備忘録

備忘録

PR

キーワードサーチ

▼キーワード検索

プロフィール

三建太郎

三建太郎

カレンダー

お気に入りブログ

まだ登録されていません

コメント新着

コメントに書き込みはありません。

フリーページ

2024年11月07日
XML
カテゴリ: 気になる記事





2025年の年金改正に向けて議論されている
内容をおさらい



すでに見送りとなった「保険料納付期間の5年延長」をはじめ「遺族
年金・主婦年金の見直し」「パート従業員への厚生年金の加入推進」
など、課題や改善すべき点は山積している状況です。

厚生年金の被保険者が受け取れる「加給年金」についても、見直しが
検討されているようです。
加給年金は、その仕組みや条件から「不公平だ」「現代にそぐわない
制度」といった声も挙がっています。
加給年金は、2025年の年金改正によって、廃止されてしまうのでしょ
うか。
この記事では、年金改正で議論のテーマの一つとなっている「加給年
金」について、制度内容や不公平な点、廃止になった場合の変更点を
解説します。
また、現在議論されているポイントについても、併せてお伝えします。
※編集部注:外部配信先ではハイパーリンクや図表などの画像を全部閲
覧できない場合があります。
その際はLIMO内でご確認ください。

加給年金とは

加給年金とは、65歳になった時点で、生計を共にしている配偶者や子
どもがいる場合に、厚生年金に上乗せして支給される年金です。
加給年金で支給される金額は、以下のとおりです。

​・ 配偶者:23万4800円
​​・ 1人目・2人目の子:各23万4800円
​​・ 3人目以降の子:7万8300円

​また、配偶者がいる場合は、自身の生年月日に応じて特別加算額が支
給されます。

​・ 1934(昭和9)年4月2日~1940(昭和15)年4月1日:3万4700円
​​​・ 1940(昭和15)年4月2日~1941(昭和16)年4月1日:6万9300円
​​​・ 1941(昭和16)年4月2日~1942(昭和17)年4月1日:10万4000円
​​・ 1942(昭和17)年4月2日~1943(昭和18)年4月1日:13万8600円
​​・ 1943(昭和18)年4月2日~:17万3300円

​よって、配偶者がいる場合は最高で約40万円、子どもがいる場合は人
数によって100万円近い年金を追加で受け取れます。

加給年金の支給要件

加給年金の支給要件は、以下をすべて満たす人です。

​・ 厚生年金保険に20年以上加入している。
 もしくは、40歳以降で15~19年間厚生年金保険の加入期間がある。

​​・ 65歳到達時点で生計を共にしている配偶者や子どもがいる
 ※65歳到達後に厚生年金保険の加入期間が20年になった場合は、
 在職定時改定や退職改定、70歳到達時に生計を共にしている配偶者
 や子どもがいるときに加算される。


​加給年金は、厚生年金保険に20年以上加入している人が65歳になった
ときに、生計を共にしている配偶者や子どもがいるときに加算されます。
加給年金の支給が停止となるのは、配偶者が65歳になったときや子ど
もが18歳になった年の年度末です。
また、配偶者が65歳から受け取れる老齢厚生年金や退職共済年金を受
け取れる権利を持ったときや障害年金を受け取るときにも、加給年金
は支給ストップとなります。
では、なぜ加給年金に「不公平」という声が多く聞かれるのでしょうか。
次章で解説します。

加給年金に「不公平」の声が集まる理由

加給年金が不公平とされる主な理由は、以下の2つです。

​・ 年齢差がある夫婦ほど支給期間が長く、得するから
​​・ 独身世帯には支給されないから

​加給年金は、昭和29年の厚生年金保険法の改正により制定されました。
当時は「夫が仕事をして稼ぎ、妻が家庭を支える」といった家庭のあ
り方が一般的だったため、退職後も年金で生活を養えるよう、加給年
金が支給されていました。
加給年金は、厚生年金保険に20年以上加入している人が65歳になった
時点で、配偶者や子どもがいる場合に加算される仕組みです。
配偶者がいる場合、加給年金は配偶者が65歳になるまで支給されます。
つまり、自身と配偶者と年齢差が大きい夫婦ほど、支給される期間が
長くなります。
現在は生計を共にする配偶者も「国民年金第3号被保険者」として年
金を受け取れます。
そのため、同じ夫婦世帯で年金受給額が全く一緒だった場合でも、加
給年金の受給期間によって、生涯で受給する年金に大きな差が生まれ
てしまうのです。
また、加給年金は生計を共にする配偶者や子どもがいなければ支給さ
れません。
つまり、独身世帯には一切支給されないのです。
加給年金を受給できないことで、独身世帯で厚生年金の加入期間が長
かった人でも、加給年金を受け取っている人に比べて生涯の年金受給
額が少なくなる可能性があります。
加給年金は国民年金や厚生年金に比べて支給要件の範囲が狭く、特定
の条件に当てはまる人しか受給できません。
家族構成によって受給する金額や期間が決まるため、どうしても人に
よって差が出てしまうのです。

加給年金が廃止されるとシニアのお金事情はどう変わる?

