俺とユーロとC.D.と・・・(何

第一話



・・・そんな妹の嘆き声を聞きながらあくびをして、俺は起きようとしている。
まだ大学生活が始まって間もないこの時期。時間管理がうまく行ってない
せいか、非常に眠い。・・・ったく、そこまで昨日テレビ見てたのが悪いか?
今にも俺の罪を重刑にかけようとしているそこの小さい裁判長・・・いや、
妹である雀に俺は潰されかけようとしている。つーか、尻で潰そうとするなよ。

『そんなに起きないんだったら・・・えいっ!これでどうだっ!』
散々そのデカい尻で踏み潰しにかかる雀。つーか痛いし重い。
『いだだだだ!分かったからやめんかぁっ!』
何とか反論する事が出来た。つーか、出来なかったら呼吸困難で
今頃死んでだぞ、俺は。
『・・・やっと起きたぁ。お兄ちゃんは相変わらずなんだからぁ』
そんなこんなで死亡寸前の状況を打破し、俺はやっと起きた。
まだ時間は四時を差している。・・・いくら何でも、コイツは早すぎだろ。

『ん~・・・おはよう・・・』
なんて寝ぼけたような台詞をまず言ってみる。基本中の基本だな、これ。
『おはよっ!今日も相変わらずの顔してるけど、頑張って行こうね!』
・・・相変わらずの顔って、そうじゃなきゃ変だろ、とかツッコんでみる。
そんなさり気ない雀の一言を気にしながらも、とりあえず顔を洗い、歯を磨き、
パジャマから着替え、一通り朝の準備を済ます。まだ時計は四時三十分だ。

『つーかお前っていつも早いけど、何でここまで早く起きてるんだ?
大方朝飯は七時頃だし、もうちょっと寝ててもいいんだぞ?』
『んー、でも私だってホラ、もう六年生でしょ?
いつ働いてもいいように、早めに起きていつでも寝れる・・・ってね。』
『あと6年も先の話なのに、お前ってば今からやってんのか。
まだまだ先なんだから、これからの成長に影響が出るぞ?』
『うるさーい!これから伸びるハズなのにもう伸びないんだよぉ~・・・』

これまでの話から分かる通り、雀は早起きであり礼儀正しい。
しかしその起きる時間が早すぎる故か、身長が途中から伸びなくなってしまったのだ。
現在の身長は150センチ程。先が思いやられる・・・。

『・・・確かにそれじゃ伸びないわな。つーか、伸びるのは奇跡だとも思え』
『えーっ!?そこまで私って伸びない運命だったの・・・!?ああ悲惨・・・』
何だその妙な激しさは、とかツッコんでみる。つーか六年生にして「ああ悲惨」とか使うあたり完全に年齢違いだと思う。
いや、使うシーンはあってるんだけど、何で雀みたいなガキが使うのかが気になった。
『にしても、こんな朝早く、俺は何をすりゃいいんだ?』
『そこにいればいいのっ。私が一人で部屋とか掃除してくるからね。』
『俺も手伝ってやるよ。暇じゃねえ方が面白いしさ。』
『ううん。いいよ、別に。私一人でやるから・・・それに、もしお兄ちゃんに
何かあったら、私だって悲しむんだからさ・・・分かってよ。』
『・・・しゃあないな』
一瞬だけ雀がお兄ちゃん想いであるような気がした。だが、こんな奴がそう思うのか?なんて気になったりもする。

雀は、入念に掃除を続けている。
時にちょっと俺の目を気にしながらも、鼻歌を歌いながら可愛げな姿で
掃除をしている雀を見て、俺は思った。
(ここまで家事が良く出来て優しいのはアイツだけだと思う。だが、あそこまで人を殺そうとするのは恐ろしいなありゃ)
ややもすれば殺人兵器にもなり兼ねない。なんと恐ろしい生命体なんだ、アイツは・・・。
そんな本音混じった冗談を入れながら雀の事を考える俺。
それでもアイツは自分の身さえも気にせずに、本棚の掃除をしている。
その時だった。

『あっ!』

足を滑らせた雀が、はしごから落ちた。
俺は即座に本棚へと向かい、落ちて来る雀を両手で抱えた。
まさに危機一髪。見てなかったらアイツはどうなっていた事か・・・。

『ったく、どんぐらい朝の食ってない腹で体力使ったと思ってんだ・・。』
『・・・ご、ごめんなさい・・・』
そう言って泣き出しそうになる雀。
俺はすぐに雀の小さな頭を優しく撫でてやり、そっと言った。

『いいんだよ、お前が助かってくれれば。』
『お兄ちゃん・・・』
にわかに微笑んで俺の顔を見る雀。俺はちょっと赤くなって、そっぽを向いた。
『何々だ?一体。んな不気味な・・・』

『ありがと♪』

雀は、そう言って俺の頬にそっとキスをした。
『・・・な、何すんだよ。恥ずかしいじゃねえか・・・』
『お兄ちゃんっ、大好き・・・だから、もう少しこのままでいて・・・お願い。
なんだか、お兄ちゃんの温もりが、そのまま私に伝わってくる気がするの・・・』
仕方が無いから、俺は暫くの間雀を抱き続けた。
暫く抱えていると、雀は眠り始めた。・・・全く、人の胸元で眠るとはなんつー幸せモンなんだろな、コイツは・・・。
俺はそんな事を想いながら、昇りつつある朝日を見続けた。



やってきましたよ一発目。妄想全開御馬鹿コメディ(全然違
余韻にひたらせる余裕も無しにここに書く僕って・・・^^;
で、書いてみて・・・と言われると、これ妄想だけで突っ走ってますね。
個人的に弟が滅茶苦茶意地悪で口だけ達者なだけに、こういうストーリーを書いてみたかったんすよ、本当はf(^^;
特に苦労したのは出だしとラストですね。出だしの台詞から妄想モードで
突入した為、最後の最後まで妄想全開で走りきるのは疲れましたorz
ちなみに眠り始めたって死んでませんからね!寝ただけですよっ!(爆沈

2006年4月14日製作
(Faster Dance Vol.3、早く届かないかなぁ?)


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