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2024年10月04日
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「部屋」を見ればわかる?
遺品・生前整理会社代表
「<ゴミ屋敷>と<モノ屋敷>は別のモノ」



歳以上の高齢者がいる世帯のうち51.6%が単独世帯となっているそう。
そのようななか、生前整理や遺品整理で多くの高齢者のひとり暮ら
しをサポートしてきた、株式会社GoodService代表の山村秀炯さん
は「老後のひとり暮らしには、若い頃や家族と暮らすときとは違っ
た<壁>がある」と話します。
そこで今回は、山村さんの著書『老後ひとり暮らしの壁 身近に頼
る人がいない人のための解決策』から、一部引用、再編集してお届
けします。

壁を越えられない人は部屋を見ればわかる

老後ひとり暮らしの壁を越える2つのコツは、「自己決定すること」
と「孤立しないこと」です。​
これらを自然にできる人と苦手な人がいますが、両者の違いは実は
部屋の様子からわかることがあります。
私は仕事がら、とにかく他人様の家や部屋を見る機会が多くあります。
これまで見たお住まいは数千件にのぼるでしょうか。
これだけ家を見ていると、つい目がいってしまうチェックポイント
があります。
あくまでも私が思うチェックポイントですが、あなたやご家族、ご
友人にひとり暮らしの方がいたら、当てはまるかどうか参考にして
みてください。

玄関や靴が整理されていない

まず目に入るのは玄関です。
特に靴、履物の状態は、つい気になってしまいます。​
ボロボロでかかとが潰れたスニーカーが無造作に玄関に転がってい
ると、あまり積極的に外出したり、人と会ったりすることがない人
なのかなと思います。
たくさん履いて外に出ているからボロボロなのではないか? と思
うかもしれません。
でも私が見てきた人たちは、サンダルのようにつっかけて近くのコ
ンビニやスーパーに行く程度のケースがほとんど。
あまり出歩かないからこそ、同じ靴を履き続けて、履き心地なども
気にならないのだと思います。
あらためて人と会う機会も少ないので、見た目も気にしていないの
かもしれません。
オシャレは足元から、などといいますが、靴がボロボロでも洋服は
それなりに洗濯されていたりしますから、たしかに足元にこそ、そ
の人の性格やこだわりが出やすい気がします。
また、靴がこのような状態の人は、たいてい部屋も散らかっています。
単にだらしないだけじゃないかといわれたらそうかもしれませんが、
意外と玄関や靴にはその人の生活感がにじみ出るのです。

◆​ 貴重品があちこちに散らかっている

私たちのような業者が遺品整理に行ったとき、早めに確認しておく
ことがあります。なんだと思いますか?
それは、お金や通帳や印鑑など、貴重品のありかです。
衣装箪笥のいちばん上の引き出しだったり、女性だったら化粧台の
引き出しだったりと、ある程度は傾向があるのですが、当然人によ
ってバラバラですから、家のあちこちに無造作にしまわれているこ
とも、多々あります。
なぜ早めに確認したいかというと、もちろん死後の手続きに必要な
ものだからです。
万が一、後で「見つからない」と騒ぎになったり、うっかり処分し
てしまったりしたら、とんでもないことになります。
余談ですが、あるお宅でお菓子の箱を開けたら、数百万はあろうか
という札束がぎっしり入っていたことがあります。
私たちは逐一中身をチェックするので発見できますが、ご家族の方
などが見たままのゴミだと思って捨ててしまう危険性もゼロではあ
りません。
ちなみに遺品整理の現場では、室内の分別作業に参加する従業員は
長年の経験のある信用ある自社スタッフに限定します。
というのも、この業界でいちばん怖いことですが、こっそりネコバ
バする人間が紛れ込むのを防ぐためです。
残念ながら身内の方が窃盗を働くケースもあるようですが、外部の
業者に依頼する場合は、派遣スタッフが入っていないかや、その会
社の社歴を調べるなど、より慎重になったほうがよいでしょう。
さて、こうした貴重品の類がなかなか見つからなかったり、あちこ
ちに点在したりしている人は、やはり総じて整理整頓がなされてい
ません。
自己管理が苦手で、相続でも「え? そんな資産があんなところに
あったの?」などとトラブルを招きがちです。
決して誤解してほしくないのですが、貴重品をわかりやすいところ
にまとめておきましょう、と言いたいわけではありません。
防犯の意味では、見つかりにくいことはむしろメリットでもあります。
ここで言いたいのは過去にあった傾向と、そこから意図して管理さ
れていたかどうかがわかる、という点にすぎません。

