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キリバスの日本語教育 FTCについて

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 こんばんは。ばななぼうやです。

 ぼうやは現在キリバスで日本語教師をしているのですが、海外における日本語教育に関する記録や研究の少ない日本語教育界の現実の中において、ここキリバスの日本語教育はほとんど資料が残されていない国であるため、後の研究、分析・考察、検証のための資料としてキリバスの日本語教育の状況を発信して欲しいという依頼がぼうやのもとに舞い込んできたので、そんなものかねと思いつつ、半死半生のこのブログを活用し、私見、偏見が混ざるのを恐れず、後の研究のたたき台、踏み台となるような記事を何回かに分けて発信していきたいと思います。

 今回はその第1回目「FTC(Fisheries Training Center)について」です。興味のある方は是非ご一読を。


 1.FTC(Fisheries Training Center)について

 ここキリバスに日本語を教える民間の学校はない。

 キリバスで日本語を習うことができるのは私の活動先FTC(Fisheries TrainingCenter)(現在はMTC(Marine Training Centre)と統合されている)のみである。FTCは1989年設立以来日本の日本鰹鮪漁業共同組合連合会から日本人日本語教師派遣の支援を受けてきたが、2007年にその支援は終了し2011年よりJICA(JAPAN INTERNATIONAL COOPERATION AGENCY)の支援を受け日本人日本語教師1名(現在はばななぼうや)と2名のキリバス人日本語教師によって日本語教育が行われている。
 FTCは将来日本の漁船に乗って働くキリバス人のための全寮制の職業訓練校である。


 訓練生は将来日本の漁船の上で日本人と職務上のコミュニケーションをとることを目的として日本語を勉強している。
 日本語教師が日本鰹鮪漁業共同組合連合会から派遣されていた頃は、まず最初にキリバス人日本語教師がキリバス語で文法を説明し、その後日本人日本語教師が生徒の理解度をチェックしながらアクティビティや練習問題を行い、生徒の理解度が低かった場合はキリバス人日本語教師が再度文法を教えるというスタイルだったそうだ。
 絵カードや各種写真資料、プリント類、テスト一式はすべて整理整頓された状態で保管されていたがキリバス人日本語教師はこれらをほとんど使用していない。
 ちなみに使用されているメインテキストは「新・日本語の基礎」である。


 現在のキリバス人日本語教師の教授法は至ってシンプルである。
 文法事項を説明しているキリバス語のプリント(おそらく「新日本語の基礎」もしくは「みんなの日本語」の教本英語版をキリバス語に訳したもの)があるのでそれを訓練生に読ませた後、例文を板書し、意味を説明する。その後問題を解かせる過程で訓練生から質問がでれば順次それに答えるというものである。

 私は赴任当初研修としてこのようなクラスを2週間にわたり見学させてもらったが、正直大変退屈なものであった。

 日本の日本語学校でこのような授業をすれば生徒からの批判は凄まじいものになるだろう。
 それ以前にここまで退屈なクラスはやってる教師自身が耐えられないのではなかろうか。
 しかしながらFTCでそれは当たり前のように行われていた。
 そしてそれについてあれこれ考えているうちに以下のようなことを思うに至った。


 FTCの規律は厳しく、授業中の私語や居眠りは厳罰の対象となるため、いかに退屈なクラスが行われていようと生徒は真面目に授業を聞いている。(生徒は番号で管理されており、校則を守らない訓練生には週末の施設内での自習を義務付けられている。髪や髭、爪が伸びていたり、ハンカチを持っていなかったり、教師の指示に従わないとレベルに応じて自習時間が与えられ、その累積時間により土日の外出が制限される仕組みとなっている。酒気を帯びて施設内に入ったり門限に45分以上遅れて戻ってくると一発対処処分となる)

 ゆえにここでは教師にクラスコントロールの技術はほぼ不要である。

 学習者中心の楽しい授業のひとつの効果として、学習者の学習意欲を高め、日本語学習を継続してもらえるという点があると思うが、これは民間の日本語学校としては生徒の継続率が業績につながるため大変重要だが、ここは政府管轄の職業訓練校であるためそのような視点はない。そもそもここはキリバス唯一の日本語学習機関であるため競争原理は働かない。さらに言えばここは漁船員養成校であり日本語学校ではないため、日本語学習を楽しむためにここに入学する訓練生は想定し難い。訓練生はここで日本語の他に漁法やエンジン、航海について学ぶ。

 訓練生にとってキリバス人日本語教師の授業は特に退屈なものではない。彼らにとってそのような授業は小学校の頃から受けている慣れ親しんだ授業スタイルである。

 キリバス人日本語教師は入れ替わりが激しく新しい日本語教師は日本語教師の経歴はもちろん教師の経歴すらない。

 臨時職員の採用面接に関わらせてもらったが、人事担当の人が私にアピールしてくる内容は候補者がいかに長い間日本の漁船に乗っていたかである。

 日本の漁船にどれほど長く乗っていようと教師の経歴もしくは教師としての資質が無ければ教師としては役に立たない。

 面接で日本人には正しく認識されないレベルで間違って書かれているひらがなをいくつか提示し、「訓練生がこのようなひらがなを書きました。どうしますか。」と問うと、「これらのひらがなはすべて正しいです。大丈夫です。問題ありません。」と答える候補者がいた。
 漁師歴が5年以上で日本語が多少話せたとしても、生徒の間違いにすら気づけない人に教師としての資質があるとは思えない。

 このような状況であるため教師歴すらない新人キリバス人日本語教師でも無理なく短期間で習得し実行できる教授法としてFTCで行われてる教師中心の文法直訳法的教授法は大変実用的だとぼうやは思うのである。


 そんなこんなで

 ばななぼうやでした。








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