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ワークライフバランス


時間管理で 充実人生


 「ワーク・ライフ・バランス」という言葉が注目されている。「仕事と私生活のバランスをとりながら、人生を充実させる」というもので、アメリカを始め、世界中で企業のビジネス戦略として広まっている。「無駄に長い労働時間を削り、生産性を高め、個人が勉強する時間を作り出し、また家庭での時間も持てる」という、個人にも企業にもハッピーなものだ。日本で「ワーク・ライフ・バランス」の考えを広めようと、専門のコンサルタント会社「アパショナータ」を設立したパク・ジョアン・スックチャさんにお話を聞いた。

パクジョアン


 アメリカで「ワーク・ライフ・バランス」への取り組みが広がったのは90年代のはじめだった。当時、アメリカでは業績不振から大規模なリストラを行っていたが、それがもたらしたものは残された社員のモラル低下だった。「次はいつ自分が首になるかわからない」。このため企業は、社員のモラルと生産性を高める必然から「ワーク・ライフ・バランス」の取り組みを始めたのだ。優秀な人材ほど仕事と私生活バランスを重視していたからだ。「仕事に集中できる環境」を作り、浮いた時間は社員に還元した。

 アメリカや、アジアなどで仕事をした経験の豊富なパクさんによると、「日本は世界でもまれな働きにくい国」だ。

 男性の長時間労働、それがもたらす家庭での男性不在(家庭責任放棄)。女性が結婚や育児と仕事を両立できない環境。

 「女性がいくら、仕事と家庭の両立に努力しても、根本的に男性の働き方(長時間労働)を変えなくては、女性の働き方はよくならならい」とパクさんは強調する。

 パクさんは主に、企業向けに研修を行っている。

 「早く帰れというだけでは無理なので、『仕事の再設計』をして無駄な仕事、会議を減らす。また柔軟な働き方(フレックス・ワーク=フレックスタイムや裁量労働制など)といった制度面でも、さまざまな取り組みを提言しています」

 共働きの人ばかりでなく、独身者、子供のいない人、すべての大人にとって、働きやすい環境を企業が作ることは、業績向上につながる戦略となる。「福利厚生ということではない」とパクさんは言う。

 アメリカでは「ワーク・ライフ・バランス」プログラムは、育児や介護、教育支援なども含め多岐にわたり、これをビジネス戦略として採り入れた結果、業績がアップした事例がいくらでもあるという。「何よりワーク・ライフ・バランスに取り組めば、優秀な人材が確保できるのが大きなメリット」なのだ

 時間のゆとりができた社会人は、家族との充実した時間を持つだけではない。

 「アメリカ人は、ビジネススクールに通って勉強するなど、空いた時間でスキルアップに励んでいる」(パクさん)

 アメリカでは再就職した中高年の86%が、「年収は現状維持かアップ」なのだそうだ。日本のように、リストラ=給与ダウンにならないのは、日ごろから勉強しているからだ。

 「いつまでもだらだら会社に残っていて、生産性が低い社員」になるか、「きちんと時間を管理し、仕事と私生活をバランスよく充実させる社員」になるか。従来とは違う「新しい働き方」として、日本でも注目を集めそうだ。

略歴 : パク・ジョアン・スックチャさん。日本生まれの韓国籍。米国ペンシルべニア大卒、シカゴ大MBA(経営学修士)取得。米国系企業に勤務の後、韓国・延世大学へ語学留学。米国系運輸企業で、日本、香港、シンガポールでの人事、スペシャリスト・管理職研修の企画実施。2000年12月、ワーク・ライフ・コンサルタントとして独立、「アパショナータ,Inc.」代表。著書に「会社人間が会社をつぶす」。http://www.worklifebalance.co.jp



2003.2.3 ぴーぷる


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