たっちゃん&シングルパパ

たっちゃん&シングルパパ

龍壱が離婚した本当の理由



・悲劇は新婚生活1ヶ月半たらずで起きた。
平成8年8月
 とあるアパートで生活していた龍壱夫婦の家に、夜中の3時ごろという異常な時間に電話が鳴った。妻の実家からであった。電話元は次男(妻の兄)からだった。

「長男が両親の頭を岩で殴った」

 その後警察やらなにやら駆けつけ、長男は逮捕される。精神的にかなり追い詰められていたらしい。

 結婚前に、いろいろ生活用品を買ってもらったり、一緒にカラオケしたり海にいったり、とても仲良くさせていただいていたので、「まさか、あの人が・・?!」と思った

 数日前からの計画的な犯行だった様子。お父さんは土木関係の取締役をしていたが、足を悪くしてから、お母さんが一切の世話をしていた。2人ともすごくいい方だった。すごく龍壱のことをよくしてくれた。

 妻は翌日、実家のある新潟県へ帰ることになった。龍壱夫婦は10月に引越しが決まっていて、その準備中であったが、緊急事態で、状況もよく分からないので、いつごろこちらに戻ってこれるかは分からないという・・。

 妻には他にも姉がいる、4人兄弟だ。実家に戻って3人で今後のことについて話し合おうということになった。

 幸い両親は、命に別状はなかったが、結果的に1級障害に認定されるほどの障害を負ってしまった。

 逮捕された兄はその後、精神科のある県内ではあるがかなり離れたところにある病院に収容されることになった。危険な状態であるらしかった。


平成8年9月下旬
 長男は、両親、特に父親からの、かなりの圧力をかけられていたらしい。それは小さいころからずーっとだった。勉強のことにしろ就職のことにしろ・・それは後から分かったことなのだが・・。
 さて、兄弟3人でどうしていこうか、いろいろと話し合いがもたれていたらしい。それを知ったのは、龍壱が詳しい状況を確認しに新潟へ向かった時だった。

 妻は10月から新しい仕事が決まっていて、戻りたいというが、龍壱は止めた「こっちが落ち着くまでは、戻らないほうがいいと思う」。次男は妻に「おまえはもう○○家の人間じゃないんだから、こっちのことは姉とオレに任せておけ」と言う。判断は妻に任せた。

 結局妻は龍壱と一緒に戻ることになった。

 その後・・

 次男と妻が頻繁に連絡を取り合うようになっていた。次男と姉で病院にいる両親の世話をしていくうちに状況は変わっていった。
次男は妻に「早く子どもを作れ」としきりに言っていたらしい。子どもを作れば実家のことを気にする余裕がなくなるからという配慮だったらしい。しかし、お互いにこんな状況では「子どもは・・」という感じであった。

 ある日、姉が実家の権利書とお母さんの実印や通帳を盗んでいったことに次男が腹を立てていると電話があった。実際はどうか知らないが取った取らないでかなりイザコザがあるとか。いらだつ兄の愚痴に妻も頭にきたらしく・・。

 2ヶ月に1回は実家に帰ることになった。片道300kmを越える距離を龍壱と2人で通うようになった。次男は自分の生活費と、両親の入院費がかさみ、経済的にかなり苦しい状況になっていた。妻は子どもとして出来ることはなんでもしたいと、働いて稼いだ金をつぎ込むようになっていた。それはなぜかというと、姉はすでに3人の子どもがいることを理由に、ほとんど両親のことに関わらなくなっていたからであった。そればかりでなく、親戚やら周りの人間をバックにつけて、口はだすものの、経済的な関係には一切ふれることはなかった。親戚など周りの人間も次男に協力するという姿勢は全くなかった様子。なんだかひどい話です。

 孤立してしまった次男は2つの仕事を掛け持ちしても追いつかないという・・助けられるのは家の妻しかいない・・。やはり実家に戻って落ち着くまで次男を助けてあげたほうがいい。こっちのことは心配するなと何度となく言い続けた。しかし、妻は仕事を理由に戻ろうとはしなかった。姉の言動にかなり腹を立てているらしく、絶縁状態だとか・・もうちょっと協力し合えないものだろうかとはたから見たら思うんだけど、家から権利書を持っていったのがそもそもの原因なようで、3人とも仲が悪くなっている様子・・。

