探偵Qちゃんの探偵な日々

探偵Qちゃんの探偵な日々

浮気調査 編



相談者は30代の女性でした。

チラシを見て僕の事務所の電話を鳴らしました。

「もしもし、Qちゃんですが。」

「あの・・・チラシを見て電話させていただいたんですが・・・」

「はいはい~。どうされましたか?」

「はぁ・・・どうやら夫が浮気をしてみたいなんです・・・」

「そうですか・・・、どうして浮気だと思ったんですか?」

「えぇ・・・最近、携帯電話でメールをしてるのは知ってたんですけど、どうや
ら女性とメールしてるみたいで・・・こそこそメールするから気になって・・・
昨日の夜、こっそり携帯電話を見たんです。そしたら、女性と会う約束が書いて
あったんで・・・」

「ほう!それはいつ会う約束が書いてたんですか?」

「はい、それが今日の夜なんです・・・」

「今日ですか!?」

「はい、今日の夜7時に○○駅でって書いてました・・・」

「・・・わかりました。一つ聞いていいですか?」

「なんですか?」

「もし、御主人が浮気をしていたとして、あなたはどうしたいですか?」

「・・・・・子供もいますし、主人が本気でないなら浮気をやめてほしいです・
・・離婚も考えてないし・・・だから・・・」

「だから?」

「できることなら、女性のほうに離れてほしいんです・・・」

「なるほど・・・。わかりました。急ですけど、今からこちらに来られますか?


「はい。」

「じゃ、御主人の写真を持って今すぐこっちにきてください。」

「わかりました。じゃ、今から伺いますね」

こんな会話があって、僕は急遽、相談者と会うことになりました・・・

「わかりました。じゃ、今から伺いますね」

こんな会話があって、僕は急遽、相談者と会うことになりました・・・

「どうも、初めまして。」

「突然ですみません・・・」

「いえいえ、いいんですよ。さ、かけてください。」

「いきなりなんですけど、どうしたらいいんでしょう・・・?」

「う~ん、そうですね・・・。○○さんの意思としては、離婚とかは考えてない
んですよね?」

「はい・・・、子供もいますし・・・夫を嫌いなわけじゃないですから・・・」

「じゃ、今日、御主人の調査をしてみて、もし女性と会ったらどうしますか?」

「・・・・今回だけは、許すつもりです・・・」

「じゃ、事実を確認して御主人とは今後も続けていくんですね?」

「はい・・・」

「わかりました。じゃ今回は調査をして、その後のアドバイスをしますね。それ
でいいですか?」

「はい・・・お願いします・・・」

こんなわけで、僕と調査員は現場で待機することになりました。

メールの書かれた時間になると、相談者の夫(以下、対象者)が先に姿を現しま
した・・・。

どうやら、メールの内容は真実のようですね・・・

僕らはこのまま、様子をうかがうことにしました・・・

どうやら、メールの内容は真実のようですね・・・

僕らはこのまま、様子をうかがうことにしました・・・

しばらくすると、一見、普通な感じの女性が対象者に近づいてきました。

声は聞こえませんが、二人の様子からして初めて会うような感じではありません


並んで歩き出した二人の後を、カメラを回しながらついていきます。

僕の予想では女性は独身です。だから不倫関係ですね・・・

少し歩いたところで女性のほうから対象者と手を繋ぎました。

近くにある居酒屋に入り、2時間ほど談笑しながらお酒を飲んで食事・・・

(俺も食いて~)

店を出ると二人はまた歩き出し、街中のビル街の中に紛れるように建っているホ
テルへと入っていきました。

この瞬間、対象者の浮気の証拠は確保され、対象者が浮気をしているという事実
が確認されました。

待つこと、約2時間・・・

このホテルは表と裏に2箇所の出入り口があるので、僕が正面、調査員さんが裏
口を張ってたんですが、二人は入ったときと同様に正面から出てきました。

手を繋ぎながら歩いて出てくる二人の様子を正面から撮影することに成功し、浮
気調査の結果としては充分なものが得られました。

この後、二人は出会った駅まで戻り、女性は対象者が改札を通って駅の中に消え
るまで、見送っていました。

(なぜか、切ないシーンですね・・・)

本来ならこの時点で切りあえげるんですが、今回は女性の素性が知りたかったの
で、対象者はこの後家に帰るだろうと決め込んで女性の尾行をすることにしまし
た。

女性は対象者を見送った後、すたすたと歩き出しました。

この女性、歩きなれてるんでしょうね・・・

歩くのがすっごく早いんです。

僕はカメラを回すより、ついて行くのに必死でした・・・

15分くらい歩いたところで女性は小さな賃貸マンションに入っていきました。

エレベータは○階で止まりました。

僕は外へダッシュ!!

マンションは部屋の玄関が外に面してますから、運がよければ部屋番号がわかり
ます。

なんとかギリギリで女性が玄関の中に入るところを確認することができました。

われながら、完璧!

