俺とユーロとC.D.と・・・(何

第3話『卒業・・・』


取り戻すかのように、友人である心菜が私を励ましてくれた。
彼女は泰斗が私を嫌っている事を素直に分かってくれ、
そっと肩を叩いて私を慰めてくれた。

『大丈夫だよ!飛織も、泰斗君も、みんな悪くないと思うよ』

私を心配してくれながら、そっと微笑む彼女の顔には
つい私も彼女のように、明るさを持ってしまう程の幸福感があった。

心菜と私は、大の幼馴染だ。
私の隣にいる事が非常に多く、お互いの意志も言葉で
すぐ通じ合える程の唯一無二の「親友」と呼べる存在だった。
勿論、私が困った時には彼女は相談に乗ってくれ、
逆の場合は、彼女にあまり悲しませないようにしながら、私も相談に乗った。

でも、今回は多少違うのかも・・・なんて私は考えていた。
今までのそんなちっぽけな悩みじゃなくて、泰斗の事なんだもん・・・
流石に明るさに満ちたように見えた私の胸にも、不安が過ぎった。

確かに私は悪い訳ではないのかもしれない。でも、泰斗は
私の全てをウザいと言っているように聞こえた・・・だからこそ、私は戻れないのかもしれない。
私は心の奥底で、自らの本当の意志を、心菜に言い出せないままでいた。

彼女に言い出すのが、怖いからだ。

確かに彼女は底抜けに明るい。むしろ、場の雰囲気を何とも言えない
幸せな気分にしてくれる。でも、そういう彼女だからこそ私は
正直に言い出せないのだ。その一言を放って、本当に心菜の為に
なるのかと思えば、そうでもない。そのような意味の無い事を
彼女に言って無理に心配させるとマズいのではないか?
私はそう考え、無茶な重荷をかけるとキツいかな・・・と思って
そっと自分の心の内に、「終わらない問」を残した。

お願いだから、この意志だけは・・・

彼女まで心配させてしまうと、私の身は更に重くなる。
だからこそ、決してこの想いだけは、彼女の身には届いて欲しくなかった。
それは、私が勝手な理由で残した、心菜との最初の疑惑の雲だったのかもしれない・・・。


・・・卒業まで、あと3週間・・・。


私は、以前として泰斗と話をしていない。
むしろ、話す必要が無いのではないかと、私自身が次第に
思っていくようになっていた。
「好き」という感情が離れつつある私にとって、泰斗との会話が
何を積み上げるかと思えば、そうでもない。
意味の無い会話に付き合う必要なんて無い・・・少しずつ泰斗に対する
気持ちの変化を実感した私は、そうとも考え始めた。

二度と泰斗を、好きになれないのかもしれない・・・

本当に私は、これでいいのだろうか?
心の内は以前として不安に包まれながらも、幸せと悲しみの
卒業の季節は近づいてきている。私は本当に、卒業式までに
泰斗との関係を直せるのだろうか・・・?
心の底ではまだ「好き」と考えている私は、そっとそんな疑問を出してきた。
これもまた、「終わらない問」なのかな・・・なんて私は想いながら、
この疑問も内へと隠す事となった。

そんな卒業の時期を感じつつあった私達は、心菜と共に
卒業式前の最後の思い出作りとして、色んな場所に行っていた。
地域で馴染みのある場所から、あまり行った事の無い遠い場所まで
時間がある限り、親友である心菜と思いっきり楽しむ事にした。

・・・そう、心菜と私は、卒業式を境に
それぞれ違う高校へと行ってしまうのだ。別れるのは辛いけど
同じ友達だし、自分と違う才能があるんだから・・・と
私は別の高校に行く心菜を影ながら応援してやろうと、心に決めていた。


『飛織~、今日は何処行こっか?』


ある日、私は心菜に質問された。
いつも笑って隣にいて、明るくも優しく話しかけてくれる心菜。
でも、今日の悲しみも苦しみも流されてしまいそうな幸せと光に満ち溢れた
彼女の笑顔には、特別な「何か」を私に与えてくれた気がした。
それが決意なのか、再び愛を取り戻すという決意なのかは、私にも分からない。
でも彼女の笑顔は、一つのゴールでもあり、出発地点でもあるのだと
私は感じた。そんな時に見せてくれる笑顔が、ステキで、私の最高の
「宝物」だったから。

『今日は、心菜の行きたい所でいいよ。
いつも私ばっかり選んじゃってる感じがして、気の毒だからさぁ・・・』

私はそう言って、行きたい場所を選ぶのを拒んだ。
いつも以上に明るくルンルン気分な彼女を見ていて、私自身が
妙な所を選んで気分を損ねちゃうと悪いかなぁって思って。

『そっかぁ。じゃあ、飛織には悪いけど、私が選んじゃおっと♪』

いつもより楽しげに何処へ行こうかと辺りをキョロキョロ見回したり風景を観察する心菜。
そんな素直で元気な彼女と一緒にいられる最後の時間を、私は思いっきり
満喫しようと考えていた。

あの日が、やって来るまでは・・・



いやーはははっ。完全思いつきですね。ベタすぎですねorz
個人的な妄想その他諸々が混ぜ合わさって訳の分からないようなブツになっています^^;
原作と展開変えてるし、ラストのオチが悲しげだし^^;
アレンジしすぎやお前とかツッコまれてもおかしくない程に低レベルと化した
ブツになってしまいました・・・orz

2006年4月19日製作


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