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俺とユーロとC.D.と・・・(何
第22話『修学旅行』第3部
いつものように始まる高校を前に、夏の旅行へと向かう私達。
勿論授業がサボれて嬉しい、という顔をしている人が大半なんだろうけど、私だけは違った。
いつかきっと会えると信じて来た私にとって、夢のようないつもとは違う何処かでの「心菜」との出会い。
同じ友達であろうと、場所が違えば雰囲気だってそれなりに変わるであろうと思っていた私の心は
少しずつ「楽しみ」をメインにするように切り替わっていった。
葉も少しずつ色を変え始め、あたりの木々は緑色へと変わっていく中で
私はただ一人窓を見続けていた。確かに自由席とは言われたが私と座ってくれる人なんて
いないんだと孤独である自分を考えながら、私はただ窓を見つめているばかりだった。
何でもない自分から「友達」という言葉が離れ始めて早七ヶ月。私は既に、学校内で話す機会が
極端に減っている事も自覚出来ていた。しかしながら、私は誰とも話そうとしない。
この高校に来る人が前の中学校でも少なかったという事実は知っている。それでも私はやっぱり
此処じゃなきゃ駄目なんだと念を押して入試を受け、見事に受かった人間だ。
こうなる事を最初から予測していたのは確かな話だが、やはりこう話せるべき相手がいないと
つい外ばっかり見て気を逸らそうとしているのはいけないのかもしれないと自分にも言い聞かせてはいた。
しかし、つい見てしまう窓。其処に見える緑一色の風景。私は何とも言えない何処と無く重い雰囲気の中で
ただ窓から見える風景に見入る事しか出来なかった。
『・・・ん?』
誰かがいきなり声をかけてきた。私は思わずその衝動で頭を打ちそうになった。
あまりに突発的過ぎたので私自身もそのショックでかなり動いてしまったのだろうと、自分で自分を慰める事しか出来なかった。
『・・・ちょっと、この席、いいか・・・?』
何となく聞き覚えのある声。若々しくキレのあるハキハキとした男の人の声だ。
・・・いや、これは、えっと、まさか・・・。
『た、泰斗!?』
思わず私は声を大にして叫んでしまった。忘れていた訳では無いが
いきなり泰斗が出てきた事に驚きを隠せず、つい派手なリアクションまで起こしてしまった。
いつもの学生服で私の前にすーっと座ってきた泰斗。いくら泰斗であっても
こんな状況で出てくると・・・と、ちょっぴり恥ずかしさも混じった「驚き」だった。
『な・・・、いきなり何だよ!?
急に声出すから思わず俺までビビっちまったじゃねぇか』
『あ・・・その、ゴメンゴメン;;
本当は驚くつもりは無かったんだけど、一人で窓見てていきなり泰斗が座ってきたから・・・』
『一応尋ねたが、まさか聞こえなかったのか・・?
そんなにビビるから俺の声が小さすぎて聞こえなかったのかと思って・・・』
『・・・いや、そういう訳じゃないんだけど・・・ね。
いきなり隣に座ってきたから・・・その・・・ちょっと、緊張しちゃって・・・』
『・・緊張?別にする必要ねぇだろ?
・・・いや、前だったら、こういう感じもあったかもしれねぇけどな・・・』
何処となく照れている泰斗を見ていた私が、未だに信じられなかった。
これまで幾つもの会話を交し、「恋人」というステップに辿り着いた私達・・それでも以前として
泰斗のこうしたちょっぴり素直な表情というのは、今まで一度も間近で見た事が無かったのだ。
何時も通りのクールで格好良いというイメージがあった泰斗の中に、また別のちょっと可愛いイメージさえ
感じられる泰斗の顔には、私が見ている「泰斗」とはまた違った魅力があった。
『・・・ふふっ』
『・・な、何だよ。いきなり俺の顔見て笑いやがって・・・』
『・・ううん、なんでもない。
何か、照れてる顔の泰斗も良いなーって思ってさ・・』
『・・そ、そうか?
