ショート5 6



その後、時間通りにみんなは台所に集まった。

本当にバラバラに来たので、(眠いとかも込みで)集まってきたということはまずありえないみたい。

「じゃ、練習始めるぞ。」猛さんが声を上げた。

慎悟くんは、というと・・皆より一足遅く台所に入った。

一番初めに来た夏輝さんがきたとき、とっさにさっていったからだ。

「じゃ、卵の割り方ぐらい、できるよな?」

慎悟がみつめる。多分それは頑張れ、という合図なのだと思った。

「あ、うん。」

そして私は慎悟君から教えてもらったコツを使い、みごとにカパッと卵を取り出せた。

「じゃぁ後は―」花梨さんが言っていく中、私と慎悟くんはひそかにグッドポーズをした。


7時に寮をでて、学校に着く。今日は朝のこともあってこっそり慎悟くんと来た。

それもあと5日しかないんだ、と思うと、なんだかさびしくなったけど。

「おっはよー!!いつもより早いじゃない。」席に着いた私に、ある人が話しかけてくる。

「おはよう、愛華。休みあけっていうのに、元気いっぱいだねー。」

彼女の名前は宇隆愛華(うりゅう あいか)。まぁ仲がいい友達。

「ねぇねぇ、噂になってるんだけど・・・」

一泊おいて、一言。

「内田慎悟くんと誠悟くんと二股かけているって本当?」

もし、私がジュースを飲んでいたら、ぜったい噴出すだろう。・・いい例えじゃないけど。

誠悟くんと慎悟くんは、少々モテる。・・というのもこの学年にイケメンというイケメンがいないからであったが。

「誰からそんな情報を?」

「6組の友達から。で、本当なの?嘘なの?」

「そういわれても・・・・」私は口ごもった。

説明しておくと、私のクラスは1-1。そして誠悟くんと慎悟くんは最後のクラスの1-6。

高校一年生だし、私は人を覚えるのが苦手だから、1組と2組しか把握できていなかった。

「じゃぁ誠悟くんとスーパーでデートしていたって言うのは?」

「えっ」

「じゃぁじゃぁ慎悟くんと一緒に学校に来ていたというのは?」

「うっ」

「・・どっちも真実だけど言い回しが違うってことね」

「・・恐れ入ります。」

「でもね、ちゃんと一人に絞っておいたほうがいいんじゃないの?」

「なんで?」さっきまでのことは確かだとしても、なぜ一人に絞るのか?

「そっちのほうがおさまるから・・それしか言いようがないよ。」愛華はフーっとため息をついた。

「・・そか。」理解はできていなかったが、愛華がわざわざ心配しているから、一応うなづいた。


あと一週間の辛抱。なんて思ってもいられないかもしれない。

だって、誠悟くんと慎悟くんが今後どうなるかを予想すると・・・・

嫌われるわけはないと思うけど。あのメンツでは。

ただ、私のことを知って皆に何か言ったら・・・そっちのほうが怖いよね。。

「おーい。どしたの?」ハッと気づくと、誠悟くんが横にいた。

「ううんっ、なんでもない。」

「そうか・・無理するなよ」そして左隣には慎悟くんも・・。

「ありがとっ、二人とも。」

二人の声はすごく安心する。だけど、それに甘えてもいいって言うのも違う。

今。頭の中で考えることがいっぱいで、正直私は精一杯だった。


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