ショート5 1 Lovery Stay



「なんで・・なんで私が、こんな家にすまなきゃいけないの!?」

それが、青葉荘にきて発した、第一声だった。



Lovery Stay



―事の発端は、つい昨日、金曜日のことだった。


「ねぇ、明日から一週間、ちょっと頼みごとがあるんだけど・・」

母親がわざわざ私の部屋を訪ねてきた。

「なに?なにかあったの・・?」

「お願いっ!青葉荘に泊まってくれないかしら?」

ガバッと頭を下げ始めるので、私はあわてた。

「は・・・?青葉荘って、私の学校の寮だよね?なんで私が泊まるのよ。」

「実は・・・・」

母の話によると、こんど家を引っ越す為に、家を出なければいけないらしい。

「でもさ、母さんはどうするのさ?父さんは単身赴任中でいないけど・・」

「その点は心配なし!私はテキトーに過ごすから」母親の言葉は想像できないくらい驚いた。

「・・・えっ!?」

「まぁきにしないで」

「あ、うん・・。・・って、他にいいところなかったの?」

そういうと、母親は首を横にふる。

「あいにく、そういう便利なところはなかったの。ま、一週間だし、しょうがないからすみなさい」

そういったけど、絶対嘘。だって私の知っている限りでも5つはそんな場所あるはずだ。

「・・・・・・・・・はい。一週間だよね?」しょうがない、今回は急だし同意する。

「そう!よかったわ。じゃぁ早速電話だわー。」

母親はルンルン気分で部屋を去っていった。



・・・・というわけで、今、青葉荘の前に立っている。

「誰か知っている人いるかな・・・・?」

寮に入る人は少ないが、この青葉荘の住人が全員同じ高校だ。

門を通過して、玄関だと思われるところまで到着する。

「こんにちはー。」コンコンとドアを叩く。すると若い女性が出てきた。

「いらっしゃい。あ、今日こられる・・お名前は?」

「あかねです。森口あかね」自分の名前を口にする。

「あかねさんね。私は管理人の石原よ。あかねさん、学年は?」

「高校1年生です。」

「そう・・・じゃぁ、同級生は2人ね。誠悟ー!慎悟ー!」

バタバタと、階段を下る音が聞こえる。数分すると、二人の男子が出てきた。

「おーかわいいじゃん?」

「誠悟。お前女だったら見境無しだろう。」

「んなことないし!」

降りてきて急に会話し始めたので、なんだか一歩下がりたい気分だった。

「紹介するわね。こっちが内田誠悟(うちだせいご)で、こっちが慎悟(しんご)。」

「ってなわけで俺は誠悟。まっ、一週間よろしくな。」

「なれなれしくないか?まぁ、いいけど。俺は慎悟だ。一週間よろしく頼む。」

「えっと、こっちが誠悟くんで、こっちが慎悟くんね。・・分かったかぁ・・?」

双子なのだろうか。顔がすごく似ている。一卵性?

「ちなみに俺らは双子じゃないよ。年子。」顔に出てたのか、慎悟が説明してくれた。

「そうそう!俺が兄さんなんだぜ?意外だろ??」

「そうなんだー。」同時に生まれてきていなくても、これだけ似ていたら絶対双子に間違われるだろうに。

二人の第一印象といえば、アイドル並・・とまでは行かないけれど。

結構カッコイイ。学校にいれば多分もてるだろう。まぁ私はこの人達のことを知らなかったけれど。

髪は中間くらい。長すぎず短すぎず、ちょうどいいくらいだ。

目はちょっと丸い。そこがカッコイイと思う。背もすらっと高いし。

「あ、じゃぁ自己紹介も終わったところで・・って、ごめん。忘れてた。

 こちらは森口あかねちゃん。名前だけは聞いていなかったでしょ?」

「そうだった~俺としたことがぁ!!」相当ショックを受けているらしい。

「こんなことで、おちこむなよ。」すかさず慎悟が突っ込みを入れる。

「よろしくお願いしますね。」私が頭を下げる。

『よろしくな!』その言葉だけは、ぴったり一致した。


小説ページへ 次へ


© Rakuten Group, Inc.
X
Mobilize your Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: