しろねこの足跡

しろねこの足跡

ひかりのいえ3



私は、祖父母の墓に刻まれた言葉を気にしだすまでは、全く過去に執着していなかった。

むしろ思い出したくなかった。

私にとって過去は決して美化されるものではなかった。

私は、いじめられていた。子供ながらに、いじめる人間に迎合しなくては、学校生活を送れない自分を憎み、卑下していた。

強い立場にあったものは、自分が他人を傷つけたことをいつのまにか忘れ、同窓会を懐かしむようになるらしい。
だが、傷つけられた立場の人間は、同窓会に行っても話すことはなく、過去は憎しみの結晶となり感情は干からびる。

だから、わたしは同窓会というものに一度もいったことがない。
卒業して以来、学校にも近づいていなかった。

だが、15年ぶりに私は卒業した小学校を訪れた。
目的は郷土資料室にあった。




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