カレンダー
次女のアイリ、約3年間 勤務したペットサロンを退職した。
卒業した学校のキャリアセンターを通さずに、自力で求人企業をあたっていたが
『ここで働いてみたい』と思う場所に出会えた。
これまで勤務していたペットサロンは
家族経営だったゆえ、盆正月は確実に休暇が取れたうえに残業はほぼなし、同業種のなかでは ゆるい勤務形態だった。
(その分雇用契約もあいまいだったが)
このたび応募した企業は、海外にも支店を持つペット業界の中では大手に入る企業と思われる。
これまでとは真逆ともいえる職場環境を選ぼうとしているアイリだけどその前に採用試験を受けなくちゃね。
中途採用試験を受けるために アイリがやってきたのは
ショッピングセンター内にある、ペットショップである。
そこは、ペットの販売とトリミングが併設されたショップだった。受付のおねぃさんに声をかけて案内してもらうと、そこには。
面接待ちの先客あり。
(・・・なんでこうなるのかしら。)
試験を受けるのは二人。採用は一人だけ?基準以下なら二人とも落とされるのもありうるね。
面接に臨むにあたって。
企業に関することはできる限り頭に入れておくのが鉄則だろう。
この就職氷河期と言われる時代に、これをしなけりゃ
採用してくれる会社なんてありゃしないよ。
常識よね、常識。
アイリは勉強嫌いな上に、非常識だった。
とりあえず、こたえてみる。
玉砕。
一緒に受けた彼女は完璧に答えていた。
アイリは一つもまともに答えられなかった。
(・・・もう帰りたい。)
そうなの。
ペット業界は需要がありそうで働いてみると実は安定していない職業だと改めてわかった。
チイヤのように国家資格があるわけでなく、
民間のライセンスで技術をはかるトリマーは
就職しても将来まで約束されたわけではなかった。
実際、アイリの同級生の多くが、退職して
実家へ帰ったりアパレルに転向したりで
今はもう在学中の技術を生かせていないのだ。
仕事は決して楽ではない。
そのうえ、所得はきびしい。アイリは個人事業主と契約をして約3年間勤務したけど
結局経済的な自立は完全にはできなかった。
彼女もそうだったんかしら。
(・・・どうしよう。)
(・・・給料が安くって、やっていけなかったんだけど、)
(それもあるけど、えーっと、)
**************************************************
オフの日に、アイリがトリミングしたわんこに出会うことがあった。
勉強が苦手なのに、なんで道で出会ったわんこが
自分のお得意さまだとわかるのかすっごい不思議だが(サロンは予約制で、送迎はオーナーがするので
顔や毛色で区別できるそうな。
そして、知らないわんこに出会って考えることもあったそうな。
(かわいい。)
(ああゆうカット、やってみたいなぁ。)
(・・・どうやってするんかしら。)
(本当は、もっと上手になりたいのに。)
自分で決めた就職先だったけど、月日がたっていくうちに
何か違うんじゃないかと思い始めた。
・・・ダメだと思うよ(汗)
実際の店舗のトリミングルームでカットの実技試験。
販売のスタッフが売り場からトリミングルームを囲むように覗き込む。
そりゃ緊張するわ。
時間にして、わずか5分。
ギャラリーに囲まれての実技試験はあっという間に終了して交代した。
緊張しっぱなしの再就職試験は終了。
そういえば、最初の勤務先って 何店か研修を受けたお店の一つだった。
半月の研修で採用が決まったものだから
試験らしい就職試験ってこれが初めてだ。
まぁ、会社概要を全く頭に入れずに何を面接されると思ったんだかわからないけど
いい勉強にはなっただろうよ。
次はしっかり予備知識を入れて面接を受けることよ。
・・・ちうても、次を探す余裕もなく、実家に戻ってゆっくりさがそう、一からやり直そう。
気持ちはほとんど決まっていた。
ところが。
それから一週間後。
まさかの採用。 (うちの子でホントにいいんですか?)
*******************************************
二か月の無職期間をどうにか乗り越えて
再就職ができました。
そしてそして、試用期間を終えまして
現在は本採用の雇用契約を交わし
元気でやっております。(安心)
PR
コメント新着