青藍(せいらん)な日々

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第36話 定年前



もっとも、歴史の薄い日本でヨットを思いつかないというのは当然かもしれません。ヨットをもっと広げるには、時間が必要です。テレビなどのマスコミにもっと取り上げてもらえると良いですね。しかし、マスコミが取り上げるのは誰かが世界一周したとか、アメリカズカップとか、自分達とは程遠い存在である事を植え付ける内容ばかりです。それでは、ヨットは自分達のものにはならない。もっと一般的な事柄として、身近な内容でのヨットという代物が取り上げられると良いのですが。

例えば、大衆イベントとしてのヨットのパレードなんかどうでしょう。それも、小さなヨットの家族で参加しているような人達、シングルハンドで参加している老人、女性だけで乗ってるヨット、サラリーマンが共同で購入して参加している人達、最も身近に思える人達を中心に取材してマスコミの載せる。そんなイベントが年に1回でもあれば、良い影響が出るのではないでしょうか?
レースで優勝した大型レーサーなんか取材しても何の効果も期待できない。これらは大衆化が進んでこそ効果的なのですが、誰も知らないヨットで優勝しても、誰も興味なんかわかない。

ヨットが将来一般大衆化するとは思えませんが、それでもまだまだヨットはもっと広がってほしいものです。せっかく心に浮かんでも、すぐに始めようと思う人は少ない。次の障害物は、その難解さにある。いや、難しく見える所にある。ヨットハーバーでヨットを見ると実に多くのロープがある
ここでおそらく多くの方々がノックアウトされる。本を読んでも専門用語の多さにまたノックアウト、それでふるいにかけられた人が、勇気を持って誰かに聞いてみると、難しい話でさらに困惑し、時化にあった苦労話で、やる気を無くす。

専門用語はある程度は仕方ないかもしれませんが、もっと楽しい話をしましょう。苦労したあなたも苦労ばかりならとっくにやめてるでしょう。楽しい時があるからやめられない。その楽しい話を先にしましょう。風に吹かれた気持ち良さ、静かに走る何とも言えない快適さ、夕暮れの夕陽の美しさ、夜の夜光虫の輝きの美しさ、クルージングして島に上陸するちょっとした冒険心、何でも良いですが、楽しい、心踊る話をしましょう。

それにヨットは決して難しいものでは無いという事。単純に走るだけなら、すぐに誰にでもできる。そして、少しその奥の深さを魅力として語ってください。難しさでは無く魅力あるものとして。それで、一人でも多くの方がヨットの世界に入ってこられれば、その人の周りに居る数人の方々に影響を少なからず与える。もし、一人が友人の5人を乗せてあげれば、ひょっとするとその中から、これなら俺もやってみようかな、なんて方が出ないとも限らない。それが全国でやれば大変な数です。

これから引退を控えた方々には喜びとなり、生きがいともなり兼ねない。今からはヨットは彼らの時代です。どんどん増やして、マリーナが増えて、ヨットが認知され、いろんな乗り方で楽しみ、元気な人が増えると日本は大丈夫、年寄りが活き活きしている国が悪かろうはずは無い。それを見て、若者は刺激され、俺もいつかヨットに乗れるようになるぞと頑張るのです。これが私の日本再生のシナリオなのです。銀行なんて再生するより、よっぽど健全ですよ。



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