あたしはあたしの道をいく

2010.05.11
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ルワンダ大虐殺

ネットを徘徊していて、ルワンダの記事を見つけたのが興味の発端。

ただ、その記事を読んだのは本当に断片的だったので、本当にルワンダだったのか、

それともウガンダだったのか、社会にも地理にも疎い私には、今となってはわからない。



ともかく、そんな断片記事がアタマの端っこに残っていたせいで、

『ルワンダ大虐殺』という衝撃的なタイトルに惹かれて購入。



タイトルとなっているルワンダ大虐殺とは、

1990年代アフリカの小国ルワンダで起きた民族紛争の一つだ。

民族紛争、というと拮抗した民族が長いこと戦闘状態にある印象を受けるが、

そもそも民族が対立することになった背景にはヨーロッパ列強による支配があるよう。



それが1994年の大虐殺につながっていったようだ。



この『ルワンダ大虐殺』は、その大虐殺を生き延びた当時16歳の少年による手記で、

回顧の形をとりながら書かれたものだ。

よって、冷静に社会的かつ国際的な経緯を追って書かれているとは言い難く、

ざっとWikipediaを読んでもかなり印象が違っている。

私の知識は到底この事件について語れるようなものを持ち合わせていないので、

どちらが正しいとも言えないが、他に説明できる物もないので、

事件の説明は Wikipedia のリンクをもって代える。



この本は、生き抜いた者の手記で、文章を書くプロの為したものではないため、

読み物としては多少の読みにくさがある。



だが、やはり、これが文章でなかったら、とても読み進めていくことはできないだろう、

と思われるくらい凄惨な場面を描き続けられていて、訴えられてくるものは多い。

幸か不幸か、文章では映像を読み手の脳裏で想像力によって再現するしかないために、

凄惨な体験の少ない私には、その情景を思い浮かべることが難しく、

淡々とよみすすめることが出来てしまうのだ。





私より4歳年下の男性だ。

彼がかいくぐったルワンダ大虐殺は、1994年のこと。

ほんの一昔前のことで、何よりもそのことに私は驚く。



私の意識では、第二次世界大戦以前ならば、こんなこともあったろうと思える範囲だ。

ドイツではユダヤ人撲滅運動が行われており、

中国大陸では日本の関東軍がワケのわからないことをやっていて、

日本には大量殺戮兵器が人類史上初めて投下され瞬殺された。

そのどれもが大変なことで、決して忘れてはならないことだと思うのだけど、

でもそれも、半世紀以上前のことだから、かなりの過去のことだ。



なのに、ルワンダの大虐殺は、つい10年そこらしか経っていない。

しかも、当時大学生だったはずの私は、この事件を知らない。

小学生や中学生が知らないのなら、仕方がない。

でも私は、大学生。

なのに、何も知らないのだ。



そういえばこの頃、難民キャンプの映像をTVで見たような記憶が微かにあるが、

それがルワンダから逃れるフツ族のものだったのか、他のものだったのか……

「ふーん?」程度にしか、意識を向けなかった私には、何も思い出せない。



私がオバカで能天気な学生だったことは否めないけれど、

著者によれば、ルワンダの虐殺は先進国に無視されていたのだそうだ。

虐殺につながる予兆は随分早くからあったにもかかわらず、見過ごされ、

虐殺が勃発してもなかなか終息に向けた手は差し伸べられず、

情報が錯綜して被害者が加害者に祀り上げられるという事態も発生した。



一体、ルワンダで何が起きたのだろう。

そして、今のルワンダはどうなったのだろう。



情報が錯綜し、正しい情報をリアルタイムで得ようとしても、

この件に関しては非常に難しかったろうと思われる。



けれど、同年代のこの青年が地獄を見ている間、

私は何も知ろうともせず、オバカで気楽な大学生活を謳歌していたことに、

強い抵抗を感じる。



この本を読みながら最も強く感じたのは、自分自身に対する恥だった。

私は、自分の無知を恥じる。







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Last updated  2010.05.11 13:57:35
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