高血圧が諸悪の根源、自己診断に『誤」用心めまいを抱える患者さんは、アレコレと原因を思い悩むようです。 なかでも目立つのが「血圧が上がったから」という”診断”。 めまいで受信した際に、医師に「血圧が高いですね」と指摘された人が多いようです。
天井ガグルグル回り、救急車で病院に運ばれた時に、最大血圧が180、200などと言われ、降圧薬を処方された人もいます。 ところが、血圧が下がっても、フラフラした症状はなくならない場合が多いのです。
「血圧は落ち着いたのに」と思いつつ、救急病院での高い数値は気掛かり。
「普段は低血圧なのに」と患者さんは不思議がるばかりーー。でもちょっと考えてください。 突然、天井がグルグル回れば、恐怖と不安で血圧が上がるのは当たり前です。 おまけに救急車のサイレンで胸はドキドキ。
血圧の上昇でめまいが起きたと考えるよりも、めまいや救急搬送という「非常事態」が血圧に影響したと考えるのが自然でしょう。
高血圧は、脳卒中や心筋梗塞の危険因子ではありますが、めまいまで血圧のせいにするのは疑問です。
血圧の値は日ごと、時間帯ごとに変動しています。 最近よく言われているように、医師や看護師の姿をみるだけで血圧が上がる「白衣高血圧」の人もいる。ちょっとした「異変」に影響されやすいのは、繊細でデリケートな人。
そうでなくとも日ごろから神経を使い、首や肩が凝っている人が多いようです。肩や首の凝りと血圧の関係も、なかなか複雑。今のところ、首の周辺の自律神経に影響し、血圧が上下すると考えられていますが、まだまだ不明なことも多いのです。
ストレスなどで血圧が急激に上がったり風呂でのぼせて逆に下がったりした場合は、、脳内の血液の量や流れ方に影響し、フラッとすることはありえます。 だからといって、めまいを血圧だけで説明するのは無理があると思います。
めまいと血圧、肩こりは、いわばニワトリと卵がみつどもえに絡んだ複雑な三角関係です。
その場限りの誤った自己診断には、”ご用心”を。
(入野忠芳・総合めまいセンター院長)