・・別に、普段の俺と何処も変わらないじゃねぇか』
そう言って妙に意地を張ろうとする泰斗。何処となく子供っぽくて、でも大人の顔つきをした泰斗を見ていると
そのギャップがまた絶妙な雰囲気を醸し出しているのかもしれない。私はいつしかそんな事を考えている内に
自分の妄想がかなり膨らみつつある事に気付き、慌てて現実へと視点を戻した。
・・・外は心地よい風が吹いている。天気も良好で、特筆するような場所が見当たらない程だ。
こうした風を「車内」という空間の中から感じている私は、いつしか以前に考えた「夫婦」になった時を
考えるようになり、もし泰斗と車に乗れたら・・・なんて妄想さえも考えていた。
『・・・どうした?飛織?
お前、さっきっから妙に笑ってばっかりなんだが・・・』
『・・いや、何でもないんだけど・・・ね。
もし将来、泰斗が車を買って、私を乗せて走ってくれたら、なんて・・・』
『・・・んな遠くの事考えててもなぁ・・・。
でも、お前とだったら別に悪くは無いとは考えてるぜ?』
多少遠回しにしてさり気なくフォローする・・・と言った泰斗の言い方は、私は好きだ。
照れ屋であるという性格が故か、ストレートに物を言う事が出来ず、微妙な表現で
何気に本音を言う・・と言った、良くも悪くも泰斗らしいコミュニケーションの方法だった。
『・・お、そろそろバスが目的地に着くみたいだな。リュックとか用意しといたか?』
『・・え、あ、も、もう?
・・・ゴメン、結構のんびりしてたから、まだ整えてないや・・・;』
『・・相変わらず仕方のねぇヤツだな・・・
俺も手伝ってやるから、なるべく早めに済ませるぞ。』
『・・・うん♪』
修学旅行=古都の名所巡りと言ったイメージがある通り、今回もそのセオリーに見事に当てはまった感じの
見学ルートになっていた。良くある感じの御寺・神社等を見て回り、最終的に宿へと到着するという
まさしく正当派、そしてベタな印象を誰もが受ける程のルート構成だった。
・・宿までの到着はあっけない感じがあり、後の夕食・御風呂・就寝と言ったステップも変わる事なく過ぎていった。
私は心菜以外には友達なんていない。元々心菜だけが心の支えであった私にとって、恋人関係である泰斗以外に
「友達」と呼べる存在は誰もいないのだ。孤独感を感じつつも、私は自分の身について嘆いたりはしない。
それ以上に今の自分が喜びに包まれており、自分が本当に「幸せ」であるという確証を何処かで掴めたからこそ、
今の私はここにいられる・・そう感じていた。
『・・・ん・・・・・』
二日目の朝。・・・相変わらず朝は早い。
羽毛の感触がする柔らかな布団からゆっくりと起き上がると、眠い目を擦りながら歯を磨きに行った。
基本的に自宅での生活とあまり変わらないからか、そんなに違和感を感じる事なく朝ご飯の用意も済ませる事が出来たのだが
一時と言えどやはり集団生活であるからか、自分のペースで朝を送れない事への不満はあった。
『・・・・よっ。』
揃えられたテーブルにクラスの皆が集まってくる中で、私は一人の男性の声を耳にした。
間違いなく泰斗だ。私は夜の間に離れてしまった泰斗の事がとても心配だった。
たった少しの時でも泰斗を離す事に抵抗があった私は、朝なのにも関わらず泰斗の胸に一心に飛び込んだ。
『泰斗~~っ!!』
『・・・ぬを!?・・・な、何だよ、いきなりっ!;;』
『・・あ、ご、ごめんごめん、つい・・・・その・・・・』
『・・・相変わらず朝から元気なヤツだなぁ・・・;;』
いつも通り戸惑い私の前でちょっとだけ照れた笑顔を見せてくれる泰斗。
