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蘇芳色(SUOUIRO)~耽美な時間~
美輪明宏音楽会<愛>2006
秋の恒例行事(笑)美輪明宏さんのコンサートに行ってきました。
春には舞台、そして秋にはコンサートというスケジュールで、毎年美しい舞台と歌を堪能させてもらっています。
なによりも楽しみなのが、美輪さんのトーク。
軽妙なおしゃべりが、時には重い内容で、そして楽しい話題で、縦横無尽に展開し、いつのまにか引き込まれていきます。
いつもは自己紹介のときに「こんばんは、白鳥麗子でございます」と言うところを、今回は「江原啓之です」と言われてましたね。(笑)
おととしのコンサートは、主に日本の抒情歌を、昨年は古き佳き時代のシャンソンを、そして今年は美輪さんのオリジナル作品をふんだんに聴かせてくれました。
「“歌は世につれ、世は歌につれ”と申しますが、歌と云うものは、不思議な力を持っている魔法の杖と同じでその音楽を聴いたり唄ったり致しますと、忽ちタイムスリップをする様にその折の時代の匂いや映像と感情、思いや状況がまざまざと蘇って参ります」と美輪さんがパンフレットに書かれています。私も同感です。歌とともに、香りもタイムスリップ用品ではありますが。
美輪さんのオリジナル曲は、メッセージ性の強いものが多く、今回第一部で歌われた曲もそういうものがほとんどでした。以下に曲名をご披露しますね。
・長崎育ち
・祖国と女達
・いとしの銀巴里
・メケメケ
・黒蜥蜴の唄
・僕は負けない
・金色の星
・ヨイトマケの唄
打って変わって、第二部は洒落たシャンソンの曲です。
・サンジャンの恋人
・あきれたあんた
・愛のまがり角
・思い出のサントロペ
・恋心
・ボン・ヴォワヤージュ
・愛の賛歌
美輪さんの衣装の豪華さを拝見するのも、楽しみの一つなのですが、今回は珍しく第一部ではパンタロン姿でした。幅広の黒いパンタロンの裾には、銀色の摩天楼のシルエットが縫い付けられています。黒のズボン部分が、まるで漆黒の夜のよう。上半身は光沢のある白いブラウスでした。ブラウンのショートヘアの美輪さんも魅惑的でした~。
第二部の衣装は、銀色のドレス姿。背中が大きく開いていて、裾が長い上品なドレスでした。曲が変わると、その雰囲気に合わせて、スカーフを羽織ったり、羽を身にまとったり。ちょっとした工夫で、イメージを変えながら歌っていました。お見事です。
舞台美術に関しても同様でした。
第一部では、アールデコの様相で、幾重にも降りた薄いカーテンにモガのイラストなどが描かれています。蕗矢虹児風のイラストでした。曲のないようによって、イラストにスポットライトを当てて、その部分を印象付けたり、ステンドグラスの窓のようなライトを浮かび上がらせたり、雲がたなびく様子を模したライトをつけたり、それはそれは素敵な演出でした。
第二部の舞台美術は、美輪さんお気に入り?の「空から花が降りてくる様子」を演出しています。以前の舞台は、その花が百合だったのですが、今回はさまざまな彩りの花になっていました。部隊下手上部から弧を描いて舞台中央に花が降りてきています。舞台上にも花々が乱れ咲いています。馥郁たる香りが漂ってきそうな舞台セットでした。
美輪さんは、1曲1曲歌う前に、その歌詞の内容を話されます。その内容はどれもドラマチックなものばかりで、いつも思うのですが、歌を聞いているというより、一人芝居を見ているという気分になります。5分程度の曲を聞き終わったとき、2時間くらいのお芝居を堪能したくらいの充実感があるのです。美輪さん、すごいです。
そういえば「恋心」という曲の前のトークでは、こういうことを言われていました。
「恋」と「愛」の違いについて。おぉ~、これはついこの間、私が日記に書いたテーマではないですか~。
美輪さん曰く、「恋」は自分本位、「愛」は相手本位。私、み、美輪さんと同じ解釈だったんですね。光栄ですわ~。(笑)
今回聞いた中で、特筆すべき曲は、やはり「祖国と女達」でしょうか。
これは副題に「従軍慰安婦の唄」と書かれています。先の大戦で軍隊とともに前線に連れて行かれた日本人の従軍慰安婦についての歌です。「ニッポン バンザイ」という歌詞がなんども出てきますが、美輪さんはその部分を、勢いをつけて歌ったり、なげやりな口調になったり、哀しい歌い方にしたりして、哀しい女たちのさまざまな思いを見事に表現されていました。これも舞台を見ているような気分で聴きました。
この美輪さんオリジナル曲を集めた幻のレコード「白呪(びやくじゅ)」が、今年7月にCD化されました。
そしてうれしいことに、来年の美輪さんの舞台は、待ち望んでいた「双頭の鷲」です!楽しみ!これは
ジャン・コクトー
の名作ですよね。有名な階段落ちを、今回は木村彰吾クンがするそうです。私は高島兄の階段落ちが見たかったんだけど~。高島兄は「黒蜥蜴」の明智探偵が、身震いするほどセクシーで素敵だったもんね~。
4年後の舞台は、(笑)これまた見たかった「毛皮のマリー」だそうです。これも楽しみだわ~!
2006年10月29日 大阪 シアター・ドラマシティ
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