青藍（せいらん）な日々

第４１話　ヨットを引き摺り下ろせ

これらの観念がヨットを身近なものから遠ざけ、高い位置におしやってしまいました。ヨットは確かに高価な物もたくさんあるし、安い物もたくさんある。難しいかと言えば奥が深いので難しいかもしれないが、一方、簡単に乗れるやり方もある。要求が多ければ多い程、今の自分のヨットが劣って見えてしまう。ヨットは高価でもなければ、難しい物でも無い。ラットじゃなければ乗れないわけじゃないし、冷蔵庫が無ければ走れないわけでもない。外洋に出るだけがヨットじゃない。全ては、そう思うからそうなった。だからヨットなんて乗れなくなる。そうすると、ヨット本来の素晴らしさなんて誰も見向きもせずに、陸上に居る時と何ら変わらない程度の楽しみ方しかできなくなる。

ヨットを高みから引き摺り下ろして、自分の隣におきましょう。それは簡単な事です。これでも充分に楽しめると知る事です。たくさんの装備がなければ楽しくないと思うのは、自分で勝手にそう定義してしまったからです。キャンピングカーより自転車の方が楽しいという事もある。自転車は隣にあるが、キャンピングカーは遠い存在。それに走って楽しく、風を切って感じるのは自転車の方です。でも、皆さん、キャンピングカーの方が自転車より優れていると思っている。これらふたつは違う物です。別々の楽しみ方がある。

例えれば、大型ヨットはキャンピングカー、小型ヨットは自転車でしょう。でも、このヨットの場合でもちゃんとキャビンもあるので、車程度でしょうか。みんなキャンピングカーを求めて、キャンプに行かない、車を持ってる人はキャンピングカーにあこがれて、やはりどこにも行かない。そんな気がします。

ヨットはセーリングが最も楽しいという事をまず知ってもらいたいと思います。外洋出るより、宴会するより、何よりも絶対楽しいという事を経験して頂きたい。そのうえで、追加的にいろいろなバリエーションとして他の楽しみ方でも遊ぶ。

欧米ではヨット先進国ですから、この辺の事が良く浸透しています。メガヨットも売れるマーケットですが、同時に２５フィートだって良く売れる。それぞれが自分のスタイルで遊んでいる。これがヨット先進国だと思います。日本もそうなってほしい、そして、もっと多くの人達が楽しめるようになってほしい。経済大国日本、海に囲まれた日本、これからだと思います。

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