私はそんな泰斗の顔が見られるだけで幸せだった。「誰かが居ないと生きていけない」という弱みとそれと同時に
「誰かがいる」という事実だけで強みを見せられるような、私にとっての幸せのような感じもしたが
それが泰斗に対してどう思われているのかちょっと考えながら、私はそっと微笑んだ。
・・・むしろクラスメイトに笑われながらだったので、私の頬も赤かったのは事実なのだが・・・・
『・・・・ん~、おいしいっ!』
朝ご飯を食べられる事に幸せは感じられなかった筈なのだが修学旅行という事で、いつもとちょっと違った、むしろ
凝った感じのメニュー構成が私には新鮮に見え、その美味しさも二倍、三倍と膨れ上がっているようだった。
泰斗に近い席を意図的に選んでそのまま座ってきたからか同じグループのクラスメイトには妙な顔をされてしまったが
それでもやっぱり泰斗がいないと駄目といった私の我侭と「泰斗がいる」というちょっとした幸せが、私を後押ししていた。
『・・・お、お前なぁ・・・態々こんな所まで付いてきやがって・・・・;;』
『え~?だって泰斗がいないと・・・ほら・・・うん・・・・・』
『・・・・・疲れるなぁ・・・・』
さり気に朝からちょっとだけ落ち込んでいた泰斗。むしろ落ち込んでいたというよりは、心の底では喜んでいたのかもしれない。
ひょっとしたらコレが毎日になるのかも・・・と「夫婦」になった時の妄想を膨らませる度に
私の顔が自然と浮かんでいくような、むしろうすら笑いを浮かべているような変な顔になっている事に私は気付いていなかった。
『・・・うふふ・・・・・』
『・・・な、何だその妙に気色悪い笑い方は・・・・っ』
『・・・ほわっ!?・・・・あ・・・・うん・・・あ・・・ごめ・・・・・』
『何かお前朝から妙だぞ・・・顔色でも悪いか?狂ったか?』
『・・・ちょっと!狂ったって言い方は無いじゃないっ!』
何故か力強く反論した私。泰斗はさり気に笑った顔で私の事を見ていてくれたが
ちょっとだけ「狂ったか?」という言葉に抵抗を感じていた。むしろコレだけは言われたくなかった。
冗談半分で言ったのは分かっていたが、泰斗に対して嫌悪感を少しだけ抱いてしまった。
『・・・泰斗なんて、嫌いっ!』
半分冗談だが半分本気な私の顔を見て、泰斗は私の事をどう思ったのだろうか。
思わずちょっとだけ嫌われたような事を言われ、驚いているのか。
はたまたいつもの冗談だと思って、軽く流してしまうのだろうか。
私はこの言葉でちょっとだけ泰斗を遊んでやろうと思ってしまった。悪い事だとは思っていても、「狂った」という言葉に
過敏に反応してしまう私にとっては、これ位どうって事ないと思っていた。
『・・・・おい、正気か?』
此処で「狂ってる」と言われたら私の怒りが爆発してしまいそうだった。私は本当に自分が自分である事を認識したいからか
「正常」や「大丈夫」といった言葉が好きだったようだ。むしろ今までの自分の事が分からなかった私が怖かった。
ただ泰斗はそんな時にも私を心配してくれた。今までの私とちょっと違った私を見てもちゃんと「今までの私」だと認識してくれていた
泰斗が嬉しくなった。私は自分で自分に「大丈夫」と言い聞かせ、泰斗の顔を見た。
『・・・・・うん・・・な、何だかムキになってたみたい・・・・』
泰斗の言葉に対してのこの返答。ギャグというかふざけた路線で行くのなら「私、異常でーす!」なんて堂々と言えるような
世界なんだろうけど、此処に来て思わず静まってしまった私を見て、一瞬周りが固まった。
最近に関わらずやはり女の子には「テンション」というモノが必要である事は分かってはいたのだが、やはり好きな人の前では
