四さま、お誕生日おめでとうございます(*^_^*)
(注:四代目のお誕生日は明日、1月25日です。一日早くてゴメンナサイ^^;)
四代目の優しさが大好きな管理人です。
本日久しぶりに、NARUTO-ナルト小話です。
四代目お誕生日企画。
四代目とカカシ。神無毘橋の戦い後。
『見上げた先生は微笑んでいた』(四代目とカカシ・シリアス)
オビトが殉職してから早一ヶ月。今日も『木ノ葉の黄色い閃光』率いる小隊には任務が入っていた。
「先生……また今日もカカシ、遅刻ですね」
リンは、はぁとひとつため息をつく。今まで規律という規律をすべて守ってきたカカシ。けれどオビトの死以後、カカシが集合時間を守ったことはなかった。
「ん……そうだね」
先生は、リンに優しくほほえむ。それだけだ。
しばらくして、やっとカカシは姿を見せた。
「……すみません。道に迷ったおばあさんがいて……」
今日もカカシは嘘をつく。まるで、かつてのオビトのように。
「カカシ! どうしちゃったの……? 最近いつもいつも――」
「リン」
先生は、リンの言葉を途中で遮った。
「分かってるよ。カカシ……」
先生は、カカシに微笑する。カカシは、そっと目を伏せる。
任務休憩時。以前ならカカシはオビトと口げんかをして過ごしたものだが、今は木陰で静かに本を読んでいる。リンはおとなしいカカシがさすがに心配になり、そっと近づく。
「カカシ……何読んで……」
リンは口に手を当て、見る見る真っ赤になる。
「そっ、そっ、それ、たしか、いちゃいちゃなんとかっていう、オトナが読む本……」
カカシはリンに取り合わず、ボーっと本を眺め続ける。
「カカシにはまだ早いでしょ! それは子供が読んじゃダメって決まってるんだから!」
「……きまり…ねぇ……」
カカシは、ぼんやりとつぶやく。そこへやってきた先生が、カカシの本を手に取る。
「ん……確かにカカシには早いね。けど、いいよ」
先生は、カカシに本を返す。
「先生……?」
カカシは、何故怒らないのかとばかりの表情で、先生を見上げる。
「だってカカシは、それをただ眺めてるだけでしょ。読んでるわけじゃないよね」
カカシは目を見開いた。
その夜。岩の上で先生が見張りをしていると、寝ているはずのカカシがやってきて、隣に腰を下ろした。
「眠れないのかい? カカシ……」
先生は、優しく笑う。カカシは、静かにかぶりをふる。
「……どうして先生は、オレのこと怒らないんですか? 遅刻したり、その…変な本読んだり、してるでしょ……」
「カカシは、怒ってほしいのかい?」
「……」
カカシは、うつむく。
「分かってるよ。カカシ……」
先生は、朝と同じことを言った。
「カカシは、オビトのことが今もまだ、すごく苦しいんだよね……」
カカシの肩が、ぴくりと動く。
「遅刻をするのは任務前にオビトが眠る慰霊碑に行くからで、遅刻の理由をオビトと同じにするのはオビトを忘れたくないからで、本に没頭しようとするのは逆に辛くてオビトを忘れたいからで、読んではいけない大人の本を読むのはわざと規則を破るためで……」
カカシは動揺し、それは次第に激しくなっていく。
「君は、サクモさんのときとは逆で、今度は規則に固執しすぎたことをとても後悔しているんだ……」
カカシの呼吸が乱れる。
「だって君は、オビトが大好きだったから……」
「……オレ…は……」
「そうだよね」
カカシは何か言おうとしたが、それは震えて言葉にならず……。顔をおおい、その手からは涙が伝わり地面に落ちた。声を必死で殺し、けれど肩を震わせ泣くカカシ。
「泣かせてごめんね。カカシ……。けれど、君に覚えていてほしいことがあるんだ」
うつむくカカシの頭に手をやり、先生は星空を見上げる。
「オビトもね、君のことが大好きだったんだよ」
カカシは、一瞬息を止める。
「だからね、オビトはこう思っているよ。オレのことで苦しんだり、泣くのを我慢したりするな。気の済むまで泣いて、そうしたら笑って……笑っててほしいんだ……って……。ねぇカカシ……」
カカシは、涙をふいて先生を見上げる。
「オレも、同じだからね」
とけこむような優しい笑顔に、カカシは思わずボーっと先生に魅入る。
「もしも……だけど……。そんな時がきたら……。オレはそう願いながら、カカシを見守っているからね」
まるで夢の中にいるみたいに。その声はカカシには遠く聞こえた。
「先生」が逝ってしまったのは、それからそう遠くない日だった。
やがて月日は流れ、カカシは第七班の先生となる。意外性ナンバーワン忍ナルト。素直でないサスケ。恋に夢中のサクラ。個性派三人を理解するのは難しい。
けれど、と、カカシは思う。あの時、先生は全て理解してくれた。解ってくれた。何も言わないのに、なにもかも――。
あんなにも深く、慈愛にあふれ、心優しい先生。どれほど偉大な人物であったか、今なら分かる。そして、自分はもちろん、きっと誰からも慕われた、大好きな師は――四代目火影となった。
自分はそんな器ではない。けれど、ほんのカケラでもいいから、あの人のようになれたら……。そう思い、部下三人を見つめる。素直に、可愛いと感じる。大切だと、思う。
『笑っててほしいんだ』
あのとき、最後に、はいとつぶやいて……見上げた先生は微笑んでいた。
まるで太陽のように、綺麗で、あたたかかった。
この子たちの前では、いつも笑っていよう。
ねっ、先生……。
空から、四代目が見守ってくれている気がした。
☆あとがき☆
えっと…なんかカカシモードになってしまいましたが……四代目生誕記念小話です。カカシ先生から見た、優しくあたたかい、偉大な四代目です。四代目の意志が、カカシへ、そしてナルトたちへ受け継がれていくよう、願いをこめて書きました。
四代目『ナイスだよ…みんな!』
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