日韓夫婦の心の旅もよう

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ぱーるひょう

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韓国・身近な人シリーズ


(1)大家のおばちゃん


(2)スーパーの店員さん


(3)鶏肉屋のおじさん、八百屋のおばさん


(4)そのほかの商店街の人たち


(5)パリパリな義父


(6)ホットな義父


(7)オープンマインドな義父


(8)義兄 誕生日おめでとう


(9)堪忍してくれ義母


(10)気を遣う義母


(11)最後は義母で


ディープ!! 韓国生活


夫とのなれそめ


市議選のようす


地下鉄のようす


義母の母の墓参り


韓国人が聞く日本語(1)


韓国人が聞く日本語(2)


ある夏の夜


麦茶はお茶か水か


ワールドカップ熱狂日記


最初に、ブッたまげたこと


どのくらい愛している?


韓国人が書く日本留学の志望動機書


モゴバ攻撃・同居時代の思い出


おでかけベビー@ケアンズ


生後4日目の乳飲み子がスーパーにいる!


某環境団体職員ならわかる内輪ネタ


趣味は自転車こぎ


ジョナサンでボケをかます


ハローワークに行く


送別会でもらった文章です


意図的に生きる


「私が決める」


とっておきの魔法の言葉


すべての人はつながっている


■バックパッカーな夫


■ナルちゃんな夫


■人目を気にする@韓国


場当たり的な夫


場当たり的夫婦(1)韓国脱出


場当たり的夫婦(2)ケアンズへ


全財産すっちゃいました@ケアンズ


夫の奇行@東京


ユンソナと結婚していただとぉ


オープンな父子関係


2006.12.13
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<連載 25回目>

 胎児は6ヶ月で耳が聞こえるらしい。それを知った私たちはお腹の子どもに話かけるようになった。

「あなたに逢うのを楽しみにしていますよ」

 小さな声で言ってみる。

(―――あとは、何をしゃべればいいんだろう?)

「外の世界は楽しいですよ」

「―――早くいらっしゃーい」

「―――待っていますよー」

「―――」



 夫は私とは違ってもっと積極的に話しかけた。私のお腹をなでながら、将来子どもが健康で幸せで、お金持ちとなり周りから尊敬を集めるだろうという彼の願望といえばよいか祝福といえばよいかわからないが、毎回そういったことを延々と韓国語で話しかけている。

 一見、平和で穏やかな日々が続いた。しかし、私たちの内面は決して穏やかではなかった。

 夫の仕事は相変わらず始まっていない。

(―――仕方がない)

 夫は生まれてくる子どものためにも、どこかに就職しようと考え始めた。だが当時の韓国も日本と同様、不景気で就職は大変だったようだ。

 夫は(どうしても働く会社がなければタクシーの運転手をしよう)と覚悟を決めた。

 実際、就職活動を開始して、新聞の求人欄に目を通しては、ポツリポツリと面接に出かけて行くようになった。例えば大手企業の関連会社のクレーム対応の部署などだった。

 面接には出かけたものの、(ちょっとな―――)と躊躇する会社だったのだろう。夫は断りの電話をその会社に入れた。にも関わらず、日を改めて「ぜひ来て欲しい」という電話が先方から入る。

「アイゴー、だれでもいいんだね」と夫は嘆き、



 夫は学生時代、成績がよかったので、義母は、「息子はなんでこんなに苦労しているのか」と泣いたそうである。

 そのうち義母が「お前たちはゴミを拾う仕事をしなさい」と言い出した。義母の知り合いのおじさんがゴミを拾い、リユースやリサイクルに回す仕事をしていたので、そこからヒントを得て、これなら独立家業としてできるだろうと義母は提案したのだった。

 その知り合いのおじさんの妻が義母と同郷だったらしく、夫婦で割合うちによく来ていた。おじさんの方は日焼けして、肉体労働者らしいがっしりとした体格である。明るい目つきをしていたのと、うちに来るお客のなかでは珍しく、ほとんど言葉の通じない私にも毎回話しかけてくれたのとで、不遜な言い方だが、この人だったら夫と一緒に仕事をしてもいいなと感じた。

