蘇芳色(SUOUIRO)~耽美な時間~

「アレクサンドロス大王と東西文明の交流展

いつもいつも、会期の最後になって駆け込む私。
今回も「12月まであるから、いつでも行けるわ」と思って、のんびりしていたらこの始末。21日の最終日まで、空いているのは今日だけ。
寝不足の頭を抱えながら、電車に揺られて兵庫県立美術館に行った。
兵庫県立美術館

音声ガイドを借りて、いざ出陣。
しかし・・・。
絵画を見るのは好きなのだが、今回のような彫刻類を鑑賞するのに慣れていないのと、寝不足が重なり、歩きながら極度の睡魔に襲われる。
美術館で、立ったまま舟をこぎそうになるのは初めてだなあ・・・。
音声ガイドも1つの展示物の最後まで聞く体力がなく、おもわず椅子に腰掛けてしまった。即うたたね。(苦笑)

最初のアレクサンドロス大王関係と、最後の日本の彫像だけ念入りに見て、あとは中抜き。

「風神雷神図屏風」(東京・出光美術館蔵)はしっかりと見た。

一番衝撃を受けた展示物は、やはり「眠るヘルマフロディテ」かな。
前方から見ると、裸体の曲線が美しい女性の寝姿。
しかし後ろにまわって見ると、豊満な胸とともに見えるのは、男性器。両性具有の姿だった。

「うずくまるアフロディテ」は、片膝をついて座っているアフロディテが、右手を上に挙げ、左手で胸を隠している。
音声ガイドによると、最初は両手を上に挙げ、ぬれた髪のしずくを絞っている姿だったらしい。後世の修復で、左手を下方につけてしまったそうだ。胸をあらわにした女神に対する抵抗感からだろうか?

「エロスとプシュケ」は、天使の羽をつけたエロス(キューピット)と蝶の羽をつけたプシュケ(魂)がキスを交わしている像だ。
プシュケ(魂)が、蝶の羽をつけているという点に興味を引かれた。
以前、蝶は人の魂が浮遊しているものと、聞いたことがある。
季節はずれの蝶が、ふらふら飛んでいるのを見つけるたびに『誰か知っている人の魂が、私に会いに来たのかな?』などと戯れに考えたりしていた。
この「エロスとプシュケ」像は、ヘレニズム時代、紀元前1世紀初頭の頃のものらしい。
当時から、人間は蝶と魂を結びつけていたのだろうか。

「兜跋毘沙門天立像」も素晴らしかった。
大理石などの展示物より、木像に安らぎを感じたのは、日本人のDNAがなせるわざなのだろうか?
今回の展覧会を見て発見したことは、以前なら退屈したはずの日本の木像鑑賞が、心地よいものに感じられたこと。

睡魔と闘いつつ、ぼろぼろになって鑑賞した展覧会だったが、やはり行ってよかった。

2003年10月18日~12月21日 兵庫県立美術館





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