ほぼ日刊三浦タカヒロ。

「遊休農地を生かす:仙台市」




市民農園や援農ボランティアなど、「農」に関心を抱く市民が激増しているよう
に最近とみに感じている。現場のミスマッチ解消のため農業、農地と市民をつな
ぐコーディネート機能がほしい。「農」のある地域と暮しを創りだすため、市民
参加と農の関わりを広げるある取組みの現状をご紹介したい。

仙台市太白区富田地区。約8アールの遊休耕作地に集り通う家族連れがいる。今
春も私が農場長となりお手伝いさせていただいて、全面耕うんし鍬を入れて畝を
つくり、土中の温度と湿度を保つ塩化ビニール製の覆い(マルチ)を張った。今
シーズンはじゃがいも、さといも、さつまいも、えだまめなどを栽培。
秋の収穫祭では名取川河畔にて自産自消の「お腹いっぱい胸いっぱい」芋煮会を
予定している。農家ならではの社会貢献活動として、引き続き農地と農家、市民
をつないでむすんでこんがらがらせていきたい。

「耕作放棄される遊休農地を減らしたい」、そしてなにより「生活の近くにある
安心できるものを食べたい」という熱意で立ち上がったNPO法人「せんだいプチ
ファーム」が開設運営している市民農園は、現在太白区坪沼地区、富田地区、宮
城野区岩切地区の3箇所にまでひろがった。約100名以上の週末農家や農家の
卵が農のある暮らしにアクセスし、楽しいだけにとどまらない食と農業、農地の
意識関心を掘り起こす。

水環境をテーマに活動しているNPOさんの参画協力があったり、高校同窓会さん
の芋煮会ツアー企画が舞い込んだり。「人と畑をつなぐおむすびびと」となった
事務局長女史が地産地消チャレンジランチとして仙台市文化横町の一角でワンコ
インランチ提供をはじめたり、今年も新たな展開が巻き起こっている。
私の自宅周辺圃場にて開催している「農と自然のがっこう」も、より食育と畑と
をつなぐ試みとして「ふるさとの味伝承倶楽部」と題し仙台長なす漬けやずんだ
餅ができるまでを学ぶ食育教育ファームの取り組みを始めた。
みょうがたけや仙台長なすや枝豆など在来野菜について知り、畑とりがけの味、
匂い、色合いや質感を栽培期間を通じて感じてもらえれば嬉しい。
「いただきます」というその向こう側に、思いをはせてみてほしい。

公益的価値機能を備える農地を残すためには、農業が健全に営まれ農地が耕され
る必要がある。しかし担い手の高齢化、農家戸数の減少や米価を中心とした農産
物価格の低迷などから耕作放棄地や不作付け地などの遊休農地は依然として増加
傾向。
様々な込み入った事情で耕作放棄されている農地ではあるが、ルールを遵守して
信頼関係を醸成し農の魅力を翻訳するナビゲーターを育成することで、市民参加
の力によって農地を耕す手伝いかつ体験の場として利用し保全する方策が提示で
きないだろうか。


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