青藍(せいらん)な日々

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第8話 本物?



ブランド品の本物か偽物かは別にしても、本物とはその物の本来の目的において、極めて優れている物ではないでしょうか。その物の本来の目的以外に付加された価値を取り除いたとしても、本質において極めて優れている事。

こうして見ると、最近の技術力の発展に伴い、あらゆる商品が優れてきています。しかし、どれも際立つというより、使って支障の無いそこそこ、それに加えて、他の機能を多く持たせてきています。一方、使う側も使ってそこそこ支障が無いならば、他の機能の多い方が良いという事もあります。全ては需要と供給の関係が成り立ちますから、とりたてて支障が無ければ良いという考え方もあるでしょう。

100年経っても美しいヨットがあるとします。これを可能にするには、最高の素材、工法、職人の技術などなどが全て調和しなければなりません。でも、そんなに長持ちする必要は無いと言ってしまえば、身も蓋も無い。でも、日本に住む我々は豊富な物資に囲まれ、もう、そこそこには充分満たされてきました。多くの機能が付加された物より、シンプルで本質的に優れている物、使い捨ての時代から物を大切にして、次の世代へと受け継ぐ。こういう時代になっていくのではないでしょうか。これこそが文化であり、本物志向であるのではにでしょうか

長く使えば、その分、他の物に消費が回る。より豊かな生活という事を考えられるのではないでしょうか。大量消費こそが豊かさを表すものさしであったのが、これからは、本物を長く、大切に使い、そしてその分、心の豊かさに気を配る、というのはどうでしょうか。



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