俺とユーロとC.D.と・・・（何

第１０話『どんな時でも』

どんな時であれ、一緒にいてくれる泰斗。

私がいなきゃ、どんな道になっていたんだろうとふと考えた。

・・・それでも、泰斗はずっとここにいてくれる。

・・・私を、信じているから・・・

あの後・・・。私は心菜と一緒に、行ける場所を思いっきり回った。
時に悲しく、嬉しく、様々な感情と一緒に詰まった思い出の場所に
改めて行ってみるのは、本当に楽しいモノがあった。
私は心菜に感謝と共に、尊敬の意を改めて表した。

ある昼下がり。私はポケットに閉まっておいた携帯を見る。
特に新着メールは入っていない。・・・少しくらい、何かあっても
いいのにと、私は「何か」が起こる事を期待していた。
毎日のつまらない日々が暇なのか、あるいは何も起こらない日々が
嫌いなのか、私自身でも何を考えているか全く分からなかった。

「ハァ・・・。何想像してんだろ、私・・・。」

卒業式あたりの大変動と比べれば極めて平和な毎日に、何も新しい
刺激を見つけられないからチャンスを待っているのかと、そうとも
考えるようになっていた。だけど、私はどうしても自分自身で
その答えを見つけられなかった。

放課後。時期的な問題もあってか、まだ部活は始まっていない。
中学の頃から部活が始まるのは後々だったので、私も泰斗も、珍しく
予定が無い日だった為、私はちょっと泰斗に話しかけてみた。

『ね、ねぇ・・・泰斗。』

『・・・ん？どうした、そんな顔近づけて。
つーか、出来ればチョイ離れて欲しい位なんだけど。』

『いや、あのさ・・・
今日予定無いんだったら、久々に一緒に帰らない？』

『・・ま、まぁ、いいけどよ・・・。』

ちょっと顔を赤らめながら、私にそう言う泰斗。
やはり恋人同士になったとは言え、やっぱり
泰斗自身は、女子相手には素直にはなれないようだ・・。
私は思わず、クスッと笑ってしまった。

『・・・な、何笑ってんだ？んな不気味な・・・。』

『・・いや、私達もまだまだだね、ってさ。』

ちょっと不思議そうに首をかしげる泰斗。
そんな顔をしている泰斗でも、私はやっぱり大好きだ。
いかなる時でも、私をしっかりと、でも優しく包んでくれる泰斗に、
私は尊敬の意を、ちょっぴりだけど表していた。

『この帰り道も、久しぶりだね～。』

『・・ん、まぁ、ここら辺はな。』

久しぶりに二人で・・・って事で、いつもと違う道を
歩いて帰る。モチロンいつもと全く違う新鮮味があるし、
ここに来れば私が毎日悩みに悩んでいた
「足りないモノ」が見つかるかもしれない、と密かな期待を抱いていた。

『そう言えばさぁ・・・飛織』

『ん・・・どうしたの？』

『俺達って、改めて恋人って言ってから
全くそれっぽい事ってして無いんじゃね？』

『・・・「それっぽい事」？』

『・・いや、ホラ、アレだ、アレ・・・』

何となく恋人としての「やるべき事」とは何か分からなくなっていた私。
もしかして、ここに私の探していた答えがあるのかもしれない・・・と
私は泰斗からの答えを、ただ待ち望んでいるばかりだった。

『・・・ちょっと言いづらい話なんだけどなぁ、正直』

『何が？ていうか、恋人同士でやる事なんてあるワケ？』

『・・・えーと、喉まで来てるんだけど、何故か思い出せない・・・』

何故か悩みに悩んでいる泰斗。でも確かに私達には「何か」が
欠けていた事は分かっていた。
それでも見つけ出せない答えであるというのは、それ程までに
恋人であるという事実が更に言いにくくしているのだろうか？と
度々考えてはいた。

・・・しかし、その答えは突如として返ってきた。

『・・・その、デートってヤツだよ、ホラ・・・。』

『・・・！』

私の身体に、雷撃が走った。
そうだ、日常的に考えて足りなかったモノとは、
今新たに始まった「恋愛」というステージ上でしか引き起こせない
新しい結び合いの形態である事を、私は今始めて知った。

『んもぅ・・・馬鹿っ』

『な、何でいきなり馬鹿呼ばわりなんか・・・』

『・・でも、そう言ってても、やっぱり正直に言ってくれる所は、好きだな』

『・・・そ、そうか？』

『・・・うん。』

ちょっぴり叱るように、でも好きだと改めて伝えられた私。
正直に、赤くなりながらも「やるべき事」を教えてくれた泰斗。
何か特別な、ちょっぴり違う春の帰り道・・・

でも、私の恋は、まだ始まったばっかりだ。

あくまである作品の前提として作った三作目。
つーか個人的萌えポイントばかり投入した妙なブツになってしまいました^^;
更に超低レベルで、尚且つ変なのになってんじゃん！
しかも短いしお前何やってんだボケがぁ～！と怒られそうな作品になっちゃいましたorz

2006年5月8日製作

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