生活スタイルが現れる2つのポイント

ゴミ屋敷のような部屋を片付けにいくと、その散らかり具合も多種
多様なのですが、ある2つの点は不思議と共通しています。
ひとつは、テレビの周りです。
ゴミ屋敷にはあらゆるゴミが散乱しているのですが、お酒の空き缶
がテレビ台や、もしくはテレビ近くのテーブルに集中して置かれて
いるのをよく見ます。
考えてみれば当たり前のことで、生活の中心がテレビになっている
ので、自然と空き缶が溜まるわけですね。
このようなケースの人は、テレビや、テレビの前に置いたテーブル
の周辺で1日の大半が完結しています。
すぐ手が届くところにいろいろなものが配置されているのです。
さながらその人の基地あるいはコクピットといった様相です。
非常に省エネで面倒くさがり、消極的な生活スタイルが透けて見え
ます。
なにしろ空き缶をゴミ袋にまとめることすら、しないのです。
テレビは受動的なメディアです。
なんとなくテレビをつけて、なんとなく眺めて、平穏に1日が終わる。
これは決して悪いわけではありません。
ただ、積極的に自己決定する経験は非常に限られているのではない
かと想像します。
孤独死された方の遺品整理のときにこのような部屋に出くわすと、
「お酒で寂しさを紛らわせていたのかな」などと感じさせられて、
切ない気持ちにもなります。
もうひとつは、寝床です。
布団のシーツや枕カバーは、とにかく洗ったり取り替えたりするの
が面倒で、ひとり暮らしの人では長く使いっぱなしの「万年床」に
なりがちです。
生活情報サイトなどを見ると、寝具はだいたい週に1回は洗濯する
人が多いようです(参考:「ESSE online」https://esse-online.jp/articles/-/5484)。
ひとり暮らしの場合、自分しか使わないし、寝られれば構わないと
つい放置してしまうのは無理もないかもしれません。
ただ、先ほど紹介したような、先々のことを自分で決定していたり、
適度な人付き合いを保っているおひとりさまは、こういった面倒な
こともしっかりとこなしている印象があります。

自己管理できる人ほどモノが減っていく

モノに囲まれた部屋と、モノが少なくスッキリした簡素な部屋。
あなたなら、どちらに住みたいですか?
これは完全に好みの問題ですよね。
モノが少なくて見た目がきれいな生活をしたい人は、それができて
いれば幸せです。
一方で、趣味が多くて、常に多くのモノに囲まれていたくて、それ
を実際に所有していることに満足を感じる人もいます。
他人からすると散らかり放題に見えても、自分の中では何がどこに
あるかがだいたい把握できている、といった経験があなたにもあり
ませんか? 
要するに自分の生活を自分で管理できているから幸せといえるのです。
「ゴミ屋敷」と「モノ屋敷」は違います。
「ゴミ屋敷」というのは、食事の食べ残しや空き缶、ペットボトル、
タバコの吸い殻やペットの糞尿などがあふれていて、臭いもきつく、
文字どおりゴミで部屋が埋め尽くされている家のことです。
一方「モノ屋敷」というのは、フィギュアやプラモデル、ゲームや
CDやレコード、本や雑誌、あるいはブランド品など、趣味性の高い
ものが大量に収集されている家のことです。
興味のない人にはゴミと変わらないものを集めていたとしても、周囲
に迷惑をかけていない限り非難される筋合いはありません。
とはいえ、自己管理ができている人ほど、徐々にモノを減らしていく
傾向があります。
自分で自分の生活を管理することも歳をとるにつれて徐々に難しくな
っていくので、死後のことも見据えて、趣味のコレクションなどもだ
んだん処分していくと、生活のストレスが減っていきます。
もちろん、死ぬまで好きなものにめいっぱい囲まれているのが幸せだ、
という人もいます。
そうであっても、自己管理ができている人は「自分がいなくなったら
こうしてくれ」と段取りをつけています。
老いは誰にでもやってくるものです。
判断力も記憶力も衰えていきます。
自分の管理能力の衰えに備えて、決められるうちに決めておける人の
部屋は、比較的モノが少なくシンプルな傾向にあると思います。
※本稿は、『老後ひとり暮らしの壁 身近に頼る人がいない人のため
の解決策』(アスコム)の一部を再編集したものです。





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最終更新日  2024年10月04日 07時54分48秒
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