しろねこの足跡

しろねこの足跡

ひかりのいえ1


北海道には、家や墓を守る、という意識がかなり薄い。

一年の半分弱は雪で覆われる地域が多いため、墓参りすらままならないのも起因していると思う。

私の母方の祖父母は札幌で唯一の市営のカトリック霊園に眠っている。私も母も宗教とはなんの関わりもない。
たまにお墓参りをしても、カトリック形式の墓石に線香と仏花を供えてしまうという有様である。

そしてその墓には、祖父母しか眠っていない。
曾祖父母はどうしたのか、なぜ唐突にカトリック霊園に祖父母が眠っているのか。

自分のルーツについて、頓着しない文化をもつ地域に育ったせいか、最近までまったく気にしなかった。
北海道に住む人の先人達は、それぞれの理由があってこの地に、移殖してきたはずなので、干渉しあわないのが穏やかにすごす掟だったのかもしれない。

だが、私はある言葉から疑問を抱いてしまった。
それは祖父母の墓に十字架と共に刻まれていることばである。

「私の家は光の家、主のある限り」




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