しろねこの足跡

しろねこの足跡

ひかりのいえ2



これはおそらく、20代の若さで両親が一戸建てを購入したためと思っている。
父はお金や契約にだらしない男で、おまけに見栄っ張りなためすぐ他人の保証人をひきうけたり、おごってしまう性分であった。

そのため母が、これ以上借金をさせないために早々とおおきなローンを抱えさせて歯止めをかけるために、購入にふみきったらしい。

その結果、我が家は一家でドライブを一度もしたことがない。
大人になって、車という密室に何時間も閉じ込められることは、案外家族のコミュニケーションや団欒を強制的にさせる装置みたいなものだったのかもしれないと思う。

我が家では、それがなかったからどうも個人主義が強く、家族のつながりが希薄な感触が否めない。

父は昔から、家族で出かけることを嫌う男だった。
父の休日は、若いときは職場仲間との草野球に費やされ、年をとって引退してからは、パチンコにその時間は向かった。

父の休日には、家族と出かけること、家族と過ごすことの重要性はかなり低かった。
父は、たまに家族と出かける時でさえ一緒に歩くのを嫌がった。

私は、気づいたら父との会話を失っていた。



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