ラッキィセブンティライフ

ラッキィセブンティライフ

新緑の山 紺碧の空 (2)都呂々小学校転勤


  礫多き 学校住宅 原の花
  なじみ泣き 地に名月の うつくしき
  集い来る 知らぬ子ばかり 今日の月
  父と子の 影長々と 今日の月
  かなかなや 部落中が飲む 学校井
  水音の ふと乱れたる 夜長かな
  かたことと 買えりたるらし 夜学の子
  実柘榴や 病院の庭 静かなる
  橋渡る 吾子らしや 夜の長さ
  堀切りと 抜けて山茶花 真白く
  海見ゆる 丘なだらかに 石蕗の花
  目を通す 子の教科書や 秋灯
潮騒の 耳につく夜や 毛糸編む
  本伏せて 夫茶を待てり 夜の長さ
  居眠りの 顎なでられし 夜長かな
  男の子 ばかり並びし 雑煮かな
  逞しく 大鍋あけし 雑煮かな
  初風呂や 子の筋骨の 逞しく
  子の夜に 籠る願いや 縫いはじめ
  郷にいれば 郷の慣わし しめ飾り
  仲良しの いつも二人や 手毬唄
  校内に 二世帯なる しめ飾り
  水はいて 皿にのびたる なまこかな
  酢海鼠の 箸をのがれて 落ちにけり
  夜車に 夫かえり来し 師走かな
  沸々と 土鍋煮え居る 囲炉裏かな
  貰い湯の 序に炉辺の 仲間入り
  君が代を うたい国立ち 御代の春
  句がつなぐ 相見ぬ友の 賀状かな
  末の子と 末座たまわる 雑煮かな
  必々と 髪結うてみる 三日かな
  国つくる よい子大勢 家の春
  忘れえぬ 背を打つ出湯の 初湯あな
  転々と 居をかゆる身の 初詣
  行くほどに 急なる径や さざめ雪
  静寂を 我破り行く 枯野かな 
  くどくどと 愚痴聞かされつ 炭をつぐ
  茶を入れて 友欲しき午後 冬うらら
  風呂頂きに 隣の加勢 冬ぬくき
  明日は明日 炉辺りに一人 茶をすする

  髪のびて けわしき顔や 夜学の子
  駆けて行く 子の頬そめて マスクかな
  梅見の話 決めて炬燵の いとまかな
  きしきしと ラジオ雑音 しぐれけり
  広き校庭 子等散り果てて 時雨空
  水替ゆる 桶の水餅 累々と
  水餅の くっ付き合うて 焦げにけり
  水仙花 陽のよく当たる 大広間







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