私は素直になってしまうんだなと改めて実感した。皆が固まった瞬間緊張感が走ったが、今の自分の気持ちを
正直に言える事が出来ただけでも、私は幸せだった。
『・・・・スマン・・・・俺もちょっと図に乗りすぎたよ。』
こんな時であっても軽く流さず、素直に、そして私そのものを受け入れてくれた泰斗が嬉しかった。
今までもこんなちょっとした「ふざけ合い」なんていう事もあったが、そんな時には私もその場に見合ったような反応をしていた。
「変わってしまった」後であっても私の事を素直に受け止めてくれる泰斗。「変わること」そのものに理解を示し
私のちょっとギクシャクしたような説明でもちゃんと聞いてくれた泰斗。私が変わっても変わらなくても、その時その時の、そして
今までの「私」の全てを理解し、全てを受け入れてくれた泰斗が、この人が私にとっての「運命の人」であるという認識を強くさせた。
『・・・・ごめんね・・・その・・・私、「狂う」って言葉が大嫌いみたいで・・・・・』
『遊びで使いすぎた俺が悪かったんだ・・・・朝からこんな事言っちまってゴメンな・・・・』
『・・・・う・・・・・・うぅ・・・・・』
目から涙がこぼれ落ちた。相変わらず涙もろい人間なんだなぁ、私は・・・と思いつつもその涙を拭う事も無く
私は泰斗の事をじっと見つめていた。むしろずっと見つめていたかった。
今までこんなに素敵で優しい人が側にいたのに、それをずっと軽い気持ちだけで抑え込んでいた・・・そんな気がした。
私は前よりももっと泰斗の事を知りたくなったような気がした。むしろそんな泰斗が私は好きになった。
『・・・・・うわ~んっ!』
私は涙を拭わないで泰斗の胸に飛び込んだ。今度はさっきのような軽い気持ちではなく、今までの想いを全て
泰斗にぶつけたかったような、それ程までの勢いで飛び込んだような気がした。
クラスメイトの声が静まったような気がしたが、そんなことも全く気にならなくなった。
今までのようなちょっとだけ泰斗を軽視するような事もなく、私は素直な気持ちで泰斗の胸に飛び込めた。
『・・・よしよし・・・・・大丈夫だったか?』
まるで子供を宥めるかのような甘い声で私の頭を撫でてくれた泰斗。今までのちょっと突っ張ったような感じとは
一味も二味も違う、まるで「父親」・・・いや、「夫」とも言うべき泰斗の姿がそこにはあった。
今までの悩みと戸惑いを抱えていた私を救ってくれた泰斗。そして両親の反対まで押し切って私に会いに来てくれた泰斗。
もう何処にも行って欲しくない・・・・私だけをずっと見ていて欲しい。そんな気持ちが私を支えてくれていた。
そんなこんなで大波乱の朝ご飯を終え、私達は旅館を離れる為またバスに乗り込んだ。
二日の予定なので旅館に泊まっているのは前日の夜だけだった。私はちょっと寂しい感じを残しつつ、旅館の方々に手を振った。
皆が話し込んでいる中で私一人浮いてしまっているような気もしたが、こんな時でも泰斗は私を見ていてくれた。
『・・・何だか寂しそうだな。大丈夫か?』
『うん。何かさっき色々あったからか、ちょっと疲れちゃったみたいで・・・・』
『・・・・こんな所で仕方の無いヤツだな・・・・別に俺の近くで寝てても大丈夫だぜ?』
『・・・・そう?・・・・ゴメン、それじゃ・・・・・』
泰斗にそう言われると、私はまた嬉しくなった。
こんな私の我侭も聞いてくれ、ありのままの私を見てくれている泰斗がやっぱり好きだ。
私は今までよりも一層の安心感をもって、ゆっくりと泰斗に身を寄せた。
『・・・・ふぁ・・・・・』
