しょうた!しょうた!しょうた!

しょうた!しょうた!しょうた!

2006年01月30日
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カテゴリ: 40日のこと+α
 2005年4月26日午後6時20分。

 その時、わたしは近所の通夜の受付を手伝うために出かけていました。主人は、通夜に参列するために会社から帰り、家にいました。義父も家にいました。通夜がある・・・という以外は、いつも通りの一日でした。

 しょうたは、学校の都合で早帰りの週だったので、近所のS君の家で遊んだ後、スイミングにでかけたのでした。その帰りに事故は起こりました。

 午後6時をまわっていても、春のあかるい陽がまだ残っていました。受付をしながら、「今は明るいからいいけれど、暗くなってきたらどうするのかね。前の電信柱についた電灯の明かりで受付するのかな。」なんて言っていたくらいです。電灯はまだ点灯していませんでした。

 近所のおじさんが「あんたのとこの、子が事故だ。交通事故!」とわたしを呼びにきてくれました。「え?うちの子?わたしの子はしょうたなんだけれど、間違いではないの?」という言葉を飲み込んで、現場に駆けつけました。しょうたは、非常に慎重な子です。横断歩道もわたしが手を挙げないで渡ろうとすると叱られるくらいです。まさかね・・・・。走りながら、全く信じていませんでした。

 家の前の道路に着いたら、主人と義父がいました。救急車がいました。そして、しょうたが、道路に横たわっていました。むきだしの脚が、砂ぼこりで白くなっています。目を閉じて、動きません。

 「しょうた?」・・・・「意識がないんだ」と主人が言いました。

 救急車に同乗して病院へ向かいました。すぐに、救急救命措置をとるために、しょうたと引き離されました。

 しょうた!!しょうた!!しょうた!!・・・わたしの子なんだから、わたしの元へ戻ってくる!・・・確信にも似た思いがあって、何故だか落ち着いていました。今は気を失っているけれど、すぐに気がつくに違いない。そして、何事もなかったように、「ああ、びっくりした!」なんてしょうたは笑うだろう。



 しばらくして、ICUにしょうたは運ばれ、わたしたちも呼ばれました。
「危険な状態は間違いありません。助かる見込みは五分五分でしょう。低体温療法というのをやってみます。低体温療法というのは、あまりやってはいないのですよ。できる設備のある病院は少なくて・・・」自慢気に説明をする主治医を見つめました。五分五分なら、大丈夫。丈夫なしょうただから、乗り越えるはずだ。・・・・息子を信じました。一方で、五分五分という状態に動揺していました。気を失っているだけじゃないの?命の危険にさらされているの?状況がわかりません。

 つい2~3時間前、スイミングに向かうしょうたの背中を、わたしは見たのです。「いってらっしゃい」と声をかけようとしたけれど、お風呂の窓から見送ったので、恥ずかしいなと思ってやめたのでした。

 しょうた?しょうただよねえ・・?なんで寝てるの?おかあさんはここにいるんだよ。しょうた?

 ICUのベッドに横たわる息子は、人工呼吸器をつけられていました。胸に穴をあけられ、チューブがさしこまれていました。心臓近くに薬をいれられるようにしてあるのだそうです。たくさんの管が息子をとりまいています。モニターには波がうつり、しょうたの脈拍だとか酸素量だとか血圧だとかが示されています。

 愛してやまない息子しょうた。おかあさんの身体をあげるよ。寿命をあげるよ。神様、わたしのものは、何でもさしだしますから、この子を生かしてください。お願い!お願い!お願い!・・・・なにもできない。祈ることしかできない。わたしが産んだ息子が苦しんでいるかもしれないこの時に。苦しみを全てわたしにください。喜んで受け入れます。呪文のように繰り返しました。「しょうた、がんばれ!」心の中で叫びました。

 長い長い夜のはじまりでした。





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最終更新日  2006年01月30日 21時33分32秒
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40日のこと  
花鹿 さん
書き始めましたね。気負わないでいいのですよ。
休み休みでもいいし、一気に書いてしまうもよし。
心の赴くままに・・。
それがしょうた君の供養になると思えば。 (2006年01月30日 22時42分18秒)

Re:40日のこと・・・・・事故(01/30)  
olive5318  さん
花鹿さん のおっしゃるとおり・・・
昨日の日記の事実を知ることで
悲しみの深さを知りました。
言葉では何も伝えられないけど
お話をゆっくり聞くことはできます。
こんなことしかできませんが・・・・
(2006年01月30日 22時49分33秒)

花鹿さん、oliveさん、モモさん、ありがとう  
皆さん、温かい言葉をありがとう。思いが言葉を越えて伝わってきます。皆さんの気持ち、たしかに受け止めました。この40日を書き終えるまで、おひとりずつに返事は書きません。自分を緊張の中に置き、追い詰めたいのです。
 ストイックに向き合いたいのです。お赦しくださいね。 (2006年01月31日 00時14分20秒)

Re:40日のこと・・・・・事故(01/30)  
momolove0120  さん
ゆっくりね
どんなコトバでも、思うままにね

ゆっくり見守ってます (2006年01月31日 08時42分18秒)

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