昨年は、グリーンニューディールが流行り風力発電の話題がメディアでよく、取り上げられていたが、この頃はトンと聞かなくなった。
たぶん、風力発電による環境破壊や公害問題が表面化して、各地で公害訴訟や建設反対運動が起きていることに原因がありそうである。風力発電が商業ベースで設置されはじめ、普及を目指す環境団体の主張がファンタジーだったことが明らかになり、メディアも環境団体の主張をそのまま流す訳にはいかなくなったのだろう。
理論上、風力発電は環境にやさしいエコな発電方法。だが、世の中、そうそううまい話が転がっている訳もなく普及に伴い、問題が深刻化してきているようだ。
ただ、世界的に見れば、風力発電市場の拡大は止まらない考えている。

普及の第一の理由は、化石燃料価格の上昇。立地条件にもよるが既存発電設備に比して十分なコスト競争力を持つようになったこと。第二の理由は、国境を越えた広域の送電網整備。送電網が広域化すると電力需要が平準化され、発電量を調整できない風力発電でもそこそこ使える様になったこと。
化石燃料価格の上昇は、中国・印度等の人口大国の工業化による需要増と先進国の過剰流動性に伴う投機が主因。個人的には、需要増7割、投機3割と言うところだろう。広域の送電網整備は、EU諸国の様に経済規模で国際競争に不利なる国々が周辺国と経済統合を進めていることが主因。どちらも、しばらくは、続きそうだから風力発電市場の拡大は止まりそうにはない。
ここで、日本に話を戻すと、風力発電の普及は難しそう。米国やEU、中国と比べても高圧送電網が小規模で
、電力需要平準化には限界がある。電力安定供給用の設備投資をかなり覚悟しなければならず、コスト的に既存発電施設と渡り合えるほどの好立地は限られる。
まあ、地域独占の電力会社に電力安定供給用設備コストを負担させて、消費者から回収させることもできるが、国内産業の国際競争力の低下は避けることができない。
自分の思いとして、環境の為なら貧乏もやむなしと言うのは受入れ難い。
さらに、風車立地条件を考えてみると、風車の損傷を避ける為、台風直撃地域である南西諸島域から関東にかけての太平洋岸は不適、また、冬の大容量落雷地域である北海道から北陸にかけての日本海岸も不適。
対処するには、発電施設に世界標準以上の強度が必要。建設費が高騰してしまうので、やはり立地が限られてしまう。また、山間部は、設置場所が稜線上に限られ大規模施設を建設することができない。
どうしても、人口密集地域に隣接してしまい、騒音・低周波公害や景観問題を引き起こしてしまう。1機2機なら大した問題にはならないが、10-20機まで来るとちょっと看過できないレベルとなってしまう。
フィードインタリフによる風力発電の無理な普及は、問題を大きくしそう。
自然エネルギー利用に思うこと 2010年07月19日
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