しまくまのお部屋

しまくまのお部屋

98年6月:初の単身渡露

<ペテルブルク音楽院へ>
初ロシア旅行から帰国後は、ロシアで買ってきた資料をもとにどうにかこうにか修論を書き上げ、修演でラフマニノフのピアノコンチェルト2番(ピアノ伴奏)を弾いて、とラフマニノフ漬けの毎日で慌しく過ぎてゆき、気づけば学生という身分はめでたく卒業。とはいえ、教育学部を出たといってもこのご時世誰もが教員になれるわけでもなく、知り合いのツテで音楽とは無縁の内科・小児科医院の受付事務職に就いたしまくま。ロシア語こそ習い続けていたものの、学生時代のように音楽第一というわけには行きません。アッと言う間に1年が過ぎ、日常生活に流される自分になんともいえない閉塞感や焦りを感じる日々が続きました。
一方、Hちゃんは卒業後すぐにペテルブルク音楽院に留学。電話や手紙のやりとりをする中で、ロシアでの充実したレッスンについて聞き、「悩んでるより、短期でもいいから私も行ってしまおう!」と一念発起。
第一志望は、ラフマニノフが卒業したモスクワ音楽院のサマースクールだったのですが、これに参加するためにはテープ審査を突破しなくてはなりません。そこで、とりあえずモスクワ音楽院にも応募しておいて、まずは随時受け入れてくれるペテルブルク音楽院での個人レッスンを受講することにしました。

<いざペテルブルクへ>
またまたMさんに手配をお願いして、今回は1人でペテルブルクまでたどり着かなくてはいけません。とはいえ、当時はまだ成田⇔ペテルブルク間の直通便が飛んでいて、とりあえず乗っちゃえば自動的にペテルブルクまで到着!たった2年の間にアエロフロートもかなりサービスが良くなっていて、前回は春巻き・エビフライ・卵焼き…といったメニューだった機内食もメニュー表つきの(ちょっと)豪華なものに!ただし、その内容は…
☆茶そば ☆巻き寿司 ☆カツ丼 ☆ロールパン ☆サラダ ☆デザート 
…主食ばっかりかい!
機内上映の映画も、以前はわけのわからんロシア映画(もちろんロシア語・字幕なし)だったのが、同じロシアものでも「トムとジェリー」をパクったような漫画になっていて、まあまあ楽しめました。約10時間のフライトで、無事ペテルブルクのプルコヴァ空港に到着。ガイドのゾーヤさんの出迎えで、ペテルブルク音楽院の学生寮へと向います。約半年ぶりにHちゃんと再開して、その日は夜遅くまで話し込んでしまいました。

<学生寮での暮らし>
音楽院の学生寮は、音楽院があるセンナヤ・プローシャチ駅からメトロで15分ほどのキーロフスキィ・ザボート駅から徒歩10分のところにあり、築100年くらいの年季の入った石造りの建物です。私が割り当てられた部屋は、3階の角部屋で2ヵ所に大きい窓があり、外の白樺林が見えて快適♪ただし壁と天井は塗装がはがれてボロボロ。うーん、ロシアって感じや…。
各部屋にはもちろんピアノがあるのですが、調律、というレべルではなく「調整」すら出来ていないようなシロモノです^^;。でもそういった環境で勉強した人たちが優れた音楽家として世界にはばたいて行く…。日本人はやっぱり平和ボケというか、恵まれすぎているのかなーと思ったりしました。
トイレとシャワー、洗面所、キッチンは共同。本格的に留学しているHちゃんは部屋に冷蔵庫と電熱調理器を入れているので、だいぶん利用させてもらいました。何かと部屋を出て廊下を歩くことが多かったのですが、早朝から深夜までいろんな曲が各部屋から流れてきて、音楽にどっぷり漬かって過ごしている感覚がとっても新鮮でした。隣の部屋のイスラエル人の作曲科の学生にピアノの音がウルサイ!と慇懃無礼な態度で文句を言われ、「そんなこと言われても、こっちも勉強しに来とんじゃぁぁぁぼけぇぇ~!」と、言いたかったのですがそこまで英語では言えないので、関西弁で対抗してみたりという事件もありました(笑)。結局彼が私の部屋のピアノを、自分で窓側に移動するということで解決したんですが、日本にいたらまず会わないような国の人と、こんなところでケンカするなんて、とそんな事件さえも楽しく感じてしまいました。

<レッスン&練習&劇場通い♪の日々>
ペテルブルクでの生活は、1日おきのレッスン以外は全てフリー!とは言っても、半日以上は自室での練習時間。そして気分転換に食料の買出しをしがてら、メトロや市電に乗って街をブラブラします。で、劇場のチケット売り場に行ってプログラムをチェック!めぼしい公演のチケットを買って、レッスンの帰りによく行きました。ちょうど「白夜の芸術祭」期間中で、毎晩たくさんのホールでバレエやリサイタルが開かれているのでよりどりみどり!2週間の間に、プロコフィエフのバレエ「ロミオとジュリエット」、チャイコフスキィのオペラ「エフゲニー・オネーギン」、ラフマニノフのオペラ「けちな騎士」、ラフマニノフの合唱つき交響曲「鐘」、チャイコフスキィのヴァイオリンコンチェルト、ラフマニノフの歌曲リサイタル、となかなかのハードスケジュールだけどもちろん大満足♪『外国人留学生』という身分になるので、格安でチケットがとれるし、とっても贅沢な毎日でした。
レッスンについては、まずカルチャーショックだったのが音楽院の設備。とにかく、楽器がボロイ!鍵盤なんかはがれて木が剥き出しだったりして。でももちろん、先生が弾くと楽器のボロさなんて全く感じません。そして、これは後で行ったモスクワ音楽院でもそうだったんだけど、「ピアノのイス」ってものがなくて、そのへんのパイプイスを使うんです。で、高さの調節なんてもちろん出来ないから、どうするか?なんと、イスを2個・3個と積み重ねて調整するの。世界トップレベルの音楽院なのに…。リサイタルのときも、当然のように3個積みのイスとかで弾いてるピアニスト(世界的に著名な方)がいて、またまたびっくり。『弘法筆を選ばず』っていう言葉を実感しました。


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