もし加給年金が廃止されたとしたら、シニア世代の年金額はどのよう
に変わっていくのでしょうか。
加給年金廃止を想定した今後の展望を解説します。
加給年金が廃止された場合、厚生年金に上乗せされる年金はなくなる
と考えられます。
厚生年金に上乗せされる年金として、加給年金のほかに「振替加算」
があります。
振替加算は、配偶者が65歳になり加給年金の支給が打ち切られた際に、
一定の条件を満たすと配偶者へ加算される年金です。
しかし、振替加算は加給年金ありきの制度のため、もし加給年金が廃
止となれば、併せて廃止される可能性が高いでしょう。
そのため、厚生年金に直接上乗せされる年金はなくなり、厚生年金保
険の加入者は全員、加入期間や給料額によって受給額が決まることと
なるでしょう。
加給年金が廃止された場合、年金額を増やす対策としては以下のこと
が挙げられます。

​・ 厚生年金保険に70歳まで加入する
​​・ 年金の「3階部分」を活用する

​厚生年金保険は、原則70歳まで加入可能です。
70歳まで働いて厚生年金保険の保険料を納め続ければ、その分受け取
れる年金を増やせます。
また、年金の「3階部分」といわれる企業年金やiDeCoを活用すれば、
1ヶ月あたりに受給できる年金合計額を増やせます。
保険料の負担を減らしたい人は企業年金、自分で運用して年金を増や
したい人はiDeCoの利用がおすすめです。

2025年の年金改正に向けて議論されている内容

前章では、加給年金が廃止されたことを想定した年金事情を解説しま
した。
では、国の審議会では、加給年金に対して実際にどのような議論が行
われているのでしょうか。
加給年金の矛盾点や問題点について、解説します。

​● 加給年金の存在によって「繰下げ受給の判断が鈍る」

​加給年金の問題点の一つは「加給年金があることで、年金の繰下げ受
給に踏み切れない」という可能性がある点です。
年金の繰下げ受給は、本来65歳から受け取れる老齢年金の受給タイミ
ングを遅らせることで、受給額を増やせる制度です。
しかし、加給年金があることで目先の収入や家計のやりくりに目が行
ってしまい、繰下げのタイミングを逃してしまう可能性があります。
加給年金があることで年金増額のチャンスを失ってしまい、加給年金
の支給停止後に収入が少なく苦しい生活を強いられる危険性があるの
です。
年金受給を繰下げしている間は、加給年金が受け取れません。
しかし、年金受給を繰下げすれば生涯にわたって増額して年金を受け
取れます。
加給年金の存在は、自由な年金受給の仕方を阻害している可能性があ
るといえるでしょう。

​● 特別支給の厚生年金の年齢引き上げにより矛盾が生じる

​国の審議会では「特別支給の老齢厚生年金と加給年金の存在は矛盾す
る」との指摘もされています。
昭和60年の年金改正で、年金の受給年齢が60歳から65歳に引き上げ
られました。
この引き上げをスムーズに完了するために支給されているのが特別支
給の老齢厚生年金です。
特別支給の老齢厚生年金は、男性が昭和36年4月1日以前、女性が昭和
41年4月1日以前に生まれた人に対して支給されています。
特別支給の老齢厚生年金は、早くて60歳から支給が始まる年金です。
もし配偶者が特別支給の老齢厚生年金を受給した場合、たとえ自身が
加給年金の要件に合致していても、加給年金は受給できません。
つまり、一定の世代にとっては加給年金の制度自体が全く利用できな
い可能性があるのです。
特別支給の老齢厚生年金の支給対象者は、まさに「働く男性」と「家
庭に入る女性」であり、本来役割を果たすべき加給年金が十分に活用
されていないといえます。

​● そもそもの加給年金の存在意義が問われている

​「加給年金の制度自体が現代にそぐわない」というのも加給年金の問
題点です。
加給年金は、前述のとおり働く夫が家庭を支える妻や独り立ちするま
での子どもを養うために支給されてきた年金です。
しかし、現代では女性の就業率や単身世帯が増加しています。
そのため、加給年金がなくても女性の厚生年金受給額が増える見込み
があったり、単身世帯と夫婦世帯の不公平性が著しくなってきたりし
ています。
現代において加給年金の制度自体は決して必要性が高くなく、むしろ
年金受給額の格差を広げてしまう可能性すらあるのです。
政府も社会保険の適用を順次拡大してきており、将来的には誰もが国
民年金や厚生年金を受け取れる可能性が増えます。
加給年金の制度自体が本当に必要かどうかは、今後も議論の対象とな
りそうです。

まとめにかえて

加給年金は昭和29年の時点では優れた制度でしたが、時代が進み働き
方やライフスタイルが多様化したことで、役目を十分に果たせなくな
ってきています。
とはいえ、現在も加給年金を受け取っている人や、加給年金の受給を
見越している人にとっては「急に加給年金が廃止されては困る」と感
じるでしょう。
年金制度がより時代に即したものになるには、早急な見直しと経過措
置、制度の段階的な廃止・停止などが必要です。
年金改正まで残された時間は多くありませんが、少しでも私たちが利用
しやすい制度になることを願いましょう。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2024年11月07日 08時19分24秒
コメント(0) | コメントを書く


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

© Rakuten Group, Inc.
X
Mobilize your Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: