"菜翁が旨"さんのほほ~ぇむ健康ペ~ジ

失敗して学んで出来た富有柿の干し柿

冬の風物詩、「干し柿」がここかしこの家の軒下に吊るされる季節である。

特に、ことしは、あらゆる種類の柿という柿が太い枝までが折れんばかりに、鈴生りである。

ご近所でも、干し柿を、100個作った、300個作った、という話が聞こえてくる。

そんな家の柿の木を見てみるが、数百個の柿がもぎとられた柿の木とは思えないほど、まだ柿が鈴生りである。

そのうえ、更に、気温が下がった日が少し続いたあと、また、朝夕も暖かい日が数日続いたために、せっかくの干し柿にカビが生えてしまったそうである。

柿の甘蔗は暖かいと溶けて固まらず、その上表面も乾燥しないので、柿にカビが生えてしまうのである。

昔は、鉄製の包丁しかなかったので、渋柿の皮むきは大変な作業であった。

柿の渋が付着して包丁の歯が紫色になって切れ味も悪くなってしまい、何度も研ぎなおさなければならない。

このごろでは、ステンレスの包丁やピラーを使うので、それほど大変ではなくなった。

さいわい(?)、我が家には、渋柿の木はない。

干し柿を作るのが難しくなった気候を、『さいわい』というのは、つらいことである。

※     ※     ※

そう、わが家には、渋柿の木がない。

子供の頃、おやじが、接木をして富有柿に変えたたのである。

接いだ枝の下から芽を出した枝を残せば、その枝には渋柿ができる。

実際、そうやって一本の木で二種類の柿がとれる木もある。

そして、ことしは、わが家の三本の富有柿の木も、鈴生りである。

この柿を採っておかないと、来年は実のつきが悪くなりそうである。

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数年前、試みに富有柿で干し柿を作ってみたことがある。

しかし、富有柿は実が大きいので、乾きが遅くカビが生えてしまったのでそれ以来やめてしまった。

そんなことを思い出しながら、鈴生りの富有柿の木を見上げながら、『もったいない』なぁ~、と思案六法。

いくら考えても、「ない智恵」は浮かんでこない。

とりあえずは、食べるか・・・と、入れ歯・差し歯のない歯で、皮をむかずにかぶりつく。

しかし、一度に、二つばかりはともかくも、三つは食べきれない。

その上、三時のおやつと、夜食で食べるのが精一杯である。

そこで、皮をむいて、八つに切り分けて、種を取り出して、手間隙かけて、柿の数にしてやっと三つ四つ食べることが出来た。

食べて余った切り落としの柿を、竹かごにキッチンペーパーを敷いた上に置いていた。

それを忘れて、思い出して数日後に見てみると、外が乾いて中味が熟々して美味しそうであった。

それを一口、食べてみた。

うまいっ!

そういえば、干し柿も外が乾いて中味が熟々している、「生乾き」の頃が一番美味しいことは、子供の頃から知っている。

食感は、干し柿の「生乾き」と変わらない。

種が無い上に、一口サイズになっているので、食べやすい。

次々といくらでも食べられそうで、きりがない。

そこで、本格的に、皮をむいて、八つ割りにして、種をはずして干すことにした。


孫にも食べさせてやろうと、柿干し場所を増設(?)して、夜なべ仕事に大増産することにした。


富有柿の干し柿

生乾きなので、このままでは、カビることがある。

冷蔵庫に入れても、同じである。

そこで、冷凍庫で保存する必要がある。

この辺は、大根の蛸干で経験済みである。

切り干し大根と違って実が厚いので、カビがはえて失敗したことがある。

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小さい柿は、柿の木の根元に廃棄した。

廃棄した富有柿

もったいないことではあるが、来年の肥料になるのが救いである。

「蛸干大根」と「富有柿」の干し柿の失敗が、生かされて生まれた、「富有柿の干し柿」である。

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人間、いくつになっても、失敗から新しい試みが生まれることは、楽しいものである。


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