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女子高生に「私のカサにおはいりなさい…」(S36.6.29大阪読売新聞掲載)

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     市電の停留所で女子高生に「私のカサにおはいりなさい」

               著者(投稿者):菜翁が旨さん
               昭和36年6月29日付読売新聞(大阪)気流(読者の欄)より転載

大阪読売気流

 天満橋で市電を降り、信号を待っていると、一人の女子高校生が雨の中を走ってきた。

少し恥ずかしかったが、「お入りなさい」と声をかけて、僕のカサに入れてあげた。

交差点を過ぎると、彼女は「ありがとうございました」といって、走り去った。

僕もずっと前にカサに入れてもらったことがある。

その時のうれしさが、いつまでも忘れられない。

ちょっと気恥ずかしいようにように思われて、いいにくいが、このごろのにわか雨のとき、

カサのない人をみたら、やはり『おはいりになりませんか』と、声をかけることにしようと、僕は決心した。

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