私が目を開けると、バスは既に第一の目的地の近くまでやってきているらしく
皆がリュック等の準備をしている事に気付いた。私はちょっと慌てていたが、泰斗がぽん、と私の肩に手を置いた。
『まだ時間的には余裕だぜ?皆が面倒臭いから先に準備してるだけだ。』
『・・・んあ・・・・・そう?』
目を擦りながら泰斗の話を聞いていた私。一応準備だけはしておこうと、とりあえずリュックの中を整理しておいた。
泰斗はカッコつけなのか何なのか私の事を見ないでずっと外ばかりを見ていた。
二日目も一日目と変わらず名所巡りが多く、あまり「遊ぶ!」と言った感じのしないようなルートだった。
私はちょっと眠そうに説明とかを聞いていたが、泰斗はそれなりに興味を示していたらしく、しっかりと聞いていたような印象を受けた。
それなりに歴史とかには興味があるのかな・・・なんて思いながら、私は泰斗と一緒にいたい一心で泰斗の隣を歩いていた。
ただ私も泰斗も近くを歩いていただけで、決して手を繋いだりはしなかった。周りが賑やかだったから・・・かもしれない。
『・・・・ん?』
神社の参道を歩いていると、泰斗が「何か」に気付いた。
私は思わずびっくりした泰斗を見て、ちょっと不思議に思ったので聞いてみる事にした。
『泰斗、どーしたのー?』
『・・・いや、あそこにいるの、ひょっとしたら心菜じゃないか・・・って。』
『・・・・え!?』
びっくりしたのと同時に、以前心菜が言っていた「え・・!?じゃあ私と同じなんだぁ!」という言葉を思い出した。
無理難題だと思っていた筈なのに、偶然とはいえ心菜に会えるなんて・・・と私は胸をウズウズさせて走っていった。
『心菜~っ!!』
私は力の限り叫んだ。周囲から見れば一体何をやっているのだろうと思われるかもしれない。
でも私はやっぱり親友・・・心菜や、それに泰斗の前だと一途になってしまう人間なのかもしれないと考えていた。
『・・・飛織?』
私はそっと私の名前を聞いた。この声は・・・間違いなく心菜だ。
私は確信を持つと嬉しさのあまり勢いで声を発した女の子に向かって走って行った。
ひょっとしたら心菜じゃないかもしれないという事も一瞬考えたが、今の私には心菜のようにしか思えなかった。
『心菜~!やっぱり心菜だったんだ~!』
『飛織・・・!?それじゃ本当に飛織なんだね!』
『そうだよ!本当に会えるなんて思ってなかった・・・!』
天の仕掛けたいたずらなのか、はたまた・・と思いつつ私はこの偶然に嬉しさを隠しきれなかった。
修学旅行という学校行事の中でも最も大好きなこのイベントで、親友と出会えたという作られたような1シーン。
それが現実になって、今私の前に心菜がいるなんて・・・・と、考えただけでも嬉しさがこみ上げて来ていた。
『・・・ん?心菜、その着物どうしたの?』
『コレー?ウチに元からあったんだよー?』
『え!?今まで全然きづかなった・・・・』
『あはは・・・そういえば見せてなかったね・・・コレ・・・;;』
心菜が元気そうで何よりだという安堵感と同時に、心菜が初めて私に見せてくれた着物。
赤を基調とした明るめの色にちょっとだけ彩られたお花が、彼女の元気さを表しているかのようだった。
そんな心菜を見て私も何だか、「変わってしまう」前の頃の私にちょっとだけ戻れた・・・むしろちょっとだけ
あの頃の感覚に近いようなモノを感じられた。
『・・・心菜、とっても似合ってるじゃない。綺麗だよ?』
『・・・そ、そう?改めて言われると照れちゃうなぁ・・・』
『・・・ううん、お世辞抜きに・・・・ね』
