君を捜す旅

君を捜す旅

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2009.01.10
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いつものように、目覚まし時計のアラームにたたき起こされた。
僕の家は、シングルベッドを二つ並べて、そこに川の字になって寝ている。
娘はいつも僕のベッドで寝ているから、妻はひとつのベッドを一人で占有して寝ている。
でも、そこに妻の姿はなかった。
ベッドには乱れもなく、昨日の夜のままだ。

リビングに行ってみたが、そこにも妻の姿はない。
僕は暖房のスイッチを入れてから、キッチンのテーブルの上に置きっぱなしだった携帯とタバコを持って、ベランダに出た。
タバコに火をつけて、携帯を開く。

妻からメールが来ていた。



終電を逃したので、会社に泊まります。
                                     -

僕は、素っ気無い短いメールを一瞥して、煙を吐き出しながら携帯を閉じた。

妻は妻の価値観で行動している。
そして、その価値観は、僕とは相容れない。
それは良く分かっている。

でも、理解する事と納得することは別。
夫婦って、家族って、こんなものだっただろうか。
僕が思い描いていた「幸せな家庭」って、こんなものだっただろうか。

タバコの火を灰皿で消し、少し暖まってきたリビングに戻った。
コタツの上に置きっぱなしのノートPCを起動し、Windowsのロゴを眺めながら、タバコを吸う前にコタツのスイッチを入れなかったことを、軽く後悔した。



 新着メッセージがあります
JUNさん
昨日はありがとうございました。
否定的なコメントって、心に突き刺さります。
あのコメントを読んだ時、もう、書くのをやめようかと思いました。
でも、JUNさんのコメントを読んで、もう少しがんばろうって思いました。 ルリ 


翌日の夜、ブログの管理画面を開くと、彼女から僕宛にメッセージが来ていた。
誰でも読むことが出来るコメントではなく、僕だけが読むことが出来る、要するにメールのようなものだ。

わざわざお礼のメールなんてくれなくてもいいのに……。



ルリさん
世の中にはいろいろな人がいて、色々な意見を持っています。
どれが正解で、どれが間違いって事はないのだとは思いますが、僕は少なくともルリ
さんの書く小説は素敵だと思います。
僕はルリさんの書く文章が好きです。
これからも是非書き続けてください。
                                  JUN


メッセージの送信ボタンをクリックして、ブラウザを閉じ、PCをシャットダウンした。

「がんばるかな……」

僕は、なんだかちょっとだけ前向きな気分になって、娘を起こすために寝室へ向かった。










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Last updated  2009.01.11 00:19:26
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