"菜翁が旨"さんのほほ~ぇむ健康ペ~ジ

庭の桜が散り塗る終和歌

にわのさくらがちりぬるをわか 庭の桜が散り塗る終和歌

わが家の庭のしだれざくらの小枝が春風に吹かれて柳のように揺れている。

小枝のピンクの花びらが風に乗ってひらひらと舞い散っている。

まるでピンクの蝶が舞っているようだ。

このピンクの花びらの散り落ちてゆく先には、長壽と魔よけの靈草「 よもぎ 」が若芽を噴出している。

霍公鳥 ほとぎす 来鳴く 五月 さつき 菖蒲 あやめ よもぎ かづらき 酒宴 さかみづき 」と、万葉集 大伴家持 養老2年(718)? ~ 延暦4年(785) の長歌の一節にも、宮人が大君の きのまにまに仕ふる国の年の内の事かたね持ち 都辺 みやこへ 參ゐしあなたをまちこがれて、 五月 さつき 菖蒲草 あやめぐさ よもぎ かずら にして編んだ冠をかぶって酒盛りをして心を慰めようとした情景が歌われている。

不老長壽の仙人が住むといわれる
蓬莱山 蓬莱山には千年ふる、千秋萬歳重なれり、御前の松には鶴巣くひ、巌の上には龜遊ぶ(平安末期の今様歌) 」があるといわれた仙郷には、今ではだれも見向きもしない よもぎ だが、古代人にはこの繁殖力が盛んで独特の香りがする「 よもぎ 」が長壽と魔よけの靈草として尊ばれていた。

田舎でも、仙郷はともかく、よほどの山奥にでででもなければ「 よもぎ 」を摘む人々の姿を見かけることが少なくなってしまった。

安心して食せる「 よもぎ 」がだんだん、少なくなっている、ということでもあろう。

かくいう菜翁が旨さんも、かっては「 よもぎ 」摘みに精出したものである。


昨今では、外来種と見られる 雑草 雑草と言う名の植物はありませんよ とは、昭和天皇のお言葉 がはびこって、蓬莱の国古来の草々が絶滅してしまいそうな様相を呈している。

春先の野菜たちは、雑草と共に地中の水分を分け合って育ってこそ、柔らかくて美味しい野菜に育つものだ。 雑草も野菜の朋・・・と言えよう

せめて、「 蓬莱國人 ほうらいのくにびと 」として日本古来の雑草を尊ぶ心だけでもせめて片隅にとどめて、自然破壊に鈍感にならないようにしたいものだ。


(1) よもぎは、民間薬として、切り傷、打撲(打ち身)、子宮出血、痔出血、脱肛、かぜ(感冒)、血便、食あたり(食傷)、のどの痛み、せき(咳嗽)、はれもの、腹痛、下痢、ぜんそくなどに効く、とされている。

(2)よもぎの葉を精製してもぐさとして灸治に利用されていることはよく知られている。



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