳しくはわからなかったのですが、途中、橋掛リで義経を想い嘆く型が入っていたりして、より静の悲しみが押し寄せてくるかのような演出になっていました。
その他、船弁慶の小書は以下のものがあるとか。
○狂言方の小書
「早装束」「名所教」など。
「早装束」は今回私が舞台で拝見した小書。船を持って急ぎ出てくるまでの間、数十秒。あっという間に装束を替え驚くほどの早足で登場します。
中で狂言方の働きの方々はどんな手順で行っているのか~見てみたい!
○ワキ方
「船中之語」は船の中でワキ方が語る
小書にも色々あるんだなぁと思いました。
同じ曲でも、こういう特殊演出によって色々と楽しめるので何度でも楽しく鑑賞できるものも多いんですね~。
今回は重前後之替(おもきぜんごのかえ)、早装束(はやしょうぞく) と言った二つの小書付き(特殊演出)でした。
重前後之替はシテ方、早装束は狂言方の小書。
狂言方の小書もあったのかぁ~…
あ~、だって狂言にだって特殊演出がつくものもありますもんね・・・
例えば、「金岡 -大納言-」とか。
・・・とビギナーな私は今さらながらココで再認識( ̄∀ ̄;)
前場のシテは静御前ですが、実は前回観た船弁慶のときは、後シテ知盛の印象が強すぎて…前場は何か少し記憶が薄かったのです。…あと、白状すれば初めて目にするアイ@船頭の萬斎さんの精悍な眼差しに釘づけだったとも言う…( ̄∀ ̄;)
えへ。
今回は違った!
まず大物の浦へ落ち延びる運命の義経への最後の目通り叶わず、都に戻れと弁慶を通じて言伝があり、それを嘆いた静が橋掛リにて、
「これは思いも寄らぬ仰せかな、いづくまでも御供とこそ思いに、頼みても頼みなきは人の心なり、あら何ともなや侯」
と言う場面でちょっとウルっときました…(T∀T)
愛する人が側にいながら…また、永遠の別れになるかもしれないという時代。逢うことすら叶わず無下に帰されることを思えば切なすぎて。
その後、義経と静は逢うことができ別れを惜しむ場面へ移行します。
烏帽子を被り白拍子の姿になった静がゆったりと舞う…。舞いながらも世の不条理と愛する人と引き離されなければならない現実が込み上げて、一体どんな想いで舞っていたのかと思うと胸が苦しくなるようで…。
もうね、この時は義経の子を身籠っていたのですし…。
小書の特徴だと言うことですが、橋掛リへ来て義経との別れを悲しみシオリます。。そこがまた…(T∀T)うるる
実は…烏帽子を舞台上で付けるために地謡の前に片方立て膝で座るとき…真後ろの位置にいた私は足がガバァ~っと開いたのを見て
「あぅっ( ̄∀ ̄;)男っぽいとこ垣間見た」と思って現実に引き戻されていたのでありますが(爆)
その後の気持ちの巻き返しはすごかった。
泣けたんです…。
しっとりと目頭が熱くなりました。
そして、前シテ中入り。
弁慶は義経の心が揺らぐことを懸念し一刻も早く船出をしようと船頭を呼びます。
出航してまもなく風が騒つき荒々しく大波が船を打ち砕かんばかりに迫りくる。
船頭がリアルに船を漕ぎ進みゆく中、ふと気付くと 半幕の下に控え、睨みをきかす平知盛。
「半幕の下に片足の立膝で座し・・・」
これも小書の一つの特徴だそうですが気付くと知盛が橋掛リ立って見所に向かっているよりも、じっと立ち膝で座り睨んでいる様がね、何だかず~っと怖ろしくてカッコイイんですよ。
ぞくっ…。
ときました。
装束は白地を基調とした一層煌びやかな狩衣。
おどろおどろしさよりもゴージャスです。
急調で演奏される囃子が荒れ狂う海原の様子を表現していくので緊迫感が増してくるんですよね。
詞章で表された様子も壮絶。
謡
「また義経をも、海に沈めんと、夕波に浮かめる、長刀取り直し、巴波の紋、辺りを払い、潮を蹴りたて、悪風を吹き掛け、眼も眩み、心も乱れて、前後を忘ずる、ばかりなり。」
弁慶が数珠をもち祈り伏せると、橋掛リへ後退していく知盛。
かと思えばまた長刀を勇壮に振りかざし義経を狙う。
舞働きでの知盛の跳び返り!
