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2024年03月19日
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カテゴリ: 気になる記事






「元気すぎる高齢タレント」の「衝撃的な真実」



目が見えにくくなり、耳が遠くなり、もの忘れがひどくなり、人
の名前が出てこなくなり、指示代名詞ばかり口にするようになり、
動きがノロくなって、鈍くさくなり、力がなくなり、ヨタヨタす
るようになります。
世の中にはそれを肯定する言説や情報があふれていますが、果た
してそのような絵空事で安心していてよいのでしょうか。
医師として多くの高齢者に接してきた著者が、上手に楽に老いて
いる人、下手に苦しく老いている人を見てきた経験から、初体験
の「老い」を失敗しない方法について語ります。
*本記事は、久坂部羊『人はどう老いるのか』(講談社現代新書)
 を抜粋、編集したものです。

スーパー元気高齢者の罠

欲望肯定主義の世の中はまったく油断がならず、不幸と不満を増
大させる勘ちがいを引き起こす「罠」に満ちています。  
その最たるものが、スーパー元気高齢者の活躍です。  
もう亡くなられましたが、スーパー元気高齢者の代表といえば、
元聖路加国際病院名誉院長の日野原重明氏でしょう。
百歳を超えても現役の医師であり、晩年にもベストセラーの著作
を発表し、テレビ出演もされていました。  
かつて日野原氏はあるテレビ番組で、次のように発言していました。  
「六十五歳で助走がはじまり、七十五歳で飛躍するんです」  
なんと希望に満ちあふれた言葉でしょう。
しかし、現実的ではありません。
むしろ、弊害が多いです。たとえば、せっかく引退する気になっ
ている高齢の社長や会長が、またやる気になってしまったりとか。  
「老害」という言葉はあまり使いたくありませんが、現実にはそ
こここでささやかれています。
職場で頑張る地位の高い高齢者は、たいてい周囲には有害であっ
て、当人はそれに気づいていません。
中には、「若い者がどうしてもやめさせてくれない」などと言う
人もいますが、そんな人にかぎって、裏では若者たちがリタイア
を熱望しています。  
さらに日野原氏は番組で、
「わたしはエレベーターは使いません。
 階段も二段飛ばしで上がります」
と発言していました。
そんな言葉を聞けば、「よし、ワシも負けておれん」とばかり、
突然、階段を二段飛ばしにして転倒、骨折して寝たきりになった
り、あるいは途中で心臓発作を起こして永眠ということになった
りしかねません。  
日野原氏の著書には、階段飛ばしについて、「急激な無理は禁物」
と書いてありますが、テレビではそこは省略されます。
視聴者の盛り上がりに水を差すからです。

TVで見かける有名シニア女優も、裏では…

昨今は高齢の女性俳優がテレビに出演して、その若さと美貌、元
気はつらつなようすを、ごく控えめを装いながら堂々と披露して
います。
自然な人間の姿とはとても思えませんが、おそらく並外れた努力
と巨額の投資が裏にあるのでしょう。
もちろんそんな秘訣が明かされることはなく、明かされるとして
もごく当たり障りのないもので、ほんとうに効果のあるものは秘
されてしまいます。  
そんな元気な高齢女性俳優も、カメラがオフになれば「フーッ」
と息を吐き、シャンと伸びていた背中もくにゃっと曲がるのでは
ないでしょうか。
家に帰ればさらに緊張は緩み、年齢相応の老化現象が露出するは
ずです。  
しかし、視聴者はそこまで想像しません。ふだんの生活も若々し
く美しいのだろうと思います。
それで困るのは、未だ老いの手前にいる中年世代の人たちが、老
いの厳しさに対する心の準備をおろそかにしてしまうことです。
八十歳をすぎてもあんなふうにいられるのか、九十歳に近づいて
もあんなに元気でいられるんだと、楽観的になって安心してしま
います。  
スーパー元気高齢者が元気でいられるのは、投資もあるでしょう
が、基本的には持って生まれた体質のおかげでしょう。
もともと長寿の体質でなければ、何をやっても効果は得られません。
もともとの体質(すなわち遺伝子)は変えられませんから、快適な
老いを実現するには、自分の体質の中で満足を得ていく以外にあ
りません。  
ところが、スーパー元気高齢者の活躍を見せられると、自分もそ
うなりたい、なれればいいな、なれるのではないか、きっとなれ
るだろうと思う人が増え、そうなれない場合、不満と失望を抱え
込んでしまうのです。  
私が老人デイケアのクリニックにいたとき、身体が弱って不自由
になったことを嘆く人は多かったですが、あまり不愉快そうでも
ない人もいました。
そういう人は、「年いったらこんなもん」と、現状を受け入れて
いました。
老いの現実を正しく認識し、高望みをせず、身の丈に合った状況
で満足するすべを、身につけている人なのでしょう。
それはある種の智恵にほかなりません。  
さらに連載記事<「上手に楽に老いている人」と「下手に苦しく
老いている人」の意外な違い>では、症状が軽いのに老いに苦し
む人と、そうでない人の実例を紹介しています。





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最終更新日  2024年03月20日 02時44分07秒
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