 お父さんは年金受給資格を得て、特老(特別養護老人ホーム)に入所することになり、お母さんと別々に・・。相変わらず見舞いには行き続けたが、妻と次男の電話のやり取りを聞いている限り、関係もイマイチな様子で、実家に戻ろうとしなかった。


平成12年8月

 ・・次男との連絡が、途絶えた。


 龍壱夫婦が実家に行ってみると、玄関には鍵がかかっており、ガラスの一部が割れ、誰かが入っていった形跡があった。しかし家の中はゴミだらけでとても人が入っていけるような状況ではなかった。人が住める状況でないことも十分察知出来た・・。次男はどこへ・・。


 龍壱の家に、お母さんが入院している病院から一通の手紙が届いた。約2年分もの請求であった。おそらく何らかの方法で姉が調べて、差し向けたのであろう。激怒する妻と龍壱。
 弁護士に相談してみると、払う義務はない、とのこと。だが、ふと疑問が・・誰が面倒みているの?

 ますます妻の新潟に行く回数は増えた。働いて稼いだ金のほとんどをつぎ込んでいたよう。龍壱1人の稼ぎで家計をまかなっていた。
 妻の行動に変化が出てきた。絵を始めたいといって、77万もする通信教育を始めたり、ねずみ講まがい?のことを始めたり、無断で龍壱の私物をどこかに売りに出されたり捨てられたり・・。
 龍壱の実家にも行きたがらなくなっていた。実家の両親がこういうことになって、「元気だし近いからいつでも行けていいよね」とか、「龍壱の親に新潟には帰るなって言われた」とか、「働くなって言われたから働けない、おまえの親のせいだ」とか、ありもしないことを言うようになっていた。毎日のように。時には、壁に訳の分からない龍壱の両親や、兄弟、親戚、自分の兄弟、親戚に対する不満のようなことが書かれた紙を貼り付けるようになっていた。

 通帳やキャッシュカードは、すべて妻に預けていたので、小遣い0円のかわりに龍壱はわずかながらのパチスロ+収支で凌ぐ・・という状況が続いていたが、時には、そのパチスロの+分まで手を出されたこともあった。
 それでも、帰る場所のない妻がかわいそうだからと、愚痴られやじられな毎日でも耐えていました。


 平成14年3月
 妻は、自分に子どもがいることを隠していた。龍壱も鈍感だから、3日前まで全く分からなかった。龍壱も龍壱だが、妻も妻だ。なんでこんな大事なことを話してくれないの?たっくんは生まれた。

 次の日、信じられないことに、2年の空白のあとで、次男から自宅に連絡が、また、姉から職場に連絡があった。
 共通している点は「長男が亡くなった」ということだった。
 姉さんに連絡して日程の確認をし、入院中の妻を残し、ひとり新潟へ向かった。

 携帯で次男と待ち合わせた場所にいくと、久々にあう次男と見ず知らずの女性が・・。
 次男の職場の同僚で、この2年間の間とても世話になったとか・・この間いろいろなことがあったらしいが、一番驚いたのは「何度も殺されそうになった」ということ。誰がそんなことを・・。次男いわく姉が誰かを雇って・・とか。2年間もの間逃げていて、ようやく落ち着いたらしい。実家はわざとゴミだらけにしたとか、カプセルホテルに泊まる毎日だったとか・・。いずれにしても、大変だったことは事実。

 次男が、長男が入院していた精神病院に死因を聞いても「答えられない」の一点張りらしい。次男の憶測かもしれないが、保険外交員をしていた経験のある姉が保険金目当てで・・とかいう話も出てきた。それって誰かが殺したってこと?
病院も何か協力的ではないようで、なにか裏で誰かが糸を引いているかのよう・・んーあまり聞いていてうれしくないことを長々と言われたけど、ただ言えることは・・「まともじゃ、ない」ということ。