 ゴミ拾いは深夜に行う。夫は汚れてもいい格好をして軍手をはめて、私が寝ている間にこの人のトラックに乗り込んで行った。

 うちの近所ではいたるところで、まだ使えそうな家具や布団などがたくさん捨ててある。後にテレビ台を実際に拾って使ったりもした。



 中古の家具などを直して使うというのは、韓国では貧乏臭く思われているらしい。ゴミ拾いという仕事も蔑まれているようで、夫と親しくしていた同級生のひとりは「お前のする仕事じゃない。お願いだからやめてくれ」と懇願までした。

 しかし、ここ韓国でも日本と同様、ゴミ問題は今後ますます深刻化していき、いやがおうでも環境の時代を迎えるに違いない。そのとき、リユース、リサイクルは新品を買う余裕がないから仕方がなくする行為ではなく、環境に負担をかけないよう意図的に選択するライフスタイルとして広がっていくだろう。

 だから、これは「ゴミ拾い」などと呼んで蔑む仕事ではない。環境ビジネスとして大きく成長させようと私たちは話し合った。

 この仕事にはトラックが必要なので、夫は中古のトラックを買うつもりで出かけていった。そして買わずに帰ってきた。

「車屋さんに行くまでは本当に買う気だった」と夫。

 買うのをやめた理由はこんなようなことだったとおぼろげに覚えている。

 現金のなかった私たちはローンを組むしかないのだが、果たしてそれを返せるだけの収入があるだろうか。

 またリサイクルビジネスについても夫なりに調べていて、思った以上にすでにいろいろな企業や人が手がけていることを知った。後発である以上、相当研究して、先発との差別化を図らないとビジネスとして成功させるのは難しいだろう。

 ただ今でもはっきりと思い出せることがある。

 もし夫が本気でこのビジネスをやろうと決めたのなら、何としてでもトラックを買っただろうし、そうしなかったには、夫なりの理由があると思ったことだ。

 その理由は明確な理屈でなくて、ただ何となくという感情や感覚かもしれないが、しかしそれは無視すべきではないとも思った。

 ゴミ拾いの仕事は、そのうちだれも話題に挙げなくなった。

 そんなこんなで物事がうまく進まずに私たちは困っていたが、韓国の両親も困っていた。息子が妻を連れて帰国し、子どもも生まれてくるというのに、仕事がない。

 私たち夫婦の問題ではあったが、両親にしてみれば他人事ではない。特に同居していたので、心配も倍増したことと思う。

 義父は息子夫婦の行く末を案ずるあまり、悪いことに時々、義母にヤツ当たりをした。

 夜中になると両親の部屋からは義父の怒りに満ちた声が聞こえてくる。それを聞く夫の目つきは鋭くなった。夫も義父も当時はお互いに本当に腹を立てていたのだろう。取っ組み合いになったこともある。

 そして、(義父は何を怒っているのだろう、少しでも知っている単語が聞こえてこないか)と耳をそば立たせている私を見て、夫は「お腹の子どもによくないね」と心配した。

 妻と子どもとの生活を自分の手で守ろう。それには新天地でもう一度やり直したい。両親にもこれ以上迷惑をかけたくない。

「韓国を出よう。それもなるべく早く」

 夫はそう決心を固めた。

(続く)

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Last updated  2006.12.13 17:01:10
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Comments

seoulカツラ @ Re:おひさしぶりです!(12/28) きょろっちさん  正月は、あの!ヤギち…
きょろっち@ おひさしぶりです! 沖縄で元気にやってらっしゃるようですね…
seoulカツラ @ Re:書きこみありがとうございました!(12/28) 豆森さん  仮の住まいだと、余計そうな…
豆森 @ 書きこみありがとうございました! パンドラの箱、我が家にもかなりあります…
seoulカツラ @ Re:つんどらの資料(12/28) 泡 盛窪さん 「つんどら」状態ですか。…
泡 盛窪 @ つんどらの資料  仕事場から持ち帰った資料が整理されず …

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