『未熟なボクら ―もう一つのNARUTO-ナルト物語― 』
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第52話「それが一番良いのだと」
「かつてあった緑の印。残っている青い印。この二つを同時に発動させ、初めて国一つ全滅させられる威力の爆発が起こせるらしいんだ。そして同時に、緑と青両方の印は消え、術発動者の命も絶たれる。だが夢之助のように、半分だけ爆破させれば威力も少なく、本人が死に至ることもない。ただそのことは、術の欠点だったんだ。敵が夢之助を見張り続けていたのは、夢之助がそれをしようとしたときに阻止するため。だがオレらとの戦いが長引いて、間に合わなかった。……これが暗部が突き止めた情報のすべてだが、間違いないか? 夢之助」
コクンと、夢之助はうなずく。
「じゃあ今度はお前が話せ」
夢之助は不思議そうに顔をあげる。
「なにを……話すの?」
「生まれてから、今までのこと。お前がどんな風に育って、どんな風に思ってきたかだ」
「……どうして?」
「いーから話せ。オレたちは巻き込まれたんだ。お前には話す義務がある」
シカマルは、夢之助を真剣に見つめる。
「……」
夢之助はしばらく困ったように考えていたが、やがてぽつりぽつりと話し始めた。
「物心ついたときには、もう呪印が刻まれてた……。監視の人も、つけられてた……。男の人で、とっても怖い人……。その人に、みんな教えてもらったの。お父さんと、うちは一族のお母さんが、国に殺されたこと。国の計画で、ボクが九歳になったら呪印は発動させられて、自分では止められず十日後に爆発して、他国を滅ぼすということ。そのときボクは、死ぬっていうこと。……ボクが楽しいことや嬉しいことを見つけると、監視の人はいつも言ったよ。どうせ死ぬのに、そんな気持ちを持っても意味がないだろうって。だからお菓子も食べさせてもらえなかったし、遊ばせてももらえなかったし、誰かと仲良くするのも禁じられた。でもボクね、それでも友達になりたいなって思った子がいたの」
夢之助は、微笑する。
「同じ呪印を持つ子。ボクより一つ年上だった。ボクと似てる子がいるんだって思って、気になって、仲良くなりたくて……。会おうとするたび監視の人に殴られたけど、それでもある日逃げ切って、やっと会えたよ。友達になったよ。でもその子はこの間、芽の国で死んだの」
夢之助は微笑したまま、淡々と語る。
「ボク、思ったんだ。やっぱり、言われたとおりだったって。初めから好きにならなければよかったんだって。どうせボクも死ぬんだから、もう目を閉じてようって。耳をふさいでいようって。口を閉ざしてようって。初めから、誰も何も好きじゃなかったって自分に思いこませて……そうするのが、一番いいんだって……そう……思ったの……に……」
夢之助の表情は、かすかに不安定になる。
「お兄ちゃんたちのこと……好きに……なっちゃった……。ボク……バカだ……。友達をなくしてあんなに……あんなに辛かったのに……」
夢之助は、悲しげに笑う。
「あのね、もうすぐ、ボクは死ぬの」
悲しみを押し込め、無理矢理にっこり笑う夢之助。
「呪印を全部発動させたら、死んじゃうの。呪印が半分になっちゃったから、爆弾の威力も昨日と同じだけれど、爆発を抑える力も弱まってる。だからもう、一時間ももたない……。その爆発で、ボクは死ぬの。そーいう風に、術は出来ているんだ……」
皆は息を呑む。ただシカマルだけは、予想通りかという顔をした。
「今まで爆弾使わなかったのは……ボクは、みんなに……」
「分かった夢之助。もういい……」
シカマルは、そこで夢之助に話を終わらせた。
「これからすぐに夢之助を暗部に引き渡す命令が出ている。そこで恐らく夢之助は爆発時まで監禁されるかあるいはその場ですぐ……か、だ。一応聞くけど、どーする?」
シカマルが皆を見渡す。
「そんなん決まってるってばよ!」
ナルトがニシッと笑う。
「答えるまでもない」
ネジは怒ったように答える。皆もうなずく。
「へっ……。人がいいな。お前ら」
「シカマルもね」
チョウジがシシシと笑う。
「じゃあ今のうちに行くぞ」
シカマルは夢之助をひょいと抱え、病室から飛び出す。
「えっ? 何?」
驚く夢之助にお構いなしに、皆も後に続く。
「……シカマル」
静かに言葉を発したのは、独り窓辺に残ったサスケだった。
ナルト『次回は……サスケ…オレすげぇ不安なんだ……!』
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ハロウィンイラスト るろうに剣心 October 29, 2012
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