その後の調査で女性の名前、年齢なんかもわかり、独身であることもわかりまし
た。

今回の調査では、クライアントは離婚を考えていませんし、慰謝料も必要ありま
せん。

ただ、クライアントは相手の女性と話をしたいと言っていましたからね・・・

それに関しては、僕的には微妙なんです。

何が微妙かというと、相手の女性と対象者の間でどんな話がされているかわかり
ません。

対象者が結婚していることを女性は知っているのか・・・

『離婚するから結婚しよう』なんて話になってること考えられますからね・・・

僕はその辺のことも合わせてクライアントと話をすることにしました。

『離婚するから結婚しよう』なんて話になってること考えられますからね・・・

僕はその辺のことも合わせてクライアントと話をすることにしました。

「今から、調査結果の報告をさせてもらいますね。」

「はい・・・」

「調査結果報告書と平行して、ビデオも見てもらいますけど、内容的には決して
楽しいものではありません・・・むしろ、○○さんにとっては辛い内容ですから
、どうか落ち着いて見てくださいね。」

「はい、わかりました。お願いします・・・」

それから、30分くらい、調査結果の報告をしました。

クライアントは終始、ハンカチを目に当てていました・・・。

IT探偵として、クライアントの依頼に忠実に応え、きっちりとした結果を出し
て報告することは非常に仕事への誇りを感じます。

でも、報告されるクライアントにとっては、『できれば間違いであってほしい』
と願う場合もありますから、こういうシーンはけっこう辛いですね・・・

報告が終わって、まだ少し動揺しているクライアントに僕はゆっくりと話し出し
ました。

「今回の結果はある程度、予測してましたから、こういう報告になることはわか
っていたんですが・・・心中お察しします。」

「はい、すみません・・・お恥ずかしいです・・・」

「いえいえ、気にしなくていいんですよ。これも、当然といえば当然ですからね
。」

「有難うございます・・・」

「で、これから先の話なんですが・・・」

「はい、どうしたらいいでしょうか・・・」

「御主人と女性が性的関係にあることは、ほぼ間違いはありません。ただ、二人
の間がどういう関係かはまだわかりませんよね。」

「と言いますと?」

「最近では割り切った身体だけの関係ということも結構あるんです。いわゆるセ
ックスフレンドです。」

「はぁ、聞いたことはあります・・・」

「もしそうだとしたら、あまり複雑ではないんですが、二人の間で、将来のこと
を考えているようだと、すこし、話も変わってきますからね・・・」

「そうですよね・・・」

「だから、以前おっしゃっていた『相手の女性と話がしたい』というのは待たれ
たほうがいいんじゃないでしょうか?」

「はぁ、そうですね・・・」

「とにかく、御主人と話をされてみてはいかがですか?」

「はぁ・・・」

「探偵に調査を依頼したことは内緒にして、友人がたまたま見かけたとかいって
切り出したらどうですかね?」

「そうですね・・・。」

「きっと白を切ると思うんですけど、できるだけ冷静に対応してくださいね。ゆ
っくり、ちゃんと話せば、きっと思いは通じますから。御主人がどう言ってくく
るかわかりませんが、その話を教えてください。それからまたお話しましょう。


「わかりました・・・じゃ、また連絡しますね・・・。」

そういって、クライアントは肩を落として帰っていきました。

それから数日が経ち、クライアントから連絡がありました。

「あれから主人と話しました・・・。」

「そうですか。で、どうでしたか?」

「最初はなかなか認めませんでした・・・。でも、ちょっと詰め寄ったら白状し
ました・・・」

「そうですか・・・ま、認めたのならまだましですね。」

「夫は、相手の女性には独身と言ってたようです・・・」

「やっぱり・・・」

「メールの出会い系サイトで知り合ったらしくて、将来のことなんかは特に話し
てないそうです・・・」

「そうでしたか。それは幸いですね。」

「えぇ、相手の女性もかわいそうです・・・」

「で、御主人はなんと?」

「はい、『今回のことは出来心だから、許してほしい』、『女性とは別れる、連
絡もしない』と言ってます。Qちゃんはどう思いますか?」

「そうですね、ま、今回は御主人の言葉を信じてみてもいいんじゃないですかね
。今回の浮気に関しては証拠も残ってるんですし、今度また同じようなことがあ
れば、そのときには今回の証拠を突き付けてもいいんですからね。」

「そうですね。相手の女性も主人が独身と聞かされてたのなら被害者でもありま
すもんね・・・」

「えぇ、だから、今回は相手の女性と話すということはされなくてもいいんじゃ
ないですか?」

「はい、そのつもりです。」

「御主人にはちゃんと釘を刺しておいてくださいね。今回だけは大目に見ると。
でも次は許さないからって。」

「はい、わかりました。今回はお世話になりました。ありがとうございました。


「あ、今回の浮気の証拠の有効期限は3年間ですからね。それを過ぎると法的に
無効になりますから、それだけ覚えておいてくださいね。」

「はい、わかりました。それじゃ、失礼します。」

こうして、浮気調査は終了しました。

それから何ヶ月か後にこのクライアントから電話がありました。

僕は『まさか・・・』って思ったんですが、クライアントの話は

『私の友人に御主人の浮気が原因で離婚を考えてる人がいるんです。Qちゃん、
相談にのってあげてくれませんか?』

ってものでした。

もちろん相談に乗りましたよ!

クライアントが別のクライアントを紹介してくれるってことは、それだけ僕を信
用してくれているってことですよね!

この仕事しててよかった~


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