『えへへへ・・・、ありがと・・・。飛織からそんな事言われるなんて久しぶりかも。』
ちょっと頬を赤らめて私に綺麗な笑顔を振り撒いてくれた心菜。私はそんな心菜が大好きだ。
私に泰斗を譲ってくれた・・・むしろ、彼女自ら身を引いてくれた・・・あの頃のその思い出だけでも
心菜を支えなければいけないという使命感はあったが、この彼女の笑顔を守る為に私は
今までずっと心菜を支え、助けてきた・・・そんな感覚さえあった。
『・・・おーい!飛織っ!』
『・・・あ、泰斗!こっちこっち~!』
心菜がちょっとだけ顔を俯けたように見えたが、私はそのまま泰斗の方へと顔を向けた。
今となっては私の心の支えとなっている泰斗。私の好きな、大好きな泰斗。
何処までも満ち溢れるような幸せを影に、心菜がどう今までを乗り越えてきたのか私は一瞬
心配になったが、とりあえず泰斗を此処に呼び寄せる事に今は集中しようと考えた。
『・・・お、やっぱり心菜だったか』
『あ、泰斗君・・・久しぶり。』
心菜自身が泰斗と顔を合わせたのは、恐らくあの卒業式以来である。
それだけにあの時は私を後押ししてくれた心菜だったが、やっぱり今となってもちょっと気にかかって
いるのだろうか・・・と、私はちょっとだけ不安になってしまった。
『どうした?そんな暗い顔して』
『・・・・う、ううん。何でもない・・・・・何でもないよ!』
心菜が無理に自分を抑え込んでいる事に、私は気付いた。
今までの失恋といった経験は心菜自身にも大ダメージを与えていた事は事実だが、それに対する
諦めきれない気持ちがひょっとしたら心菜にもあるのかもしれない・・・
親友同士でお互いを傷つけあうにはあまりにも厳しいモノがあるとしても・・・・と、私は考え込んでしまった。
『・・・あ、それじゃ、私そろそろ行くから!じゃーねっ!』
『・・・え・・・あ、ちょっと、心菜!?』
言うが早いか、心菜は既に走って神社の階段を下って行ってしまった。
まさかこんな所で泰斗に会うとは思っていなかったかもしれない・・・ただ、あの時の心菜は
私が昔見た「私が変わる」前の心菜である事に間違いは無かった。
まだ泰斗への捨てきれない恋を残して、悩み苦しんでいる心菜の姿が目に浮かんだ。
私は心菜の事を正直に見ていられなくなったのか・・・そうとも考えた。
『・・・・何なんだアイツ・・・・あんな顔しやがって・・・・』
『・・・泰斗のバカっ!!』
私は思いっきり泰斗の頬を叩いた。こんな所で心菜の苦しんでいる姿を見る事なんて、私には耐え切れなかった。
泰斗さえも叩いてしまったのは心菜が昔からの付き合いであるからである。・・・それは私にも分かっていた。
こんな所で恋人の頬さえ叩いてしまう自分が嫌になったが、それでも私は泰斗の事を見ていられなかったのだ。
『痛っ!・・・・な、何しやがるんだっ!』
『・・・心菜の気持ちも分からない泰斗なんて・・・・・』
私は叫んでしまう。言ってしまうのかもしれない・・・・そう考えていた。
言ってしまってはいけない、恋人に対する別れの言葉・・・そして私達を引き離す、悪魔のような言葉。
でも私は、決して自分の親友を見捨てたりはしない。・・・だから私は言った。
『・・・・・大っ嫌い!!!!』
ああああーう、疲れたー!そしてお久しぶりですっ!(何
約2年ぶり(?)の再開・・・いやぁ、無駄に時間かかってました(^^;
一応あと2話程で終了の予定なんですが・・・あぁぁぁ~うぅぅ(ぇ
2006年8月4日執筆開始
2008年4月2日完成・公開
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