青藍(せいらん)な日々

青藍(せいらん)な日々

MT俳句集


立ち仰ぐ恵那の山々冬日浴ぶ
木曽川にかかる朱の橋冬日和
子のハナシ少し大人び年新た
初めての幼き孫の年賀状
時過ぎて松の飾りをおさめけり

二月
一夜明く幸をのせたる枝しなう
たなびきて山々かこむ冬夕焼
節分の豆投げ終えし子等寝入る
風はなや門の脇まで掃き清む
寒明けてつい暖かな縁に臥す

三月
鳥の寄る小枝のゆれや芽ふき急
かんばせの古き雛をかざりけり
木曽深く春雪光る山の峯
電線に並ぶ雀の子を連れて
春めくや小鳥の声の高くなり
弘法の祭り賑わう春の街

四月
花吹雪たちまち積もる築地塀
公園の桜の下をくぐり抜け
新入生給食袋のひも長く
驟雨きてたちまち落とす紅椿
犬小屋に飛び来て遊ぶ鳥の子
咲くもよし散るも又よし桜花

五月
重たげにつつじ咲く垣朝の雨
埋めたる池のあたりや蛙の声
母の日や九州便のカーネーション
送り来し新茶の香り縁に座す

六月
青梅を洗う指先香を移し
梅雨の間や沈む夕日の赤深く
若竹のどこまで伸びる空青し
アジサイの丸い玉より水光る
犬を呼ぶ藪蚊の襲う庭に立ち

七月~八月
七夕や子ら願い書く短冊に
夕ぐれの縁に座しをり蚊遣香
夕闇やぴたと止まりし蝉しぐれ
台風の風にもまれし庭木立

九月~十二月
夜も更くる鈴虫の声一段と
玉入れの歓声上がる運動会
秋夕焼独りぶらんこ漕ぐ子ども

木々の間に仰ぐ秋空山深し
秋祭りワイショワイショと子供達
秋夕焼雲黒々と金の筋

柿ひとつ残る枝先夕烏
冬の暮響き


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