 さらに、姉が地元では一番高いマンションを購入したらしいのだが、その購入資金は?話によると、姉さん夫婦は2人とも働いていないらしい。それなのにどうして買えるの?
 さらに、次男名義で莫大な額の所得税や住民税の納税通知書がきていて、それも見せてもらった。税の知識が多少ある龍壱は、すぐにピンときた。これは譲渡所得によるものだと。地番は確かに実家だ・・。実家を無断で売却したのか。どうやって申告したんだろ?
 なんか不思議に思うことばかり。龍壱の持っている知識をいろいろと話した。手続きや今後についてなど・・。正直困ったなーと思った。

 入院先の妻に正確に伝えるため、今までの経緯を整理した。 

 たっくん生まれたばかりなので、6ヶ月ぐらいしたら、新潟に行きたい、ということになった。次男とはまた連絡を取り合うようになっていた。

 会ったときに次男と一緒にいた女性は、何かと次男の力になっていたようで、次男とこの女性と妻と龍壱で力を合わせれば、きっと良い方向に向かうんではないかと期待していた。

 しかし、妻とこの女性の意見が食い違うようになってから、またおかしくなり始め・・

 ついに次男も精神的に限界だったようで・・何か事件を起こしたらしく、その連絡が来たときには、既にとある精神科のある病院に入院することとなった。

 連絡を受けたのは龍壱だったが、妻いわく、「龍壱がワンテンポ遅れたから勝手に入院させられた。お前のせいだ。」と訳の分からないことを言うようになった。

 仕事が出来る状態ではないため、生活保護の手続きを取る事になり、妻が次男の身元引受人になった。それから、両親と次男の3人のことに関し、300Kmも離れたところに住んでいる妻があらゆる手続きなどをやることになった。

 妻は働いていないが、たっくんもいる。身動きできる状況ではないのに、親戚やら誰も頼れる人がいないという状況。姉を訴える方法を模索していた。が、身動きとれないイライラ感があった。

 全面協力をしていた龍壱は、税の申告や年金の手続き、福祉関係(生活保護)、両親の入院費関係など、あらゆることに協力した。妻が行きたいというところには、納得するまで連れて行った。「ゴミだらけの実家を整理したい」「両親を一緒に過ごさせたい」いろいろな思いがあったんだろう。

 ある日、次男が入院している病院を訪ねた。精神病院なので、異様な雰囲気のなか、次男を発見した。職員に聞き、話してもいいということになったので、声をかけてみた。それまで穏やかな表情だった次男の顔に変化が・・


「じゃまだ、消えろ、死ね!」


 大声で龍壱に言ってきた。「どうしてそんな事言うんですか?」


「いいから、帰れ、消えちまえ!」


 病院には入らず、たっくんと車で待っていた妻に話すと、あまり驚いた感じがなかったのが、何か・・。


 次男のことに関し、協力する気力が、うせた。


 妻には、帰る場所がないからということもあったのだが、妻の希望もあり、3500万円するとても利便性のよい一戸建てを購入していた。環境が変われば、妻も変ってくれるだろう・・と期待していた。

 相変わらず、次男が入院している病院からいろいろとこちらに連絡が入っているようだ。そうしているうちに、毎日のように龍壱に愚痴る妻がいた。いい加減にしてほしいと思うこともあった。そのひとつに「次男と一緒に暮らしたい。こちらに連れてきてもいいだろうか?」と言ってきた。もちろん反対なのだが、やんわりとダメな理由は話した。

 でもね・・やっぱ妻もなんか、おかしいのよ。正直、どこかで診てもらいたいぐらいだった。

 妻が広告でみた、化粧品の営業をやってみたいということで、たっくんを保育所に預けて、働きに行くようになった。もともとは看護師で国家資格も持っているのだが、今は看護師をしたくないらしく、興味があったという営業をすることになった。

 しかし、実際は儲かるどころか、全く売れず、ますます首を絞める結果となった。ノルマのために、龍壱の親戚や同僚に協力を求めてきた。龍壱も出来る限りの協力をした。それでも、成績は上がらず・・。

 新潟からかかってくる電話は、ろくな電話ではなかった。次男の身元保証人になるということは、同時に両親の身元保証人になるということも含まれていて、あらゆる手続きをやっていかなくてはならなかった。

