NARUTO-ナルト小話。今日はガイ先生とリーくんの師弟ものです。多分初挑戦だったと…^^;
いつも努力努力というガイ先生が、一度だけ違うことを言ったことがあります。
もういいから、休め、と……。
『ガイ先生とボク』(ガイとリー 師弟もの・シリアス)
それは、まだ忍になりたての頃でした。
ボクは、修業! 努力! 根性! の毎日です。
天才のネジには負けたくなくて。
何より夢を叶えたくて。己の忍道を貫きたくて。
そんなボクを、ガイ先生は、厳しくもあたたかく見守ってくれました。
任務明けの休日。その日は、朝から雨が降っていました。
でもボクにはそんなこと関係ありません。
雨が降ろうが槍が降ろうが、修業はかかしません。
ですから、その日も当たり前のように外へ出ました。
だけど、冬の朝の雨は、氷のように冷たかったのです。
演習場で、立木にひたすら蹴りを続けていました。
それで寒さをふきとばすつもりだったのに。
体の震えは増すばかりでした。
「リーよ」
声をかけられて、ふりむいたら、ガイ先生でした。
「ガイせんせ……おはよ……ござ…ます……」
ボクの乱れた息から漏れるのは、声よりも白い息のほうが多くて。
かなりマズイかも……。そう思ったときには、体がぐらりとゆれて、ボクは倒れました。
ガイ先生はボクを抱きかかえ、額に手を当てると、無言でボクの肩をつかみました。
先生の手があまりに強く肩にのめりこむので、痛くてうめき声をあげたほどです。
「ガイ……先生?」
ボクが呼びかけたとき――
一瞬の後、ガイ先生の腕の中で、ボクは殴られたことに気付きました。
そして、その後すぐに、先生がボクを抱きしめてくれたことにも。
「リーよ」
ガイ先生は、静かに語り始めました。
「お前は、自分のことしか考えていないのか」
ガイ先生の言葉の意味が分からなくて。
ボクは先生を見上げました。
先生は静かに、けれど厳しい目で、ボクをじっと見つめました。
「体の様子がおかしいと、気付かなかったわけではないだろう」
「はい……」
訳が分からないまま、ボクは答えました。
「高熱がある。無茶をすれば死ぬかもしれないことは、分かっていただろう」
「ええ……」
「それが分かっていて、何故修業を続けた」
「……それがボクの忍道だからです。そのためだったら、どんなときでも努力します。それで死んだら、ボクはそれだけのものだったのだとあきらめます」そうボクは、思ったままに答えました。
「リーよ。お前はそれで良いのかもしれない。だがな……」
ガイ先生の、ボクを抱く力が強くなりました。
「お前は独りで生きている訳じゃない」
ボクははっとして、ガイ先生を見上げました。
「お前が死ねば、テンテンはきっと泣くだろう……」いつもボクを叱咤してばかりいる、テンテンが……。
「ネジも、泣くだろう……」いつもボクを見下している、ネジが……。
「そうしてオレは……」
言葉の続きの代わりに、ボタボタと落ちてきたのは、熱い涙でした。
ガイ先生に言われて。
ネジやテンテンとすごしてきた日々を思い。
ボクをいつも見守ってくれるガイ先生を思い。
そうしてやっと気付いたんです。ボクが、みんなに大切に思われていることを……。
思い出したように感じた、頬の痛み。とても、熱い。
ごめんなさいと言おうとして。
けれどそれは嗚咽となって。
先生にしがみついて泣きじゃくりました。
ボクをおぶった先生は。
「今日はもういいから、休め」
優しく言うので。
「オッス……」
気合いを込めるはずだった返事は、また涙声になってしまいました。
「ガイ先生、ボク、自分ルールを一つ追加しました」
「おお! なんだ」
「もしもボクがボクを大切に思ってくれる人の存在を忘れたならば……ボクは忍をやめます」
「!?」
「だから絶対にこのルールは守ります」
「……リーよ」
『そうしてオレは……』
その続きは結局聞かなかったのですが。
だから先生が何を言おうとしたか分からないままなのですが。
思い出すたび、今でも涙が出そうになるのです。
☆あとがき☆
はっきり言っていいですか? こんな照れるものを書いたのは初めてです!!! ですがっ! 師弟愛好きの管理人にとっては、ある意味たまらないものがありますね><
~おまけ~
「リーよ! 氷枕を作ったぞ! おかゆは卵入りだ!! 特製の丸薬もこしらえたぞ!!!」
ガイ先生に無理矢理入院させられたボク。ガイ先生はいたれりつくせりでした。
「医者はまだこんのか! 可愛い愛弟子が死んだらどうするんだ!! そうだ手術もしないと……」
本当に、いたれりつくせりでした。
「いや、木ノ葉病院では心配だ! もっと大きな病院へ……! いや、ここはオレが全国津々浦々を旅し伝説の綱手姫を探して……」
本当に……。
リー『ガイ先生には御世話になってます! オス!!』
人気blogランキング
『雛舞い』番外編(カカシ少年編) NARUT… February 21, 2009
『忍たちのバレンタインデー』あとがき N… November 9, 2008
「恋のバレンタインデー」『忍たちのバレ… November 8, 2008
PR
Freepage List