これはも~、心搏数上がるほど興奮したかも(笑)←何だかんだ派手好き
クライマックス近くでは、知盛が波に流される「流れ足」という水上での足使いが観られました。
摺り足とは違う横にすーっと…蟹歩きのような…なんだかちょっと歌舞伎のような
あ、そんな表現したら全然恐くなくなっちゃう( ̄∀ ̄;)←雰囲気を壊すボキャブラのなさ(汗)
本当に前場はしっとりと…後場は一転して息を尽かせぬ急展開。
観世流シテ方 武田宗和さん。よく存じ上げなかったのですが~…。1948年生まれ、この世界では重鎮に近いのか…まだなのか私にはよくわかりませんが( ̄∀ ̄;)
迫力ありました。もう半幕からの睨み、ただとどまっているだけなのに、すごい存在感。
やっぱり私は船弁慶が好きだなぁ~
そしてこの重前後之替という小書き付き。もう一度観たいと思いました。
【アイ狂言@船頭】
やはり、ここを触れずして私のレポは完成しない(笑)
ミーハー魂なコメントが曲の雰囲気を壊す発言をしてしまうかもしれないので~
…分けました(笑)…すでに「蟹歩き」のところで壊したか…(汗)
今回は小書もついて、1時間45分という演能時間でしたが、前場の前半早いうちからずっと出ずっぱり。
肩衣は深い濃紺地に船の帆が沢山に連なる柄でこれはまた船弁慶によく合うチョイス。
前は斬新な大きな錨に縄が絡まった、知盛の最期を思わせる肩衣でした。
まだあるのかなぁ~、違う船弁慶バージョンが。
狂言座に座る萬斎さんは~…はぁ(´◇`)眼差しが本狂言のときとは違う凛々しさ。
脇正面な私は~狂言座に対しては横を向いているので…滅多やたらに観られないのですが(笑)
早装束では、驚きました。
普通の肩衣、狂言袴といういわゆる庶民(太郎冠者と同じ)装束だったのが、水衣に括袴に早変わり。
髪の毛が隠れちゃって~・・ちと残念ではありましたが(全くミーハーだな・汗)
船を颯爽とこぐ、怨霊にも怖れをなさぬ勇ましき船頭~・・・なのですが、まだ波も緩やかな船で間もない頃は、弁慶にこんなことを言っているんですね。
「今日は若手の舵手を揃えたんですよ~。ここはひとつ、我らに海上の舵取り仕事を独占させてくださいませんか~ねぇ、旦那~」
※直訳ではありません、あくまでイメージです(苦笑)
弁慶はそんなことを言われてもムサとした表情を一向に崩しませんが(笑)
こんなセリフもまた狂言らしさがあって、能の持つ緊張感の中にふと力の抜ける良い場面です。
「いぇーい、いーぇーい」船を漕ぐ姿。波を静め懸命に船を進めようとする姿は何度観てもカッコイイし、狂言方も大活躍。
とても満足のできるお能ですね。
【本日の萬華鏡つれづれ】
風邪引いてました・・・。喉が萌えるように(漢字違っ!)燃えるように痛かった。
大体12月頃に酷い風邪をひく私にしては時代先取り。
でも大分、よくなってきました。
4日間ぐったりと寝込んでいればよくもなろう(苦笑)
休んでいる間に、NHK教育 芸能花舞台で放送された六世野村万蔵さんの特集を録画で観ました。
今ではなかなか観ることのできない貴重な映像を観て、一層生の狂言をたくさん観たくなりました。
ゲストとして人間国宝 野村萬さんもご出演されていて、お話をする姿をテレビでじっくりと拝見したのは初めてだったのですが、万作さんとは違う温かみある笑顔でとっても優しそう。
もちろん、録画にあったご長男(故万之丞さんで八世野村万蔵さん)に三番叟のお稽古をつけている姿は厳しそうだったけれど。
来年は77歳になられるとのことで、萬狂言ではお父様である六世万蔵さんが得意としていた木六駄を演じられるそうです。
はぁ~、すっごく萬狂言も観たいなぁと思う今日このごろ。
と思ってチケットぴあを覗いたら、発売日は過ぎていた~(苦笑)
来年は萬さんの狂言もたくさん観たいな~
他にも書きたいことは何だか山ほどあるんだけれど、時間がなく~・・・ここまで~。
こどものためのおもしろ狂言(茂山千五郎… 2012年08月06日 コメント(2)
【1】新春名作狂言の会 2008年02月02日 コメント(14)