 とにかく、妻は新潟に帰って、やりたいことがいっぱいあるから週1で帰りたいということだった。


 今までの関係で、龍壱家の財政はかなり圧迫されていたが、ここ数年の妻の浪費っぷりもすさまじいものがあった。
 特に、食費。一口食べては捨てとか・・生ゴミが大量に・・無駄なことばかりやっていた。

 「たっくんのことは面倒みるから、当分新潟に帰って、やりたいことをやった方がいい。頼れる親戚は一人もいないのか?」

 龍壱なりに、アドバイスはした。


 妻も精神的におかしくなっていた。
 そして、龍壱の私物に手を出してきた。パソコン、プリンタを破壊した。
 着るもの、布団、靴などをハサミで切り刻み、部屋中の散乱させていた。
プリンタ

 そして乱闘となった。妻の手にはガラスのコップ。「殴るもんなら殴ってみろ」と一歩も引くことはなかった。脇で泣き叫ぶたっくん。たっくんも危険だ。でもこいつが落ち着くまでは、なんでも受けてやろうと思った。

 「もうこいつとは、住めない」

 龍壱はひとまず、実家へ。自分の買った家の中はどうなっているのかわからないけど、重要書類はとりあえず確保はした。たっくんは?
ほうちょう

 別居している間、妻が早朝に、実家の前に生ゴミや何やら家の前に捨てていくのだ。両親はおかしくなりそうだってんで、一緒に保健所やら警察やら相談にも行った。
 この一連の行動は、後に聞いてみたところ、うちの両親に嫌われたいがためにわざとやっていたとか・・。そんな事しなくても、十分です。
 不法投棄で訴えるにも、まだ籍があったので、とにかくつまらないことをするなと妻に訴えるしかなかった。


 公証役場に妻と2人で行き、証書にて離婚に関する取り決めを行い、お互い了承、サインした。担当官に「本当なら、一緒にいることが一番なんだけどね」と言われた。龍壱は、たっくんのために、何があっても絶対離婚だけは避けたかった。でも、自分なりに耐えまくった9年間だった。元妻も苦労したんだろうけど、もうちょっと違う方法があったんじゃないか?

 田舎の帰れる場所を失い、家族は無残なまでに引き裂かれ、思い出も吹っ飛んでしまい、悲しい気持ちは良く分かる。妻も、おかしくなってしまうのも当然かもしれない。

 じゃ、この一件の一番の加害者は?被害者は?

 はっきりとはいえないけけど、起こるべきして起こったことのような気がする。「あの事件さえなければ・・」ではなかったと思う。


 「平成17年3月28日、正式に離婚」した。


 元妻は新潟で看護師として働いて、いままでやりたかったことを少しずつ解決していきたいらしい。遅すぎなのかもしれないが・・。

 龍壱は、もう、疲れ果ててしまいました。この疲れた体を回復させるために相当な時間が必要と思う。


 今は、たっくん、両親、龍壱と4人で暮らしている。


 これからは、ママがいなくてもたっくんを充分幸せにしてみせます。不自由はさせないつもりです。将来、たっくんがどっちと一緒に暮らしたいというか今は分かりませんが、たっくんの意見を尊重してあげようと思います。ママのもとに行くとは思えないけど・・。

 あの、不可解で、奇妙で、まさに嵐が吹き続けた数年間。過ぎ去った嵐の後の、「いったいなんだったんだろう、この夫婦生活って・・」結婚生活でこんな体験するとは夢にも思わなかった・・そうそう龍壱のような経験をする人は少ないと思うけど、今は、もう関わることは、ないんだということに、少しだけですがほっとしています。

 幸せになる、しかない。今は結婚したいとか、誰かと付き合いたいとか、そういうことはなく、ただ、たっくんの幸せのために、自分も幸せになるしかない。なってみせます!

 新たな人生は、まだ、始まったばかりです。いい思い出になんて決してならないけど、「あの経験があって、今がある」と思えるときがきっと来るんだろう。なにかと辛いですけど、頑張って生きていきたいです。

龍壱(りゅういち)という男とは?トップに戻る

ブログトップに戻る



© Rakuten Group, Inc.
X

Mobilize your Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: