「うーん・・なかなか見つからないね」そういって私はため息をつく。

開始から30分。3枚という少ない枚数を集めるながらも、まったくもって見つからなかった。

「あ、でもぉ・・一つ見つけたよ!!ほらっ」

亜紀先輩が見つけたカードには、金箔で「聖学園」と書いてあった。

「先輩すごいですね!さすが先輩だな!!」

なんて、HAYATOは“先輩”だからめっちゃほめている。

「ありがとう!さっすがHAYATO君だね~。嬉しいよ!」亜紀先輩もまんざらではないらしい。

「あははっ・・っと、あ!カードもう一枚見つけたよ!!」

私は観葉植物の間に挟まっていたカードを見つけた。

こっちには聖学園のシンボルがかいてあった。

「え・・っ?これ違うの?」と亜紀先輩が言った後、ピンポーンと校内放送が流れた。

「すみません。いいわすれてましたが、今回一枚ずつデザインが違うカードを用意しました。

 ですがそのカードは生徒会室のパソコンでちゃんと種類がわかっています。

 なのでもし自作のカードを作ったとしてもすぐにばれるのでそういうことはしないでくださいね。

 カードの枚数は300枚。参加チームは150組。プレゼントがもらえる順位は30組までです。

 それではお楽しみください」

そしてまたピンポーンとメロディーが流れる。

「じゃぁ、また探そうっか!」

そう、私が言ったものの、5分、10分と経過してもまったく見つからなかった。

「あ・・ちょっと、HAYATOくんと話がしたいから、ちょっと待っててね。」

「あ、はい。その間に探しておきますから。。」

そう言って二人はどこかに行った。そして、私は二人の分まで頑張って探した・・。

*     *     *     *     *     *

「二人とも遅いなぁ・・・。」もう二人が行ってから30分は過ぎている。

もうひとつのカードを見つけて、もう3枚そろっている。早く行ったほうがいいのに。

時計を見ても、あと残り時間も少なくなってきていた。

「しょうがないっか」そう言って人探しに走り出した・・。


*     *     *     *     *


「だから話ってなんですか?あいつが待ってるんすけど・・・」

二人は体育館の裏側にいた。

てか、私は今ここにいるから待ってるわけないんだけど・・。

「あのね、・・私、ずっとHAYATOくんのことが好きだったんだ!」

体育館の裏側。男女二人きり。当たり前の展開なのだが、これがなぜか心にチクッときた。

「(あ、でも、HAYATOはただの憧れだし・・)」そう心の中で説得するも胸の高鳴りが止まらない。

だが、その高まりもすぐにおさまった。

「すみません。俺、好きな人作るつもりないんで。」





サーっと静まり返ったような気がした。

「ってことは・・」恋愛する以前にHAYATOはその気がまったくないということで、

いくら告白しても何しても、彼には私の気持ちは伝わらないということだ。

「そっか・・ならしょうがないね。 先に戻ってるから!」

そう言って私がいる“はず”の場所に戻っていった。

そして私も急いで戻った。彼も私に気づいていないながら戻っていった。

*     *     *     *     *

「3位おめでとう!」そう言ってトロフィーと賞状をもらう。

意外にも入賞者は少なかったみたいだ。カードの隠し場所がナカナカ見つからなかったみたい。

そして、豪華商品をもらった。それは・・

「ま、スキだからいっか・・。」私がもらったのは図書カード5000円分。×3。

二人ともそういう系には興味ないらしい。私は、本(主にマンガ)がすきなので図書カードは貴重だった。

「よーし、ブ○ーチ買うことにしようっと!」

「それって俺にかぶさって考えてないか・・?」

そんな言葉を無視して15000円分の図書カードを私一人でもらうことにした。



ただ、亜衣の心の傷はいえなかった・・。



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